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仙厓礼讃

開催期間 2018年9月15日(土)~10月28日(日)
月曜休館(ただし、9月17日、9月24日、10月8日は開館)

展示概要

ユーモア溢れる「禅画」で知られる禅僧・仙厓(1750 - 1837)。現在伝わっている作品のほとんどは、住持職を引退し、寺の境内の一隅にあった虚白院(きょはくいん)という隠居所で過ごした四半世紀の間に制作されています。しかも、隠棲は還暦を優に超えてからのことでした。実は住持職を引退した後の仙厓には、 "ご隠居さん" として悠々自適な生活を謳歌した第二の人生があったのです。
毎年のように行われた名所旧跡・社寺仏閣への旅行や参詣、地元博多の祭りや催し物見物。あるいは珍奇石や古器物の蒐集、さらには茶をたしなみ、書画や詩作・詠歌・句作などにいそしむ毎日を送りました。特に、友人・知人や地元の人々との心温まる交流を大事にしたようです。数えの88歳、隠棲後25年の長きにわたった仙厓の人生を振り返ると、 "老後の達人" ともいうべき姿が浮かんできます。
本展では、仙厓晩年の作品の中に老後の極意を読み解くとともに、草稿集「書画巻」と完成作との比較から判明した画賛制作の秘密、さらに、友人・知人たちとの交流とその交友の結果生み出された傑作「涅槃図」など、仙厓が残した作品群の意味を考え直してみたいと思います。
仙厓の「禅画」を代表する作品とともに、江戸時代の博多の風俗や風光明媚な九州の景色を活写した作品もあわせてご堪能ください。

江戸名所図屏風展 出光美術館

本展のみどころ

01長い老後が仙厓画を育んだ!      

62歳で聖福寺住持職を弟子に譲って以降、25年にも及ぶ虚白院での隠棲期。この間、仙厓は「無法」の絵画を確立し、2千点ともそれ以上ともいわれる画賛を描き、墨跡をしたためました。膨大な数の仙厓作品は、驚くべきバイタリティーの産物だったのです。

02仙厓はいかにして画賛を描いたか?

禅のテーマ以外にも多様な主題を手がけた仙厓。当館所蔵の「書画巻」と呼ばれるスケッチ集と完成作である画賛類をもとに、仙厓の体験・経験がいかにして完成作へと収斂していくのか。仙厓における作画の実際を解明してみたいと思います。

03虚白院での晩年は老後のお手本!?

隠棲以降、旅行三昧、趣味三昧の生活を送った仙厓。数えの88歳までの長い悠々自適な生活は、まさに「老人六歌仙画賛」に登場する老人のよう。「老後の達人」仙厓の生き方は、私たちに多くのことを教えてくれます。

04仙厓と博多文化サークルの面々

仙厓の友人・知人たちには当時の福岡を代表する文化人たちが目白押し。彼らとの共作、そしてその交流が生み出した驚きの見立て「涅槃図」を通して、仙厓を取り巻く文化人サークルの中で醸成された仙厓流ユーモアの世界をのぞいてみましょう。

展覧会の構成

第1章
長寿は天からの授かりもの
─「老人六歌仙画賛」を中心に
第2章
力を尽くせば、必ず報われる
─仙厓画傑作選
第3章
楽しき思い出よ、いつまでも
─「書画巻」をめぐって
第4章
悠々自適な隠居暮らし
─旅行三昧・趣味三昧の日々
第5章
愉快なり、友との日々
─仙厓流ユーモアを育んだ面々

各章の解説

第1章 長寿は天からの授かりもの ─「老人六歌仙画賛」を中心に

人生50年といわれた江戸時代に数えの88歳、米寿祝いの年まで生きた仙厓。江戸時代後期当時としては、大変な長寿と考えられるその人生の折々に感じた思いをまとめた作品の数々をご紹介します。「老人六歌仙画賛」をはじめとする画賛類には、「天から授かった命をいかに生き、楽しく実りあるものとするか」というテーマがユーモアをまじえて描かれています。それぞれの作品に示された仙厓の前向きな人生観を、まず確認してみたいと思います。

老人六歌仙画賛老人六歌仙画賛
仙厓義梵筆 江戸時代 出光美術館

第2章 力を尽くせば、必ず報われる ─仙厓画傑作選

思い切り自由を楽しむことが出来る隠居生活を始めたものの、やはり弟子たちのことや、禅の行く末が気になったのでしょう。禅を盛り立てていって欲しい、禅の理解を深めて欲しいと思う仙厓の気持ちは、数々の禅画を生み出しました。また、庶民とふれあう機会が増えると、彼らの生活がより一層充実するようにとの願いをこめた画賛類も描くようになりました。仙厓の思いが詰まった作品の数々をご堪能ください。

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仙厓義梵筆 江戸時代 出光美術館
指月布袋画賛指月布袋画賛
仙厓義梵筆 江戸時代 出光美術館

第3章 楽しき思い出よ、いつまでも ─「書画巻」をめぐって

禅画で知られる仙厓ですが、実はその作画の過半は風俗画や風景画、あるいは動植物を描いた作品です。旅先での情景や着想をまとめた下絵や、思い浮かんだ漢詩や俳句・和歌を記しておき、虚白院に戻って画賛に仕上げていく、晩年はそんな日々を送っていたようです。貴重なスケッチ類を集成した「書画巻」とそれを元に描かれた完成作を比較検討し、仙厓が自身の体験をいかにして作品に昇華させていったのか、その謎に迫ってみたいと思います。

書画巻(部分)書画巻(部分)
仙厓義梵筆 文政5 - 天保5年(1822 - 34) 出光美術館

第4章 悠々自適な隠居暮らし ─旅行三昧・趣味三昧の日々

四半世紀におよぶ長い老後。しかし、仙厓はやっと訪れたこの自由な時間を惜しむように、地元博多の祭りや興行見物を楽しみ、風光明媚な景色を求めて各地を旅行し、珍奇石や愛らしい動物との出会いに好奇心をつのらせる日々を送りました。また、和歌を詠み、俳句を作り、茶の湯も愛していました。画賛類に取り上げられた画題には、趣味に生きた仙厓晩年の生き方がそのまま反映されています。多様な仙厓の愉しみの世界をふり返ってみたいと思います。

芭蕉蛙画賛 二幅芭蕉蛙画賛 二幅
仙厓義梵筆 江戸時代 出光美術館

第5章 愉快なり、友との日々 ─仙厓流ユーモアを育んだ面々

博多の人々との間に様々な交流のエピソードが残っている仙厓。実はその交友の実態を教えてくれる作品群も残っています。様々な宗派の僧侶や、儒者、書家、地誌研究家、そして、本格的な絵師など、その顔ぶれは多彩で、まさに江戸時代後期の博多を代表する文化人が揃っています。しかも、彼らと共作した書画は、さすがは仙厓の友人たちだと私たちを納得させる奇抜なユーモアにあふれた作品ばかりです。仙厓流のユーモアを共有した友人たちとの愉快な日々の中で生み出された作品をじっくり味わってください。

涅槃図涅槃図
斎藤秋圃筆 仙厓義梵 他賛 
江戸時代 出光美術館
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