10月12日、ケルンからミュンヘンに向かって走行中のICE(ドイツ版新幹線)が突然火を噴き、一両が全焼するという信じられない事故が起こった。
乗客約500人は、軽症5人を除き全員無事で救出。翌日、原因は変圧器の故障だったと発表されたが、なぜそんなことが起こったのかは、2週間が経とうとする今も、まだ調査中だ。
ケルン‐ミュンヘンはドイツを縦断している幹線の一部で、とくにケルン~フランクフルト間は日本の「のぞみ」のように、超高速で運転している。それがこの事故で閉鎖されたのだから影響は大きかった。
ところが当初、それに関するドイツ鉄道から乗客へのお知らせは、「10月19日までのこの区間の乗車券は、希望者には手数料なしで払い戻しする。火災の起こった電車に乗り合わせていた乗客は、乗車券を全額返還する。壊れた荷物も賠償する」と、ただそれだけ。
事故9日後の21日にドイツ鉄道のホームページを開けてみたら、冒頭に赤で大きく、「ケルン~フランクフルト(マイン)間の高速路線の運転再開」。そのうしろには「本日より1車線が運行可能となった。現在、3分の2以上の列車が運転。乗車の前に運行状況を調べること!」と書いてあった。
もちろん「事故でご迷惑をおかけしています」などという言葉は一つもない。ドイツの「お客様」は神様どころかゴミのようだ。
10月12日、つまり、この事故の起こった日、バイエルン州の地方紙に偶然、「なぜ、ドイツ鉄道は問題が起こった時、乗客を放ったらかすのか」という記事が載った。例として、具体的な乗客の苦情が挙げられている。
どれもこれも、信じられないような話だ。しかし、ここまで極端ではなくても、私も、私の友人たちも、電車にのれば必ずと言っていいほどトラブルに遭う。