朝夕刊退店直後に狙う? 防犯カメラ、男2人写す 浜北の女性看護師遺棄藤枝市瀬戸ノ谷の山中で浜松市浜北区寺島、看護師の内山茉由子さん(29)の遺体が見つかった事件で、内山さんは同市中区のフィットネスクラブを退店した直後から男二人に付け狙われていたとみられることが、捜査関係者への取材で分かった。 捜査関係者によると、五月二十六日午後六時ごろ女性看護師が退店する際、二人の男が後をつけるように店を出る様子が防犯カメラに写っていた。女性看護師が車に乗り込もうとしたところ一人が運転席側から女性看護師を押し込み、もう一人が助手席に座ったとみられる。周辺のカメラには、他に仲間とみられる男一人も写っているという。 それから約一時間後、店から十キロほど離れた東名高速道路の磐田市内のインターチェンジ付近で、白っぽい服を着た男二人が運転席と助手席に乗っている姿が確認されている。 車はその後、藤枝市方面に向かい、翌日の二十七日夜には、三重県桑名市の国道を走行していたことも判明。女性看護師は拉致された二十六日夜から二十七日夜の間に死亡し、遺体が遺棄された可能性がある。 浜松東署捜査本部は監禁容疑で、インターネットを通じ知り合ったとみられる四十代と二十代の男二人を逮捕。女性看護師と面識はなく、他にも関与した人物がいるとみている。 捜査本部によると、女性看護師は二十六日午後一時ごろ、同居する親族に「市内で買い物をしてくる」と車で外出。その後連絡が取れなくなり、親族が二十八日に行方不明者届を出した。遺体は六月九日に藤枝市の山中で発見された。十一日の司法解剖の結果、死後二週間ほどたち、目立った外傷はなかった。死因は特定できていない。 ◆犯罪仲間募集ネットで横行 昨年「違法情報」は2万件超銀行口座や携帯電話、薬物の不正売買のほか、振り込め詐欺などの仲間募集など、インターネット上のサイトが犯罪を誘発する事例は数多い。 ネット上の違法・有害情報を受け付け、警察への通報やサイト管理者らの削除依頼を行う「インターネット・ホットラインセンター」によると、二〇一七年に通報を受け分析した件数は五十九万八千三百四十件。このうち4・5%にあたる二万七千十六件は、わいせつ画像や児童ポルノ、売春の誘引、規制薬物の広告などといった「違法情報」と判断した。違法行為を請負・仲介・誘引したり、人を自殺に勧誘する「有害情報」は八百七十九件あった。 甲南大法科大学院の園田寿(ひさし)教授(刑法学)は「面識がない者がサイトを使って集まることで役割分担ができ、犯行が容易になる。一人が捕まっても他の仲間の素性が分かりにくい。今回の事件の詳細は分からないが、こうしたメディアの闇が背景にあるだろう」と指摘した。 (飯田樹与) 娘の事件と重なり苦しい◆名古屋の闇サイト事件遺族浜松市の女性看護師の遺体が見つかった事件で、浜松東署捜査本部に逮捕された男二人はインターネットのサイトを通じて知り合ったという。事件の真相究明はこれからだが、名古屋市千種区で二〇〇七年八月、闇サイトで知り合った男らに娘を拉致、殺害された磯谷富美子さん(66)は十三日、「娘の事件と重なる部分が多く、当時に引き戻されそうで苦しい」と胸中を明かした。 磯谷さんは今回の事件にネットが関係している可能性を知り、「またか」と話した。十一年前、会社員だった娘の利恵さん=当時(31)=は、犯罪の仲間を募る「闇の職業安定所」で知り合った男三人に殺害された。三人は仮想空間の中で事実とうそをない交ぜにした犯罪歴を自慢し合い、その延長で凶悪化した。 藤枝市の山中で遺体で見つかった女性看護師は二十九歳。犠牲になった利恵さんと同じ年ごろで、磯谷さんは「娘の事件と似ていて、胸が苦しくなる。犯人は絶対に許せない」と声を絞り出すように語った。 磯谷さんは事件後、三人の極刑を求める署名活動を続け、三十三万人以上の賛同を集めた。顔を知らない人同士がネットでつながり犯罪に発展する恐れがある有害サイトの規制強化や、ネット時代の新しい法律の必要性も講演などで訴えた。 だが、裁判では一人が死刑、二人が無期懲役で確定。事件で使われた「闇の職業安定所」は閉鎖されたが、その後もネットを温床にした事件は後を絶たない。 磯谷さんは今回の事件について「司法がもっと厳しい罰を与えていれば、そして行政が有害サイトの規制を強化していれば、防げたのではないか」と話す。その上で「今やれる対策を全てするべきだ。ネットが関係した事件に誰かが巻き込まれるのは、これで最後にしてほしい」と願った。 (塚田真裕) 今、あなたにオススメ Recommended by
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