オーダーロード~理想の道路をあなたに~他 短編集 作:善太夫
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私立ナザリック高校に入学した俺は中学からの腐れ縁で親友のデミウルゴスと同じ1年C組になった。
ちなみにナザリック高校を志望したのはこの学校には伝説の「世界征服部」があるからだ。
クラスでの自己紹介でデミウルゴスは「将来魔王となって世界征服します」と言っていたけど、あれはマジなんだよな、きっと。
その点、俺は無難に「楽しい学園生活を送りたいです」と言っておいたが。
放課後になると早速デミウルゴスがやって来た。
「早速、世界征服部を見学しようではありませんか?モモンガ君」
こいつは昔から妙に丁寧な言葉使いなんだよな。ちなみに俺の方が半年早く生まれているからというわけではなく、本人いわく、まあ癖みたいなものらしい。世界征服部は旧校舎の四階の角が部室らしいのだけれど、誰もいなかった。
職員室で聞いたらなんでも去年の三年生が卒業してしまって部員がいない、廃部寸前の状態らしい。なんでも50年以上の歴史がある部活だというのに残念なものだ。
まあ、なくなってしまうのなら仕方ない。とりあえず文芸部でも入部してガイコツが主人公の小説でも書こうかと思っていたら、デミウルゴスがいきなり顔を近づけてきて言うんだ。
「モモンガ君、これは君が部長になって世界征服するチャンスですよ?こんな機会は逃すべきではない」
なんかよくわからないうちにデミウルゴスに押し切られて、結局世界征服部に入部してしまった。
問題はまだあって、この学校では部員が5人以上いないと部活として認められないんだと。仕方ないから後3人集める事にした。
顧問は去年までやっていたアルベド先生が引き続き引き受けてくれる事になった。
デミウルゴスと相談してまずは部員募集のポスターを作った。
やっぱり世界征服するのだから強い奴を誘いたい、という事で王国中学で有名だったガゼフを誘ったが断られてしまった。
ま、噂はあくまでも噂で大したことないかもしれない。
翌日、ポスターを見て見学に来た一年生が2人。なんでも双子でアウラとマーレという名前の奴だった。
中でもマーレは「天災のマーレ」というあだ名がついていて、彼の近くに雷が落ちたり地震が起きたりしてついつい巻き込まれてひどい眼にあう人間が過去に相当いるらしい。
尚、アウラは女の子。動物好きで自宅には犬が二頭いるそうだ。ちなみにその犬は二匹共メスでルプスレギナとペストレーニャという名前だそうだ。
次にデミウルゴスがコキュートスという二年生を連れて来た。彼は宮本武蔵に憧れていて、木刀を振り回すのが大好きらしい。
これでとりあえず人数は揃ったから部活の届けを出そうとしたら、アウラが友達を連れて来た。
名前はシャルティアと言って、ゴスロリファッションが趣味みたいだ。なんでも「ヤツメウナギ」という異名があるらしいけど、鰻が大好物なんかな?
とりあえずこのメンバーで新生世界征服部がスタートしたわけだ。
まずは世界征服部のこれからの活動方針なんだが、これを考えるのは結構めんどくさい。
強い国の首脳を倒したとしても征服にはならない。
実際、過去の世界征服部で本当に世界征服出来た事は皆無だからだ。
「フフフフフフ…モモンガ君、私に良い考えがあります」
流石はデミウルゴス。彼の策ならば上手くいきそうだ。
デミウルゴスの考えでは、まずはこのナザリック学園を支配するべきだという。
てっきり生徒会長にでもなるのかと思ったのだが、笑われてしまった。
「クックック……モモンガ君。生徒会長が学園の権力者だったり支配者だったりというのはアニメやラノベの世界だけでの事ですよ。現実にはなんの意味もありません。学園を支配するには経営陣に参加しなくては意味をなさないのですよ」
なるほど。確かに生徒会のメンバーは単なる雑用係みたいな事ばかりで、どいつもこいつも内申書を良くする為だけに働いているとしか思えない。しかし、学園経営に学生がどうやって加わる事が出来るのだろうか?
「まあ、いくつかやり方はありますが……例えば金。巨大な経済力で学園そのものを買い取ってしまう。……他にも学園理事会の過半数を我々の言いなりにしてしまうのも宜しいかと」
……うーむ。なにやら犯罪の匂いがしてきたが大丈夫か?なんだかとんでもない事になりはしないか?
そんな俺の心配を見透かしたのが、デミウルゴスは不敵な笑いを浮かべた。
「大丈夫です。全てこの私めにお任せを」
かくて、デミウルゴスの立案による「ナザリック学園征服計画」がわが世界征服部の活動の第一歩となる事になった。
尚、その結果、男女の制服を入れ替えて着用する義務を校則にしてしまい、俺自身もスカートを履く事になるのはその後の話である。
おばろん! ~世界制服部へようこそ!~ おわり