米株価急落で年初からの上昇分が帳消し ハイテク関連株に打撃

Traders work the floor at the closing bell of the Dow Industrial Average at the New York Stock Exchange on October 24, 2018 in New York Image copyright Getty Images

ニューヨーク株式市場は24日、またしても急落し、複数の主要指数では年初からの上昇分が帳消しになった。

ダウ平均株価(30種)の終値は、前日比2.4%安の2万4583.42ドルだった。 S&P500種は3.1%下がり2656.1になった。この急落によって、ダウ平均とS&P500種は共に年初来の上げを失った。

S&P500種は6日連続で下がり、ダウ平均は2010年5月以来の安値に近づいている。

ニューヨーク株安の影響はアジアにも広がり、東京株式市場の日経平均株価は、前日比822円45銭安の2万1268円73銭で25日の取引を終えた。

ウォール街でも東京でもハイテク関連株が特に急落。ハイテク株の多いナスダック総合指数は4.4%以上下げて7108.4と、2011年8月以来の下げ幅を記録し調整局面に入った。弱い企業収益と世界的な貿易摩擦への懸念が、投資家心理に影響したもようだ。

今年に入り市場全体の値上がりをけん引した多くのIT企業も値下げを逃れられず、アマゾンは5.9%、フェイスブックは5.4%、グーグルの所有するアルファベットは4.8%、ネットフリックスは9.4%それぞれ下げた。

投資企業オアンダのアジア太平洋投資責任者、スティーブン・イネス氏は業況調査メモで、ハイテク業界はこれまで「弱含みの世界的成長見通しとは無縁と思われていたが、米中貿易摩擦の悪化が引き続き業界への悪影響」となっていると分析する。

米住宅市場で新規住宅の販売件数が過去2年で最も低水準に落ちたという報告も、売り市場につながったとみられる。米住宅市場は米経済の重要指標とみなされている。

中国の経済成長鈍化と、企業による労働力不足と追加関税による生産コスト拡大の報告も、投資家の不安を招いているという。

マニュライフ投資信託のネイト・スーフト氏は、「コストが上昇中で、多くの場合は関税関連だ。収益ピークにも到達したようだ。弱さの兆しを見せる企業が痛い目にあっている」と述べた。

景況感の悪化に加え、24日の米国では11月6日の中間選挙を目前にヒラリー・クリントン氏やバラク・オバマ氏など民主党幹部に爆発物や不審物が送りつけられていたことが明らかになった。

クレセット・ウェルス・アドバイザーズのジャック・アブリン氏は、この日の売り相場は「感情的」なもののようで、「混乱が混乱を呼んで悪化しているだけかもしれない」と話した。

(英語記事 Sharp falls wipe out Wall Street's 2018 gains

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