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まあるい頭をしかくくするブログ

カメラを中心とした、生活に”こだわり”を見つけ出すブログです。

ルーベンス展の感想@国立西洋美術館

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こんにちは、maru-shikakuです。

 

ルーベンスはわたしにとって子供を描かせたら世界一な画家です。

 

以前国立西洋美術館の常設展の記事を書きましたが、そこが所蔵してるルーベンスの子供の絵が最高なんです!

 

『眠るふたりの子供』国立西洋美術館蔵 今回の展示にも出展

髪の毛がクリクリなのと、何と言ってもほっぺたが真っ赤で可愛い・・・。

りんごほっぺ病か?ってくらい赤いんですけど、そこがルーベンスの色の特徴。

ちなみにふたりの視線に秘密があるんですが、それはまた後ほど。

 

ルーベンスはおそらく、人間の肌に赤色を大胆に置いた世界で最初の画家です。

それまでの画家の描く肌は、黄色かったりピンクがかってたり色々ありますが、全体的に控えめな彩色です。

 

モナリザとかね。

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自然に見えるけど、血の気は感じられない。

 

同時代の画家では、今年初めに展示があったベラスケスなんかは、肌に彼のキーカラーであるピンクを生に使ってるところが特徴的ですが、ルーベンスはもっと血を連想させる赤を使って、肌を血色よくしてます。

 

さらに緑もポイントです。

影に対比色の緑を使うことでより赤を目立たせてます!

ぜひ、絵の中の緑色を探してくださいね。

 

 

さて、今回のルーベンス展の見どころですが、

 

  • 宗教画ルームが大迫力で圧倒される!他、約40点という国内最大級のルーベンス展!

一室丸々巨大な宗教画に囲まれる歴史画ルームが地下にあります。

フェルメール展のフェルメールルームに対抗したのか?と思っちゃいますね。

 

作品は一番でかいので『聖アンデレの殉教』の3m×2m

 

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『聖アンドレの殉教』マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団蔵 展示会チラシを撮影

 

日本初公開で一番インパクトのある作品なので是非チェックを。

 

宗教画についてはわたし学がないもんで解説はできないのですが、その辺はwikiから引用しまして…いつも通り絵の印象で感想を書いていきますね。

 

  • ルーベンスはイタリアから何を学んだのか?を探る

ルーベンスはイタリアからなんでも吸収したから、もはやイタリアの画家として扱うよ(!?)という挑戦的な文言が解説にありました。

 

勉強に使った作品は何か?と、それを参考にこんな作品を書いた。という流れはわかったのですが、事実関係が示されてるだけで、イタリアからどの辺を吸収したの?という疑問については結局モヤモヤします。

 

そこのところをこの記事では考察していきますね。

 

音声ガイドは長澤まさみさん。

アナウンサーかと思うくらい落ち着いた声で解説してくれます。

 

それでは感想をどうぞ!

 

 

概要

会期:2018年10月16日(火)~2019年1月20日(日)

 

開館時間:9:30~17:30

毎週金・土曜日:9:30~20:00

(ただし11月17日は9:30~17:30まで)

※入館は閉館の30分前まで

 

休館日:月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、2018年12月28日(金)~2019年1月1日(火)、1月15日(火)

 

観覧料金:当日:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円
※団体料金は20名以上。
※中学生以下は無料。
※心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。

出典:http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2018rubens.html

 

感想 

イタリアから学んだこと:動きの表現方法 

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※本展にはルーベンスの模写スケッチはありますが、この像自体は展示されていません。

国立西洋美術館の前回の特別展「ミケランジェロと理想の身体展」に展示されていたラオコーン像が再び役に立ちます。

 

ラオコーンとその息子2人が死を目前に苦しむ姿の像です。

ポーズを真似して見てください。すごい苦しいでしょ。

 

右の男の子の首がおかしなことになってるし、全体的に上半身の体勢は無理があります。

でも腕の感じが、もがき苦しんでる様子を的確に表してるんですね。

 

そんなデフォルメをルーベンスは学びました。

 

学んだことをよく表してる作品が、本展に展示されてます。

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『パエトンの墜落』ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 wikipediaより

ギリシア神話パエトーン太陽神の戦車を暴走させたために、ゼウスの雷を受けて墜落する場面を描いている。

wikipediaより

人々の身体がすごいことになってます。

真ん中らへんの女性のポーズなんか、ラオコーン像の息子によく似てます。

ちょっと右下の男性は逆さまになってます。

 

どれもこれも雷の光の線に沿って作られたポーズなんだというのがよくわかりましたし、この絵はザ・ルーベンスだなと思うくらい特徴が現れてます。

 

その特徴は2つ挙げられます。

 

ルーベンスの特徴その1:斜めの線大好き

構図の話になります。

画面に斜めの線があると躍動感が出ると言われています。

フェルメール作品によくあった垂直と水平は、ルーベンス作品にはほとんど出てきません。

 

上の『パエトンの墜落』もそうですし、冒頭紹介した、

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『聖アンドレの殉教』。これ絶対バツ型の十字架に興味があって描いたでしょと思っちゃいました^^;

ポニョポニョしてて可愛い天使たちの身体の向きとか、手前で目立ってる男と女の位置や手とか、もろもろ全部斜めを強調する配置になってます。

 

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これも子供の目線が斜めですね。

寝てる姿って、普通静かな感じを出すために水平の線を取り入れがちですが、ルーベンスの描く子供は、コロコロ転がりそうです!

いかにも子供の寝てる姿って感じで、意外にも計算された絵なんです。

 

うん、何度見ても可愛い。

 

他にも例があるんですが、後回しにしまして次に行きましょう。

 

ルーベンスの特徴その2:振り向き過ぎ。ギョロ目過ぎ。

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『スザンナと長老たち』エルミタージュ美術館蔵 英wikipediaより

基本的にルーベンス作品に出てくる人は振り返ることで感情を表します

ここでは恐怖。

それと、目の向きでも動きを訴えますね。黒目の位置が極端。

 

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『キリストの埋葬』ボルゲーゼ美術館蔵

キリストを抱えてる女性の黒目もすんごい上向いちゃってます。

この絵もいっぱい隠れた斜めの線がありますね。

  

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『エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち』リヒテンシュタイン侯爵家コレクション 展示会チラシを撮影

ケクロプスの娘たちはアテーナーからエリクトニオスの入った箱を預けられたとき、中を見ることを禁じられたにもかかわらず、箱を開けて見てしまい、エリクトニオスを守っていた蛇か、あるいはアテーナーの怒りにふれて滅びたという。

wikipediaより 

ちょっとロゴがあって見づらいですが、下の方に下半身が蛇の子エリクトニオスがいます。上の引用通りの話だとこの後恐ろしいことが起きるんでしょうか?

 

この絵も女性の体とか斜めの線ばかりだし、真ん中の子供の目は、

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上の写真を拡大

真上に飛び出てます。

斜め上の視線というのはあり得るけど、真上を見ることってほぼないのではないでしょうか?

 

自然なように見えてちょっと違和感のあるところが、絵にインパクトを与えているんだなと考えました。

 

最後に

  • ルーベンスはイタリアから感情の表現方法としてポーズの書き方を教わった。
  • 斜めの線をたくさん取り入れることでさらにダイナミックに。

 このあたりが今回のルーベンス展でわかったことです。

 

赤の使い方や、女性・子供の肉感の表現について優れていることはわかっていましたが、よりルーベンスを知ることができてよかった!

 

ここまで書いてきた見方でぜひ作品鑑賞してくださいね。それでは!

 

 

同時開催の展示会の感想はこちら。  

www.maru-shikaku.net

 

www.maru-shikaku.net

 

国立西洋美術館といえば常設展がすごいです!ルーベンス展の後に行ってください!  

www.maru-shikaku.net