ちょうど我が国の公正取引委員会がプラットフォーム事業者に対する公正取引の状況についてのヒヤリングを進めている途上にあるわけですが、日本でのSNSサービス大手に位置するTwitter社の「Twitter」で意味不明の機能制限を喰らい、こりゃいったい何なの? と思うわけです。
しかも、ちょうど政府・知財本部のブロッキング問題で騒動になっているあいだ、告知用のメディアの一つとして、事実上の言論プラットフォーム事業を運営しているはずのTwitterが、通報に基づいた機械的な発言の抽出で異議申し立ての内容を検討しないうちから機能制限や凍結をするというのは適切ではないと思うんですよね。
JILIS(情報法制研究所)やプライバシーフリークカフェでご一緒している高木浩光先生の場合、6年以上前のTweetで東浩紀さんという名前の評論家の方に対し、先日亡くなられた又吉イエス先生の選挙ポスターをもじったこの書き込みが通報の対象となり、機械的に「自殺を助長するもの」と判断され、アカウントがロックされてしまいました。
で、当然高木浩光先生は東浩紀さんに自殺を奨励しているわけではもちろんないこと、また東浩紀さんは殺しても死ななさそうな人物であることは自明としたうえで、異議申し立てをしてたもののこれによってアカウントロックはなぜか解除されず。結果として、誰がやったか知りませんが6年前のTweetは削除しなければならなくなった、という事案であります。
私の原稿アカウント(@kirik_game)の場合は、少女の人形をしたからのぞき込んで見えるパンティに欲情する大人という謎の嘘松がTweetで流れてきたので、わざわざそういう変人を見つけ出してきて「この人は変人だ」と喚き立てる必要はないのではないかと論じているものです。使用した単語は不穏当だったかもしれませんが、別段誰かが具体的にアレであると名指しして中傷しているわけでもありません。
これがなぜか通報が通り、異議申し立ての余地なく削除しなければアカウントはロックされて利用できず、削除後も、7日間の機能制限期間が設けられ、その間はTweetやRTができないどころか、フォロー外の友人にDMが送れなくなり、また相互フォローの友人には画像付きのDMが遅れなくなるという不便を強いられるわけです。
いままでどちらかというとTwitter社が打ち出す施策に対しては賛成であり、また、過去に通報された問題のあるTweetに関しても積極的に削除することは厭いませんでした。しかしながら、議論の文脈も判断せず、異議申し立て中も一方的にアカウントがロックされたり、問答無用なら仕方ないと問題のTweetを削除しても長期間の機能制限をされるというのは大手SNSというプラットフォーム事業者としての能力を著しく欠いているように見えます。
また、私が7月に凍結されたアカウント(@kirik)に関しては、すでに一部ネットメディアで報じられた通り、Twitterのヘビーユーザーは鬱病など精神疾患になりやすいと揶揄したTweetに対して私が「ぶち殺すぞ」と応じたことが問題であるとして凍結に至った経緯があります。
山本一郎さんのTwitterアカウント、凍結される - ITmedia NEWS http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1807/24/news125.html
しかしながら、Twitter日本法人に対する異議申し立てはそのままアメリカのTwitter社本社の決議事項であるとされ、明らかに文脈に対する審査もされないまま、いまなおアカウントが凍結されたままになっています。さらに、以前はTwitter社に対する異議申し立ては米カリフォルニア州で訴え出れば良かったものが、最近利用規約が変更され、アイルランド法人(在ダブリン)に申し立てなければならなくなりました。
日本人相手に日本語でサービス展開し、日本に支社のあるTwitter社が、日本語でのサービス内容やコンフリクトを海外法人を相手にして法的措置しなければ損害が救済されないこと、日本語での文脈を明らかに理解していない、単語ベースと見られる自動検知でアカウントの凍結や機能制限がなされることは、さすがにプラットフォーム事業者としてTwitter社は如何なものかと思います。
別に高木浩光先生も私もパルチザンやフーリガンの類ではなく、極めて穏当かつ紳士的に社会生活を送る健全で生産的な日本人に過ぎないことはご理解いただきつつ状況について皆様にも知っていただきたく、Twitter社には日本語でのサービス運用において改善をお願いしたいと願う次第でございます。
山本一郎 - Facebook
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