後藤健郎(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構代表理事)
まずは、ネット上に散見される批判に簡単にお答えします。
・海賊版サイト対策を尽くしていない。
→尽くしています。
・海賊版サイト運営者の摘発が先だ。
→特定し、告訴し摘発されています。しかし、それでも海賊版サイトの運営を止めることはできなかった事実があります。
・被害額盛りすぎ。
→正規の方法でコンテンツを購入してもらえれば生まれる市場の規模を計算しています。
・通信の秘密の侵害だ。検閲が始まる。
→ISPによるあて先の確認は現在でも日本国内で実施されています。われわれは透明性を確保する司法的ブロッキングの法制化を求めています。
・ネットの自由が崩壊する。
→イギリスはじめ、ブロッキング導入国において、ネットの自由は崩壊していません。
以下に説明しますので、ぜひお読みください。
2018年10月15日、政府の知的財産戦略本部「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(TF・タスクフォース)」の第9回会合が開催されました。
本TFには、私も委員として参加しており、権利者団体の代表として、一貫して「サイトブロッキングの法制化」を求めてきました。
特に、TFにおいて予定されていた「中間まとめ」がまとめられない事態となったことで、さまざまな報道や意見が飛び交っています。
今回、第9回会合の直前に「大容量のデジタルコンテンツをインターネット上で効率的に配信するためのネットワーク「 コンテンツデリバリネットワーク(CDN)」事業者であるCloudflare(クラウドフレア)に対する訴訟提起により、漫画村の運営者が特定できた」との報道があり、これによって「現状であっても対応可能」と見る向きがありました。
しかし、まず私が第一に申し上げたいのは、「運営者を特定し、刑事告訴までいっても止められない海賊版サイトが実際に存在した(する)」ということです。それがAnitube、MioMioなのです。
TFでも繰り返し主張してきましたが、Anitubeに対しては、被疑者を特定することに成功し(この種の事案としては、まれな例です)、2016年3月にブラジル・ウベルランジア警察に告訴状を提出し、2017年1月には被疑者宅の捜索・差押が実施され、2017年10月にはウベルランジア検察が被疑者を刑事裁判所に起訴しています。