自分に合った会社選びというのはすごく難しい。期待して入社した会社が、働いてみると「自分のイメージと違った」「やりたい仕事ではなかった」など、誰でも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。今回は新卒で大手鉄鋼メーカーに入社し、医療職・介護職の人材紹介サービスを提供しているTSグループ(株式会社TS工建)にキャリアアドバイザーとして転職した達脇一寛さんから、大手企業を経て、全くの異業種へ転職した理由をうかがいました。
TSグループ 医療ワーカー メディカル人材バンク リーダー。慶應義塾大学 総合政策学部出身。キャリアアドバイザーとして従事。
会社や時代に左右される働き方への疑問
「このままでは自分がだめになる」。そう感じたことが転職のきっかけです。
リーマン・ショックが起きた年に就職活動をしていたので、安定を求めて一部上場企業の鉄鋼メーカーに就職。生産管理の部署に配属となり、真面目に一生懸命やっていましたが、日々求められるのはマニュアル通り完璧な指示を出すこと。
「この仕事は自分じゃなくてもできるのでは?」。そう感じると同時に「いくらでも代わりがいる人材では生き残ることができない」という危機感を覚えました。大手企業でもいつどうなるか分からない時代。会社や時代に左右されず、どんな環境でも存在価値のある人材になること。それが自分の人生において真の安定だと実感し、転職を決意しました。
これまでの環境を捨てて、全くの異業種へ挑戦
転職活動を始めてから最初にぶつかった壁。それは付加価値を提供できる人材になるための仕事選びでした。前職は誰がやっても同じ商品が出来上がるマニュアルがあり、正確性と効率性をひたすら求められる仕事でした。マイナスをなくしていく仕事よりもプラスを生み出し付加価値を提供できる仕事がしたい。そんな想いで色んな企業に足を運びました。
その時に出会ったのがTSグループだったんです。医療従事者の人材紹介事業を手掛けていることを知り「面白そうなことをやっているな」というのが最初の印象でした。さらに面接に進み、採用担当者から「人はそれぞれ価値観が違うから、コンサルタント次第で正解・不正解が決まる」という話を聞いたときに「これだ!」と思いました。【自分でもできる】ではなく【自分にしかできない】という付加価値を提供できる仕事だと感じられましたね。
大手を辞めることに対する家族からの心配も
全くの異業種に飛び込むことに対しては、意外と不安はなかったです。
変に自信があったのかもしれませんけど、とりあえず頑張ればやっていけるだろうと、なんとなく思っていました。大手の会社を辞めることへの抵抗も自分のなかではありませんでした。
ただ、やっぱり親は思うところがあったのだと思います。父からは「そんな小さなベンチャー企業に行って大丈夫なのか」「将来も安定しているのだから、続けたほうがいいんじゃないか」と心配されました。それでも自分の気持ちは固かったので、その強い想いを伝え「今の環境にいたら自分は成長できない」という話もしました。
コンサルタント次第で正解・不正解が決まる世界で見つけた存在価値
今は看護師さんの人材紹介部門を担当しています。看護師さんはなかなか大変な仕事なので、要望も多い。だからこそ、それに応えられるような提案が必要ですし、採用する側と求職者側と双方の信頼関係がきちんと築かれていなければいけません。
一人ひとり価値観は違うので、こちらの提案にも正解があるわけではありません。転職できたからといって、その先でうまくいかなかったら正解ではないわけですから。希望の給与や場所といった表面的な条件のことなら誰でも聞けるんですよね。でもそうではなくって。その人にとって仕事とは何なのか。転職をする上で本人も気がついていない、本質的な問題を引き出すことが、転職を成功させる上で大事な部分です。
ただ、これに関しては完全なマニュアルは存在しないし、決まりきったやり方ではうまくいかない。それができるかどうかは全てコンサルタントの実力次第。ここに、自分の求めていた「存在価値のある人材」としての成長があると感じています。なので、転職をしてとても満足しています。
葛藤があったからこそできる最高の転職支援のその先
転職したい看護師さんがいなくなったら、この仕事って必要なくなるじゃないですか。でも、転職はできればないほうがいい。
転職にも2種類あって、キャリアアップといったポジティブな理由であればいいのですが、今の職場に不満があるネガティブな理由のケースも少なくありません。自分自身が転職したときも、最初はネガティブな理由でした。なので、私が転職をお手伝いする方にはネガティブな理由による転職をしてほしくないという想いがあります。
看護師さんから「いい転職だった」と言ってもらえるようなコンサルティングをしていきたいですね。企業は人なりと言うじゃないですか。看護師さんの幸せだけを考えるのではなく「人」という繋がりから、その延長線上にある、紹介先病院などの経営課題を解決できるような仕事も今後はやっていきたいなと思っています。