「幸せは想いひとつでカタチが変わる」
宝くじで“1億円”当たると、その後の人生どうなるの? リアル「億男」に聞いてみた
今年もそろそろ「年末ジャンボ宝くじ」のシーズンがやってきます。ボクも、「1億円当たりますように…!」と祈りながら買うものの、いつも当たるのは「300円」。
「そもそも、宝くじで1億円当たるなんて、都市伝説では…?」
そんなことを思っていたら、出会ってしまったんです。そう、リアル「億男」に。
偶然出会ったフツーの男性が、「じつは宝くじが当たりまして…」というのです。その詳細をインタビューしてみることにしました。
〈聞き手:西村創一朗〉
米谷大輔さん。1983年生まれ。高校を卒業してから、大手製造会社で働いています
西村
米谷さん
いいですよ。当時の通帳の写真を撮ってきました。
半額を通帳に入れたので、5000万円が記帳されています。
西村
おお…! 通帳でこんなに0が多いのは初めて見ましたよ!
今回は宝くじが当たったときの話から、生活がどう変わったのかなどの話をたっぷり聞かせてください!
初めて購入した「サマージャンボ宝くじ」で1億円が当選
西村
さっそく「1億円」が当せんしたときの話を聞かせてほしいのですが、当せんしたのはいつごろなんですか?
米谷さん
2006年ですね。当時はまだ23歳でした。
西村
そんな若いときに1億円を…!
米谷さん
しかもそれが人生で初めて買った宝くじだったんですよね。
「買わなきゃ当たらない」とは常々感じていましたけど、実際に購入しようとは思っていなかったんです。
西村
究極のビギナーズラック!
なぜその機会に購入されたんですか?
米谷さん
そのとき、まだ彼女だった妻とドライブで「刈谷ハイウェイオアシス」(愛知県)に行ったんですよ。
そしたら、ちょうど「サマージャンボ宝くじ」のシーズンで、もともと宝くじをよく購入していた彼女から、「せっかくだから買おうよ」と言われたんです。
西村
その宝くじが当せんしていたんですね。
米谷さん
はい。まさか当たっているとは思わなかったので、しばらく車のダッシュボードに放置してました。
「捨てなくてよかったです(笑)」
西村
そんな期待してなかった宝くじが当たったときってどうでした?
米谷さん
彼女が見つけたんですよね。
彼女の職場では、同僚もみんな宝くじを買っていて、宝くじの当せん番号が発表される時期になると、みんなで新聞を“穴が開く”くらい見て確認していたんです。
それで、いつもの通り読み合わせをしていたら、1億円の番号が、まさに彼女がその手に持っていた宝くじに書かれていたんです。
奥さんは「あ、当たってる…! しかも、い、いちおくえん…!」となったそうです
米谷さん
すぐに彼女から興奮気味に「1億円当たったよ!」と報告をしてもらったのですが、そのときの感想は「ふ〜ん、そうなんだ」くらいのあっさりしたものでした。
西村
ええっ!? 1億円ですよ!
ボクだったらすぐに「何に使おう」とか「人生勝った」とか、我を忘れるほど大興奮しちゃいます。
米谷さん
金額が大きすぎて、現実味がまったくなかったんですよね。だからまったく舞い上がらなかったです。
あっ、でも当せん金の受け取りのために「銀行に行くので、会社休みます」と上司に申請したときはドキドキしましたね。
さすがに「1億円当たったので会社休みます」とは言えなかったので(笑)。
西村
感情の揺さぶられどころがおかしいですよ…
宝くじで高額当選したら、そのあとどうなる?
西村
当せん金って、どうやって渡されるんですか?
米谷さん
振り込みか現金の手渡しか選べるようです。
私は持っていても仕方がないので、振り込みでお願いしますと伝えました。
だから1億円は通帳で一瞬見ただけですね。
西村
ち、ちなみに、その1億円は何に使ったんですか?(ゴクリ)
米谷さん
実はほとんど使ってないんです。
というのも、宝くじの受け取り手続きをしたあとに、銀行の支店長や副支店長が勢ぞろいであいさつにくるんですよ。
そこで「絶対に当行で運用してください。オススメなのはこちらのプランで…」って話をされるんです。
若いのも重なり、すすめられるがままに半分を安定の保険型の定期預金、残り半分を当時米ドルの利率が1.8%とよかったので、プロを信じて米ドルで定期預金に入れてしまいました。
「今思えば、よくできたビジネスモデルですよね」
米谷さん
当時作った定期預金が10年の満期を迎えたのが2年前。
利子が積み重なって、当時20万ドルだったお金が32万ドルくらいになって返ってきました。
西村
約1000万円くらいプラスになってますね!やっぱり元手が大きいとリターンもデカい!
米谷さん
そうなんですよ。今はそのお金をオーストラリアドルに運用を移し替えてあります。それも言われるがままに(笑)。
ただ、このリターンの税金がかなり重くて…
西村
ああ…確かにその額はきつそうですね…
米谷さん
あのときほど日本の税制を妬ましいと思ったことはないですね(笑)。
突然、100万円弱くらい振り込めって通達がきたんですよ。元金はすぐ運用してしまったので、手元にお金は一切残ってない。“納税貧乏”になってしまいました。
当時は「オレにそんなお金があるわけないだろ!」って思っていたそう
「1億円」が人生を劇変させなかったのは、祖父の教えがあったから
西村
「ロト6で3億2千万円当てた男の悲劇」という本があるくらい、宝くじの高額当せんは良くも悪くも人生を劇的に変えてしまうイメージがあります。
米谷さんは、「1億円当たったぞ! 脱サラだ!」とはならなかったんですか?
米谷さん
ないですね。1億じゃ辞めても将来生きていけないだろうなとは思ってたので。
西村
23歳で達観していますね…。よくそこまで冷静にいられるなあと思います。
米谷さん
多分10万円とか100万円が当たっていたら、「新しいiPhoneを買おう」とか「海外旅行に行こう」とか具体的な物に換算できてしまうので喜んでいたでしょうね。
しかし、1億円はあまりに高額すぎてピンときませんでした。
また、プロにすすめられるがままに海外の預金口座に送金してしまったのと、通帳でしかお金を確認しなかったのも大きかったと思います。
もし、平積みにされた現金1億円を目の前で見せられていたら、目の色が変わって人生が狂っていたかもしれません。
西村
それじゃあ米谷さんは宝くじで1億円が当たっても、人生は何も変わらなかったんですね?
米谷さん
そうですね。もともと1億円がなくても生活は問題なく回っていたので、特に何も変わってないと思います。
西村
それはまた…夢のない話に聞こえますね…
大金を手にしても、消費に狂わなかった理由は何だったのでしょう?
米谷さん
それは、物心ついたときから祖父に「生きたお金を使え」と言われていたのが大きく影響しているんじゃないかなと思います。
西村
生きたお金?
米谷さん
「生きたお金」とは、自分が本当にときめいて「欲しい」と思ったものを購入するときに使うお金です。
逆に、消費衝動に襲われて使ったお金を「死んだお金」と祖父は呼んでいました。
考えて使うことを教えてくれたのだと今は感謝しています。
西村
すごい…昔からお金の英才教育をされていたんですね。
米谷さん
そうですね。
祖父からは「自分自身でしっかり誰かの役に立って、きちんと自分の力で稼いだお金を使え」。また、「お金を自分のためだけに使うのではなく、誰かの役に立つように使え」とも言われていました。
ただ残念なことに、今は手元に現金はありませんので、誰かのために使いたくとも難しい面が多々ありますね(笑)。
でも、これらの教えが染み付いていたからこそ、「1億円」という大金を得ても人生が変わらなかったんだと思います。
西村
なるほど。
では、1億円を得て不幸になる人って、そういうお金の価値がわかってないからなんでしょうかね?
米谷さん
それはおそらく、幸せの価値が定まってないからだと思います。
だから消費が幸福だと思い込んでしまって、気が付いたら一文無しになっている…。そういう使い方しかできないんじゃないかなって思います。
本当の幸せって日々の生活にあふれていますから。
西村
耳の痛い話です…。宝くじが当たってなくても、「自分の幸せ」についてちゃんと考えなければいけないですね。
今日は本当にありがとうございました!
宝くじで億万長者に。一見夢のような話ですが、実際に大金を得た人からは、予想だにしない話が聞けました。
金額の大小にかかわらず、お金との向き合い方を教えてくれた米谷さん。あれから毎年宝くじを購入しているそうですが、一度も当たったことはないそうです。
まもなく「年末ジャンボ」のシーズン。幸運は誰に降りてくるかわかりませんよ!
〈取材・文=西村創一朗(@souta6954)/撮影・編集=福田啄也(@fkd1111)〉
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明日登場するのは…?
今日は聞きたいことが山ほどあるんですが、まずは1億円当たった証拠などを見せていただいてよろしいでしょうか…?