かんぽ生命がヘッジ外債積み増し、欧州バンクローン投資開始

  • 円金利資産はデュレーション維持で投資、償還が投資上回り残高減少
  • オープン外債は残高維持、短期的な円高で追加投資も

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

Photographer: Tomohiro Ohsumi / Bloomberg

かんぽ生命保険は今年度下期(10月ー2019年3月)の運用計画で、為替リスクを回避(ヘッジ)した外国債券の残高を積み増し、欧州バンクローン投資を開始する。円金利資産の残高は減少する見込みだ。

  浅井重明・運用企画部長らが24日の記者説明で明らかにした。ヘッジ外債の残高は「増加」を予定している。運用収益向上の観点から上期に続き残高を積み増す。海外金利、ヘッジコスト、国内金利の水準などを踏まえ機動的に残高を調整していく。

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  下期は新たに資産運用の多様化で、欧州バンクローンやマルチアセットの中でリスクプレミアファンドへの投資を検討する。上期は、低金利環境下でも安定した資産運用収益を確保するために、米国社債のインハウス運用、海外不動産やJPインベストメントを通じた未公開株(PE)投資を開始した。

  オルタナティブの残高は収益性向上を目的に、上期と同様に下期も積み増す。2020年度末までに約1兆円まで積み上げる方針で、年度末には残高5000億円程度を見込んでいる。浅井氏は「時間分散を図りつつ、こつこつと中長期的に残高を積み増す方針」という。

円金利資産は減

  円金利資産の残高は上期同様に減少を計画している。国内の低金利継続を見込み、デュレーション(平均残存年限)を維持するスタンスで投資するものの、償還が投資を上回る見込み。金利上昇局面では追加投資など機動的に対応する。浅井氏は「30年債で1%になると負債コストに見合って買える水準」と話すが、国債市場の流動性は低く過度に投資すると金利を押し下げるため、慎重に臨む。

  オープン外債は「横ばい」を見込むが、為替水準などを踏まえ機動的に残高を調整する方針。福嶋亮介・運用企画部担当部長は「短期的に円高に振れた局面で、一時的と判断すれば追加投資の可能性はある」と述べた。上期は円高を警戒し、ドル建て資産を一部売却し残高は減少した。

  内外株式は「横ばい」を想定しているが、相場が調整する局面では追加投資など機動的に残高を調整する考え。上期は相対的に割安な国内株を積み増した。  

【2018年度下期の運用計画一覧】

単位:
億円
国内債外債ヘッジ
外債
オープン
外債
国内株外国株新規
成長
かんぽ減少増加増加横ばい横ばい横ばい--
日本横ばい~
増加
--横ばい~
減少
増加内外株
で増加
内外株
で増加
増加
三井横ばい増加100
程度
増加横ばい--100
程度
富国横ばい横ばい横ばい横ばい▲100300--

【2018年度下期金融環境見通し一覧】


国内金利
(%)
米国金利
(%)
日経平均
(円)
ダウ
(ドル)
ドル円
(円)
ユーロ円
(円)
かんぽ0.0~0.3
(0.2)
2.8~3.3
(3.0)
21000~25000
(23000)
23000~27000
(25000)
100~120
(110)
125~145
(135)
日本▲0.20~0.20
(0.10)
2.7~3.7
(3.20)
21000~26000
(24000)
23000~28000
(26000)
104~124
(114)
125~145
(135)
三井▲0.10~0.20
(0.10)
2.8~3.6
(3.2)
24000~
25300(24600)
24200~
27800(26500)
106~116
(111)
122~137
(130)
富国▲0.10~0.20
(0.15)
2.7~3.5
(3.3)
20000~
26000(24000)
23000~
28000(26500)
100~118
(113)
120~140
(132)

※かんぽ生命、日本生命は年度末レンジ(年度末見通し)
※三井生命は18年度末見込み(中心)
※富国生命は18年度下期の想定レンジ(年度末)

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