株式市場の下落
普段はあまりトレンドについて書かないのですが、1つの節目になりそうなので書いておきます。株式市場は結局、米国中心です。そのため、米国株が下げれば日本株もEU株も、そして新興国株も下げます。むしろ、米国株よりも大きく変動します。
また、公益株や生活必需品株がNasdaqのようなグロース株のボラティリティを完全にヘッジできるかというとそういうわけでもなく、結局は現金も含む異なるアセットが最も強いということになります。これはある意味では当然ですね。
短期では電力などの公益株、決算の良かったP&Gやボーイングといった一部の株は上げていますが、これは下げがまだ序の口だからです。リセッションに入れば、程度の差こそあれすべて下げます。
そういう意味では、株式を株式でヘッジするというのは無理があります。少々相場のボラティリティが高まっていますので、これはいい練習だと思って相場に臨むとよいでしょう。
Nasdaq、ダウ、S&Pの下げは今までよりも深い
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これはS&P500連動のSPYのチャートですが、大きく200日線を割り込んできました。この数年来200日線を大きく割ることはありませんでした。今までは200日線にタッチすれば買い、というシンプルな行動で取れましたが、今回はそれが割れてしまったということになります。
ダウ30種連動ETFであるDIAが200日線を割って終わるのは2016年3月以来ということで、これは歴代最長の記録だということです。これは2年半の間、誰でも勝てる、イージーな相場だったことの裏付けですね。
米国株3指数のうち2つが年初来でマイナスになる
また、S&P500とダウ30種は年初来でマイナスになっており、これもまた数年来無かったことです。Nasdaqだけが辛うじてまだプラス圏です。
Nasdaqはここまで米国市場を引っ張ってきましたので、下落幅が大きく見えます。しかし、それでもまだ今年の利益のすべてを吐き出したわけではないということですね。ぎりぎり踏みとどまっています。
しかし、2017年のような常に上がり続ける相場は終了したと見るほうが正しいでしょう。
今後の相場の見方と対応
決算ラッシュの10月です。そもそもアノマリーとしては、ファンドの売りが出やすい時期で、相場変動の起きやすい月と言えます。
決算は強弱まちまちといったところです。意外なところではP&Gが強かったです。前回の決算で一部商品の値上げを表明していましたが、利益率も含めて改善したということですね。それから、ボーイングも良かったですね。特にボーイングが良かったのは相場全体にとっては良いことでした。景気連動性があるからです。
キャタピラーや3Mは弱かったです。特にキャタピラーが弱かったのは注目されてよいですね。前回弱かったのは中国の建築需要が落ち込んだ時、チャイナショックの時でした。建機というのはこれもまた景気の影響を大きく受けます。キャタピラーの上席が「いつも上がり続けるのは不可能」という趣旨の発言をしていましたが、その通りなのです。長く続くようならば、景気の曲がり角として指標になります。
このような時期だからこそ、シクリカルな株の決算には注目したいところです。いずれにせよ、すべての企業の決算が良いわけではないということですね。
繰り返しになりますが、このような下げで動揺してしまうのはポジションの取りすぎということになりますから、時機をみてもう少しポジションを落としておくと良いですね。このまま下げ続けるシナリオも考えにくいですから、そういう意識を頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
反転して「まだまだいける」とホッとするのか。下落時のことを忘れずにポジションを落とすのか。債券や現金を持つ意味というのはこういう相場で初めて実感できるのではないでしょうか。
ドルコスト的にVTIやS&P500を買い付けている人、特につみたてNISAで買っている人は少額ですからいい勉強になっていると思います。相場とはこういうものです。半値になっても良い株、ETFを買うというのが大事ですね。
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