自民党は24日、党本部で法務部会を開き、外国人労働者の受け入れ拡大に向け新たな在留資格を設ける出入国管理法改正案について地方自治体からヒアリングを行った。前日の部会では出席議員から改正案に反対する意見が相次いだが、受け入れ拡大を支持する意見も出て、賛否が分かれた。

 岩手県大船渡市、愛知県豊橋市、熊本県からヒアリングを実施。3自治体とも農業などの人手不足を理由に受け入れを求めた。

 政府は滞在期間が最長5年で、家族の帯同を認めない在留資格を設ける方針だが、戸田公明・大船渡市長は「(対象を)全業種に拡大し、5年も延長して、家族の帯同も検討してほしい」と訴えた。

 これに対し、一部の出席議員は「自治体が言うように制限を外していくと実質的に移民になる。地方参政権をどうするのか」などと懸念を示した。

 一方、部会には農林部会の野村哲郎部会長も出席し、人手不足に直面する農家から受け入れ拡大を求める声が寄せられていることに触れ、「地元から『期待している法律を自民党はたたき潰す気か』と怒りの声が出ている。これでは来年の選挙なんかできない」と賛成を呼びかけた。

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中国は数百で日本ゼロ、戦力の不均衡

米国政府が、旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明した。日本では、この動きが核廃絶に逆行するとして反対する声も強い。だがこの条約は、中国が中距離ミサイルを大増強することを許し、米国にその抑止の対抗手段をとることを禁じてきた。中国の中距離ミサイルは日本を射程に入れている。この現実からみれば、米国の同条約離脱は、日本の安全保障にとって対中抑止力を高める効果を生む側面もある。 核兵器の削減や破棄の条約ではない 米国のトランプ大統領は10月20日、米ソ中距離核戦力全廃条約の破棄を表明した。東西冷戦の終盤の1987年に、当時の米国のレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長とが調印した条約である。 その内容は、米ソ両国に、核弾頭および非核の通常弾頭を搭載できる地上配備の「中距離ミサイル」を全廃することを課していた。水上や空中から発射する中距離ミサイルは除外されていた。 中距離ミサイルとは、射程500キロから5500キロまでの弾道、巡航両方のミサイルを指す。この「中距離」の定義は、従来のミサイル区分の「短距離」(射程1000キロまで)、「準中距離」(1000から3000キロまで)、「中距離」(3000から5500キロまで)のすべてを含んでいた。だから米国もソ連、そしてその後継国家とされたロシアも、この条約を守ることによって、これらの幅広いカテゴリーのミサイルは一切開発も保有も配備もできないことになっていた。 ただし、INF条約はあくまで中距離ミサイルの禁止であり、核兵器自体の禁止や削減ではない。このあたりについても、いまの日本の一部の反応は的外れと言うことができよう。核兵器の削減や破棄の条約ではなく、単に特定の種類のミサイルの全廃条約だったのだ。 INF条約が禁止するミサイルを大量に保有する中国 米国側は今回のこの条約破棄の理由として、まず「ロシア側の条約違反」を挙げた。ロシアが2014年ごろから条約に違反して新型の地上発射巡航ミサイルを製造し、配備しているという非難である。 さらにトランプ政権は条約破棄の理由として中国のミサイル大増強も挙げていた。複数の米軍高官は今回の米国の動きに関連して、「もし中国がINF条約に加盟していたとすれば、いま中国が保有する全ミサイル約2000基のうち95%相当が条約違反となる」と言明した。つまり中国は、INF条約が禁止する1900基もの中距離ミサイルを保有・配備しているというわけだ。 米国議会で安全保障問題に精通するトム・コットン上院議員(共和党)は10月21日、次のような声明を出した。 「米国のINF条約破棄の真の理由は、ロシアよりも中国の行動だといえる。中国は中距離ミサイルに関して制限は皆無である。そのため多数の中距離ミサイルを配備して、米国やその同盟諸国への大きな脅威となってきた。一方、米国は地上配備の中距離ミサイルはゼロであることを強いられてきたのだ」 米軍当局も東アジア、西太平洋の安全保障に関して中国のミサイルの脅威への警告を発し続けてきた。今年(2018年)3月の上院軍事委員会の公聴会では、ハリー・ハリス太平洋統合軍司令官(現在は韓国駐在大使)が以下の骨子を証言している。 ・中国人民解放軍は、弾道ミサイルの分野で最も劇的な進歩を示し、あらゆる種類の基数、型式、精密度などを高めている。とくに最も技術の進歩が顕著なのが、準中距離弾道ミサイル(IRBM)だ。中国軍のミサイル戦力全体のなかでIRBMは90%以上を占める。 ・中国のメディアは定期的にミサイル開発を大々的に宣伝するが、その際は、それらミサイルが特定の国を標的にはしていないことを強調している。しかし各種ミサイルの飛行距離を実際の地理に置き換えてみると、どのミサイルがどの地域を標的としているかが明らかとなる。 ・短距離弾道ミサイル(SRBM)は台湾と米海軍空母機動部隊の海上活動を標的とし、IRBMは日本国内の米軍基地とグアム島を主要な標的としている。この脅威を抑止するには米軍も中国本土に届く同類のミサイルを配備することが必要である。だが、INF条約のために地上配備の中距離ミサイルはまったく持てず、中国との均衡を大きく欠いている。 ハリス司令官はこのように証言し、INF条約が東アジアでの米国対中国の中距離ミサイル戦力の極端な不均衡をもたらし、米側の対中抑止力をなくしたことに対して警鐘を鳴らした。 東アジアでの対中抑止力といえば、まさに日本の国家安全保障への直接的な意味を持つ。つまり中国は日本を攻撃できる中距離ミサイルを、弾道と巡航の両種類を備え、核弾頭も含む弾頭を少なくとも数百基の単位で持っているのに、日本はゼロである。その日本を防衛するはずの米国も、地上配備の中距離ミサイルとなるとゼロに等しいという不均衡なのだ。 以前からあったINF条約「破棄」論 他国からの軍事攻撃や威嚇を防ぐには、その相手を同じ水準で攻撃し、威嚇できる軍事能力を持つことが効果的な抑止とされる。米国の歴代政権はそうした抑止を安全保障の最大の基軸としてきた。だが現実には、INF条約が米国の中距離ミサイルによる抑止力を奪う結果となってきた。 ロシアが相手であれば、互いに中距離ミサイルは持たないことで均衡となる。ロシアは公式には条約を守ることになっているからだ。そこには安定した相互抑止の状態が生まれるというわけだ。 だが東アジアの状況は異なる。中距離ミサイルを多数、保有する中国はもちろん、北朝鮮までが米国に対して圧倒的な優位に立ってきたのである。 米国では、この東アジアでの不均衡が危険だと懸念して、INF条約を破棄して均衡を取り戻すべきだという意見が以前から表明されてきた。そのなかには日本への直接的な提言もあった。民間研究機関の「プロジェクト2049研究所」は2011年に「21世紀のアジアの同盟」と題する政策提言の報告書を発表した。プロジェクト2049研究所の所長は、現在、トランプ政権の国防総省で東アジア、太平洋問題を担当する次官補のランディ・シュライバー氏が務めていた。 同報告書の中には、日本への言及として以下のような提言があった。 ・中国は日本を攻撃できる中距離ミサイル多数を配備して、脅威を高めている。だが、日本側には抑止能力はない。もし日本が中国からミサイルによる攻撃や威嚇を受けた場合、同種のミサイルで即時に中国の要衝を攻撃できる能力を保持すれば、中国への効果的な抑止力となる。 ・日本が独自の中距離ミサイルを開発も配備もしない場合、日米同盟による米国の中距離ミサイルの存在が日本の安全保障にとって有効な抑止力となる。だが米国の中距離ミサイルの配備は米ソ間の中距離核戦力全廃条約によって禁止されている。このため、「中国抑止のために同条約を破棄する」という選択肢も検討されるべきだ。 このように、日本の安全保障のためにもINF条約は破棄されるべきだとする意見が、米国内部にはなんと7年前から存在したのである。その大胆な意見を公表した研究所の所長が今やトランプ政権の東アジア太平洋担当の国防総省高官となっている点は、日本としては大いに目を向けるべきだろう。 今後、米国は中距離ミサイルを自由に保有し配備できるようになる。日本周辺の東アジアでも中距離ミサイル戦力を備えることが可能になる。だから、対中抑止力の復活ともいえる。米国がINF条約を破棄することは、日本にとってこんな前向きな意義も考えられるのである。

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スペイン・バルセロナの空港に着陸するアイルランドの格安航空会社ライアンエアの旅客機(2018年9月28日撮影)。

機内で人種差別、航空会社に非難

【AFP=時事】アイルランドの格安航空会社ライアンエア(Ryanair)のスペイン・バルセロナ発・英ロンドン行きの旅客機内で19日、白人男性が高齢の黒人女性に人種差別発言を浴びせた動画がインターネット上で拡散している。男性とライアンエアに対する怒りの声が広がっている他、英警察が捜査に乗り出した。 この3分間の動画はフェイスブック(Facebook)に投稿され、これまでに400万回以上視聴されている。 白人男性と黒人女性が座席をめぐって口論となり、別の乗客が女性は身体が不自由だと訴えると、白人男性は女性をどかすと脅迫した上、「醜い黒ブス」と呼んだ。しかし、ライアンエアはこの白人男性を降機させなかったため、ソーシャルメディア上で非難の的になっている。 動画を撮影したデビッド・ローレンス(David Lawrence)さんは説明文の中で「彼(白人男性)は、女性が黒人だからという理由で、隣に座るのを拒んだ」「ライアンエアには顧客を守る責任があるのに、その責任を果たさなかった!」と指摘している。 さらに、ローレンスさんは動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿した動画の説明文で「この高齢の婦人は別の席に移されたが、男性の方は余分なスペースがある状態でそのまま旅を続けることができ、機内サービスも受けられた」と主張している。 英警察によると、この事件は問題の旅客機がバルセロナの空港の滑走路上にあった時に起きたという。 ロンドン・スタンステッド空港(London Stansted Airport)を管轄するエセックス(Essex)警察はAFPに対し、21日にこの事件について把握し、現在スペイン当局と協力して捜査に当たっていると語った。【翻訳編集】AFPBB News

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皇太子に「最終的な責任」トランプ氏

[イスタンブール 24日 ロイター] - トランプ米大統領は、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の死亡について、同国の実権を実質的に握っているムハンマド皇太子が最終的な責任を負っているとの認識を示した。今回の問題を巡り、トランプ大統領が示した最も厳しい発言となる。トルコ・イスタンブールのサウジ領事館で起きたカショギ氏殺害について、ムハンマド皇太子は下級工作員によるものと主張。トランプ大統領は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、皇太子の主張を信じたいとしつつも、責任はより高い地位にあるとの考えを示唆した。ムハンマド皇太子がカショギ氏殺害に関与していた可能性があるかとの質問に対し、トランプ大統領は「皇太子はサウジ政府でかなりの実権を握っており、誰かが動いたのであれば、おそらくムハンマド氏だろう」と応じた。さらに、計画の初期段階で今回のことを知っていたかムハンマド皇太子に尋ねたが、皇太子は否定したとし、「誰が始めたのかと聞いたところ、下位の役職の者と答えた」と語った。皇太子の回答を信じているのかとの質問に対しては「信じたい」としたほか、サルマン国王は事前に何も知らなかったことを確信していると述べた。WSJとのインタビューに先立ち、トランプ大統領は記者団に対し、カショギ氏の殺害でサウジは「史上最悪の隠ぺい」を行ったとの見解を示していた。 この日はこのほか、ポンペオ国務長官が 国務省職員に宛てた電子メールで、米政府はカショギ氏の殺害を巡り完全な解明を求めるとの見解を示した。カショギ氏の殺害を巡ってはトルコ大統領補佐官が「ムハンマド皇太子の手は血塗られている」と発言。この発言がエルドアン大統領の見解を反映したものかは現時点では不明だが、大統領に近い人物の発言としてはこれまでで最も厳しいものとなる。 トランプ氏、およびトルコ大統領補佐官が示した見解についてサウジ当局者からコメントは得られていない。*内容を追加しました。

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