安田純平さん解放でも残る謎 なぜカタールは身代金を肩代わりしたのか
シリアで行方不明になっていたフリージャーナリスト安田純平さん(44)が23日、解放されたと菅義偉官房長官が発表した。安倍晋三首相は今回の解放にはカタールとトルコの協力があったと明かし、河野太郎外相は「健康状態は一見すると良い」と述べた。2015年6月に安田さんが行方不明になって3年以上が経つ。なぜこのタイミングで解放に至ったのか。友人であり、フリージャーナリストの常岡浩介さん(49)に話を聞いた。
【安田純平さん拘束これまでの経緯】
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――安田さんの解放にはカタール、トルコの協力があったとの発表がありました。
カタール政府が今回の解放の決定打ではないかと考えています。ヌスラ戦線の誘拐事件ではこれまでもカタールが解放の決め手になったケースが複数あります。身代金という形は取っていませんが、支配地域にカタールの物的支援が入った直後に人質が解放されるケースが何件かありました。トルコはイドリブ県で大きな勢力を持っています。出国や人間の引き渡しもトルコが関与しなければどうしようもありません。
――日本政府は身代金には応じていないとしています。カタールが肩代わりしたということでしょうか。
可能性はあると思います。安田君のケースに関して言うと、2015年6月に彼が拘束されて、その年の9月に連絡が取れていたウイグル人グループからカタールの救援リストに安田君の名前が入っているという話がありました。なので、その時から既に動き始めてはいたのだと思います。
――そして3年以上経ちました。
長かったと思います。ヌスラ戦線で捕まったケースでも初動がうまくいった場合は数週間で解放されています。ポーランド人のジャーナリストは6週間で解放されました。安田君は初動がうまくいかず、長期化グループに入ってしまった。なので、後どのくらいかかるのかというところは見当がつきませんでした。
――どうしてこのタイミングで進展したのですか。
今までよりも積極的にカタールが動いたのでしょう。7月末に安田君の動画が公開された時、菅房長官が解放に向けて全力を尽くすと話しましたよね。ああいうコメントを出すということは何かが動いたんだろうと想像はしていました。