ペロロンチーノの災難 original end~モモンガによろしく~ 作:善太夫
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アインズ・ウール・ゴウン魔導王国。
かつてペロロンチーノが在籍したユグドラシルのギルドの名を冠した国家。
そして魔導王アインズ・ウール・ゴウン。
バハルス帝国で武王と闘った際の話を聞く限りオーバロード、つまりギルドマスターだったモモンガに間違いない。
ペロロンチーノはすぐさま魔導王国首都エ・ランテルに向かった。
事態は急を要する。
ペロロンチーノは惜しげもなく散財し早馬車を駆けさせて二日の後、エ・ランテルに到着した。
ペロロンチーノは悩んだ。
いくら親しくしていた友人とはいえ、現在の姿からペロロンチーノと信じてもらえるか自信がない。
ええい、ままよ。
行き当たりばったり、いや、臨機応変と言った方が良いか…とりあえず会ってみれば良い。
今回の相手は99%間違いなくモモンガさんだから。
ペロロンチーノは大きく深呼吸してエ・ランテルの魔導王の館に向かった。
※ ※ ※
魔導王の館の門番、
『ま…まさか本当に…でも、このオーラは間違いなく至高のお方のもの…只今アインズ様にお取り次ぎ致します。』
しばらくするとかつてナザリック地下大墳墓にいたメイドの一人が出てきてペロロンチーノを招き入れた。
通されたのは来賓室とでもいったものだった。
ナザリックには比べようがないものの、なかなか立派である。
(先程のメイドは間違いなくナザリック地下大墳墓のホムンクルス一般メイド…拠点NPCである彼女が何故ここにいる?…本来ならばナザリックから出られないはずじゃなかったのか?)
ペロロンチーノは混乱した。
もしかしたらこのエ・ランテルが何らかしらの理由でナザリック地下大墳墓と融合したのか?それとも“この世界”ではNPCが自由に活動出来るというのか?
これがヘロヘロなどのプログラム担当なら明確な答えが導き出せるかもしれないが、ペロロンチーノには皆目見当がつかなかった。
メイドはそんなペロロンチーノにお構いなく紅茶をいれた。
ペロロンチーノは温かな湯気が立ち上るカップをただただ見つめていた。
『それでは失礼いたします。間もなくアインズ様がお見えになります。』
メイドはお辞儀をすると部屋を出ていった。
まるで人間と同じだ……ペロロンチーノが知っているユグドラシルでのNPCはただ、そこに存在するに過ぎない。
そして侵入者が来ると自動的に攻撃をしたり、もしくは一般メイドの様にいくつかの動作をプログラム出来る雰囲気作りのオブジェクトに過ぎなかった。
それが“この世界”ではまるで生きているかのようだった。
ペロロンチーノが物思いにふけっていると扉がノックされた。
『失礼致します。アインズ様がお見えになりました。』
先程のメイドが扉を開ける。
漆黒のロープを纏った魔導王、アインズ・ウール・ゴウンその人が部屋に入って来た。