ショートストーリーは読みますか?私はショートストーリーが苦手でした。せっかく親しんだ世界観からすぐに現実に戻らないといけない。もっと、その小説の世界観や登場人物と一緒にいたいと思うのに一瞬で終わっちゃうのはつらいですよね。でも、社会人になってからは限られた時間の中で色んな世界観を楽しめる、ショートストーリーもいいんじゃないかなって思うようになりました。

ということで今日ご紹介するのもショートストーリーを集めた本『という、はなし』です。

という、はなし (ちくま文庫)
吉田 篤弘
筑摩書房
2016-12-07




こんな人たちに薦めてみたい!
  • 電車やカフェで少し手持ち無沙汰になってしまう人
  • 仕事からの気分転換を短時間でしたい人
  • 謎解きや空想が好きな人
 24のショートストーリーが収められた本書は気分転換に最適。小旅行に出た際、外の景色に少し飽きたら、この本を取り出すなんてのもいいかも(ただし、長期旅行の場合、帰路までには読みきっちゃうと思うのでご注意を)。気軽に読みはじめられ、すぐ中断することもできます。そして、挿絵を見るとさらなる発見や解釈ができちゃうかも。
世間一般で「面白くない」と決めつけられた本でなんだか不憫で、「よし、そんなことなら、自分なりに面白く読んでみせよう」と思い立ってから、人生も読書も大きく変わったように思います。
(本書Pg119より)

 人生も読書もそんな風に楽しめる人が書いている本です。それは楽しいに決まっていますよね。私も、同様のスタンスで色んなことに臨めたらなぁと思う次第。。。。ちょっと難しいですけどね。

    

■紹介文          



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(吉田篤弘さんの本はたくさん出ているので、読み集めるのが楽しいですね)

 24個の挿絵とともに描かれた24のショートストーリーが本書には収められています。
本の帯に書かれている通り、いずれも本にまつわるショートストーリーです。本を読む人、本を読みたい人、本に取りつかれた人、色んな人が出てきます。ただ中には、本にあまり関係ないようなストーリーもちらほら。。。でも、じっくり読んでみるとどこかに本との関係があったり、、、なかったり。

 いずれのストーリーも温かく、人のあるストーリー。寒い季節にはココアやホットミルクと一緒に。暑い季節なら扇風機を回しながら、縁側で読んでみてはいかがでしょうか。

 (ショートストーリーなので、内容は割愛)
 
    

■感想(ネタばれ注意)  


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(短編も長編も各々の楽しさがありますよね。pexelより)

 とにかく不思議な本でした。一番最初の物語を読んだとき、面白いけど、違和感を感じたんです。


 読み進めるごとに各章にでてくる不思議な主人公の数々。そして物語と絡み合うような挿絵。本を読み進めるごとに、どうやったらこの挿絵とストーリーができているんだろうと不思議に思うようになりました。とにかく、挿絵を見て想像がつくものもあれば、つかないものもあってそれが絶妙なんです。それがくせになって、次のページまをどんどんめくってしまいました。


 この物語がどうやって出来上がったかについては、あとがきと、実は背表紙にも、書かれていました。背表紙から引用すると”フジモトマサルが描いた読書の風景から吉田篤弘がつむいだ物語が24”と。そうなんです、イラストが先にあり気で物語ができているんです。そんな本だからこそ、違和感や不思議な感覚を感じたんだと思います。


 当然ですが、小説やエッセイの挿絵は、文章があってその文脈の中から適切なシーンを切り取った絵がつけられることが多いと思います。それが絵から始まっているなんて面白いですよね。ただ、そういわれると妙に納得してしまうような造りでした。


 読者としてはそんな違和感を楽しみながら、さらにたくさんの楽しみ方があるかもしれません。たとえば、作者同様に絵を見て自分の作品を書いてみる。もしくはなるべく絵を見ないように文章だけを読んで絵を描いてみるとか。そんな楽しみ方もこの本にはあるような気がします。


 PS文庫版にはあとがきが3つあります。一つ目はフジモトマサルさんのもの。二つ目は吉田篤弘さんのもの。そして三つめは文庫版のためにかかれた吉田さんのものです。どれも味わい深く、そして奥ゆかしい内容になっています。ぜひこの3つのあとがきも読んでほしいなと心から思います。

 

    

■次の一冊         


絵本で、絵と作が異なる場合、各々のもっている独自の世界観を2倍楽しめますよね。ということでお二人の作品から一冊ずつ取り上げてみたいと思います。

 まずは絵を担当されたフジモトマサルさんのもの。彼は様々な方の本の絵を描いていらっしゃいました。もちろん文章もご自身で書くこともあり、その世界観はこの本に通じるところがあります。ということでご紹介したいのは二週間の休暇〈新装版〉 [単行本] です。表紙にあるように、疲れた女のこが鳥たちの世界に迷い込み、そして鳥たちに囲まれながら、色んなことについて考える本です。疲れた時にふと読みたくなる本です。元気な時に読めば、さらに色んなことに気付けるかも。

二週間の休暇〈新装版〉
フジモト マサル
講談社
2016-03-10



そして、文章を担当された吉田篤弘さん。いろんな媒体に書かれている吉田さんですが、あまり読んだことがないという方には『つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫) [文庫]』がお勧めです。・・・でも、有名だから読んだことがある方も多そう。ただ、この作品巷では3部作と呼ばれているので、ほか2作品をチェックされていない方もまだいらっしゃるのでは?さらにちくまプリマー文庫からは周辺作品もでているのでまだまだ月舟町の世界観を楽しむことができるはずです。

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)
吉田 篤弘
筑摩書房
2005-11-01



■雑な閑話休題   



 冒頭にも書きましたが、ショートストーリー、苦手だったんですよね。そしてそれと同じくらい苦手だったのがエッセイです。テーマはそれぞれですが、大体のものが取るに足らない内容ばかり、そう昔は思っていたんです。

 今思えばそれは狭い視野で物事を見ていたからなんでしょうね。今感じることは、他の人の視点は言葉でしかしることはできません。特に整理された文章は色んな情報を与えてくれます。そこに新しい発見もあるし、少しその人を知った気分になれます。だから、最近ではエッセイも好きになりました。


 でも、中学生のころだったか、高校生のころだったか忘れましたが、銀色夏生さんの詩集だったり、エッセイはよく読んでいたなぁ。。。何でだったんでしょうね。そういえば、最近読んでない。今度お店に行ったらチェックしてみようかな。



■著者関連情報

フジモトマサルさんHP:http://www.fujimotomasaru.jp/

フジモトマサルさんのホームページは健在でした。バイオグラフィからご自身による著作紹介、物販販売、QAや個人使用のための壁紙等々。様々な作品を世に出してきた方とは思えないほど、温かみを感じるホームページです。次何を読もうかなと考えている方はこちらをチェックしてもよいかと思います。

■今回の本をだした出版社
筑摩書房:http://www.chikumashobo.co.jp/

 筑摩書房のトップページは定期的に訪れたくなるつくりをしています。一目でわかる今月の新刊。まるでなじみの本屋を訪ねているかのような感覚になります。ちらっとでもよいので一度覗いて気になる本がでていないかチェックしてみてください。気になっている本があったら、その流れで購入してみても、本屋さんを訪れてもよいかと思いますよ~。


最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

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