シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也
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竜狩り、ヘビーマッシャー、エルヤーさんは残念ながら
原作の流れからは逃げれませんでした。
さて、フォーサイトの面々はいかに!


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「ありがとうでござるよ! 苦しめるのは趣味ではないので、これで終わりにするでござる」

 

 

 

 びゅんと、尻尾を振るう。

 

 顔が半分ほど潰れた死体がどう、と倒れる。

 

 テストの成功を確信して、ふむふむと頷く。おっと、そう言えばもう三人いたでござるな。これからかかってくるにしても、仲間の死を悼む時間くらいは作ってあげるべきでごさるな。

 某がそばにいてはそれもできないなと、てくてくと後退する。

「さて、おぬしたちもやるでござ…?」

 仲間の死を悼んでいるはずの森妖精(エルフ)三人が、嗤いながら戦士の死体を蹴っていた。

「なんでござる? エルフなりの埋葬方法なのでござるか?」

 口にしてみるが全然違う気がした。どんよりと濁った瞳の中に愉悦の色が浮かんでいるのが見える。憎悪をぶつけているとしか思えない。

「……困ったでござるなぁ。そう言えば彼女らは何点でござるか?」

「マイナス三点か、マイナス百三点か、協議中とのことですよ」

 ザリュース殿がそう教えてくれた。

「マイナス十点を超えていない者がいるとは思わなかったでござるよ。じゃあ、放置でいいでござるな」

「その方がいいでしょうね」

 

「ところで…ザリュース殿、どうでござった? 及第点でござるか?」

 

 

「ええ。お見事です。あれは確かに武技の発動でした」

 

 

 

 

 

「ヘッケラン! どうするの!」

「全力で逃げる!」

 ヘッケランの言葉で、来た道を大急ぎで逃げる。

 

 …最初は雑魚だった。なんの変哲もない数体の骸骨(スケルトン)、グリンガムさんがあっさりと打ち砕いた。

 その後の分かれ道でパーティ毎に別れた後、次に現れたのは骸骨戦士(スケルトン・ウォリアー)と骸骨魔法師(スケルトン・メイジ)のパーティだった。

 いきなりレベルが上がった気はしたが、魔力を温存して撃退することは可能だった。

 

 そして再びの十字路を超えて現れたのが、さっきのだった。

 

「なんだ、あれは! ロバー!」

「わかりません! 私は見たことがありません!」

「骸骨騎士(スケルトン・ナイト)とか!?」

「そんなレベルとは思えない。骸骨のというよりは、死の騎士といった感じだった!」

 巨大な黒い鎧を纏った…それ以上に、濃密な死の匂いを纏った騎士だった。それも、五体も!

 一目で敵うわけがないことがわかった。

 ただゆっくりとガシャンガシャンと歩いてこちらに向かって来ているので、全速力の私たちはなんとか逃げられそうなことだけが救いだった。

「そろそろさっきの十字路よ、どっちに逃げる?」

「もちろん、入り口の方だ! モモンさんの言うでかい虎に会ったんだ、とっとと逃げ出すに決まっている!」

 確かに、強さ的にはでかい虎があの死の騎士というのはわかる。ただ、モモンさんの言うでかい虎から、逃げることができていることに、違和感を覚える。

「待って!」

 十字路をわずかに超えたところで、イミーナがストップをかけた。

「……あんなの、いたっけ?」

 通った時には出会わなかった、獣の姿の骸骨だった。

 獣の動死体(アンデッド・ビースト)の腐肉の代わりに、揺らめくような霧を纏っていた。ただ、アンデッド・ビーストの亜種とはとても思えない存在感だった。

「さっきの十字路まで戻るぞ、あのでかい黒いのが来るまでまだ時間があるはずだ!」

「どっちに逃げるのよ!」

「とりあえず右…じゃねえ、左だ!」

 右側の通路から、死者の大魔法使い(エルダーリッチ)の集団が向かって来ているのが見えた。…恐ろしく強いアンデッドが集団であるというのに、さっきの死の騎士や骨の獣よりはまだマシのように感じられることが、とても怖かった。

 左の道に飛び込んで、しばらく走っていると…

 

 …足元に魔法陣が広がった。

 

 次の瞬間、下から立ち上る回避不可能な蒼白い光に包まれて、視界に飛び込んでくる風景は一変した。

「各員注意! 警戒! ……んだ?」

 まずみんながいることを、全員が目を見合わせて確認した。その後周囲の様子を確認する。

 そこは薄暗い通路が一直線に続いていた。通路は広く高い。それは巨人でもなんなく歩けるほど。通路に掲げられた松明の炎の揺らめきが陰影を作り、影が踊るように動く。通路の伸びた先、そこには落ちた巨大な格子戸がある。格子戸の空いた隙間からは、白色の魔法的な明かりが入り込んでいた。通路の反対を見るとかなり奥まで伸びているようで、途中に幾つも扉があるのが松明の明かりに照らされて見てとることができた。

「ここがどこだか分からないけど、今までとは雰囲気がまるで違うわね」

「…ここは……」

「知っているのか? もしくは心当たりでもあるのか?」

 ヘッケランの問いに頷いて返す。

「…似た場所を知っている。帝国の闘技場」

「ああ、言われてみればそうですね」

 ロバーデイクが同意の声をあげた。ヘッケランとイミーナも声までは上げないまでも、同意した。

「なら、奥は競技場(アリーナ)ですね」

 ロバーデイクが格子戸の方を指差す。

「だろうな。ここに転移したってことは……そういうことだろうな」

 ヘッケランの言う意味はみんな理解していた。

「最初に決めた通り、とにかく謝罪だ。全員ここで脱いでいくか?」

「だから、なんで全裸よ!」

「誠意をもって謝るしかないでしょう」

「わかった」

 この先に待ち受けるのは、この墳墓の主…あるいは、それに準ずる者に間違いないだろう。

 格子戸に近づくと、待ってましたと言わんばかりに勢い良く持ち上がった。潜り抜けた私たちの視界に映るものは、何層にもなっている客席が中央の空間を取り囲む場所。そして…

 

 

 

「待っていたでありんすよ」




シャルティア、久しぶりに登場です。
メインヒロインなのになw






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