ペロロンチーノはなんとか王都に着いた。
道中で短く切ってしまった金髪をかきながらリ・エスティーゼ王国の首都の街並みを見渡す。
人々は活気に満ち溢れていてまさに王都に相応しく賑やかだった。
『さて…どうしようか?』
とりあえず何か仕事を探さないと…
同じ王国内だから魔術師組合の情報から“魔術師ぺぺロン”は身元がバレる可能性がある。
もしも魔術師組合に所属するなら名前を変えた方が良いかもしれない。そうだ。ペロペロにしよう。
ペロロンチーノは王都の魔術師組合へ行き、エ・ランテルでの時と同様に登録を済ませた。
いろいろ考えて『名前はペロペロ、性別男、信仰系の駆け出し魔術師』とした。
これならば万一エ・ランテルの魔術師組合から照会があっても身元がバレる事はないだろう。
まあ、最悪の場合にはバハルス帝国か聖王国に移動すれば良いだろう。
戦乱の影響もあり、難民などの出入りも日常的で、身一つで逃れてきた人間達を管理したり失われた身分を保証する場合に冒険者組合や魔術師組合の存在は重要な役割を占めていた。
逆にペロロンチーノみたいな出自不明な人間でも登録さえすれば王国市民としての身分が保証される。
まあ、戦時ゆえの特別処置なのだろうが。
とりあえず魔術師組合から紹介された宿に身を落ち着けてしばらくは静かに生活する事に決めた。
王都では国王と貴族との間で水面下での派閥抗争があったりとか麻薬や売春等の闇のシンジケートがあるらしい。
すべては噂の域を出ないのだが、人の世界はどこも似たり寄ったりなものだ。
王国の闇を牛耳っている“八本指”の“六腕”といわれる猛者の噂にペロロンチーノが気になる話があった。
六腕には六人の猛者がいてそれぞれ二つ名があるんだ、といった話を酔っ払ったワーカー―汚れ仕事もする、冒険者組合に所属しないフリーの冒険者みたいなものらしい―から聞いた時にペロロンチーノが気になる点があった。
…もしかしたら自分以外のギルドメンバーがこの世界にいる?
……空間斬…それはまさしく、ギルド内随一のワールド・チャンピオンのたっち・みーの切り札と同じ。
更に“不死王”デイバーノックという人物はアンデッドモンスターだという。
もしかしてモモンガさん?
モモンガにしては“至極まともな名前”とも思えるが、ペロロンチーノが現在、最終的にペロペロになっている事を考えてみれば有り得なくもない。
ペロロンチーノはなんとか六腕、それも出来れば“不死王”デイバーノックとのコンタクトの道筋を模索する事にした。
(正直、たっちさんと二人っきりで会うと何を話して良いか話題に悩むんだよな。)
とりあえず“黄金の姫”攻略の件は後回しにして、ペロロンチーノは夜の街に出掛けて行った。
デイバーノックは組織の幹部でもあり、その素性や所在についての情報はなかなか手に入れられなかった。
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番外編 マーレ・ベロ・フィオーレLV100
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マーレはふと、自分が不自然なポーズで立たされているのに気がついた。
―またか。…仕方ないや。
マーレの創造主たるぶくぶく茶釜は時々ナザリックに来てはマーレにヘンなポーズを取らせていく事があった。
一番イヤだったのが四つん這いのマーレにアウラが片足を乗せてふんぞり返っているポーズだった。
拠点NPCに過ぎないマーレ達階層守護者は単なるオブジェクト扱いだから自らの意思で動く事は出来ない。
だが、意識はある。
ふと、マーレは低い場所からの視線を感じた。
ふと見るとマーレのスカートの中を見上げるように仰向けに至高の方々のまとめ役、ギルド長のモモンガが倒れていた。
別にマーレの下着を見ているのではないのだろうが、全く動く気配がない。
モモンガは気絶していた。
マーレは気絶したモモンガの視線を自らのスカートの中に創造しながら身悶えた。
長く続く羞恥プレイのさなか、ああ、これも悪くないかもしれない、とマーレは思うのだった。
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