ペロロンチーノの災難   作:善太夫
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エ・ランテル共同墓地~アンデッドはつらいよ(後書き…番外編 アウラちゃんLV99)

先の街道警護で自らのレベルアップ、若しくはツャルティア・ブラッドフォールソ―言いにくいので登録名ぺぺロン―としての現在のビルドをいかに使いこなすかが急務であると痛感したペロロンチーノは、この課題を効率良く解決するにはどうしたら良いか悩んでいた。

 

 

冒険者チームに加入するのがレベルアップには良いだろうが、自らの能力やアンデッドである事などがばれてしまいそうで難しい。

 

 

 

いろいろ検討した上でエ・ランテル外周部、西側に位置する巨大な共同墓地でアンデッドを倒す事にした。

 

 

墓地では時折アンデッドが発生するらしく、近場の狩り場として申し分ない。

それに現在のペロロンチーノはヴァンパイア―アンデッドである為万が一多数のモンスターと遭遇してしまってもレベルがさほど高くなければ、同じアンデッドを攻撃してくる事はまず無いからだ。

 

 

森ではどれだけのレベルのモンスターがいるのかが不明―どうやらこの世界の冒険者達はあまり冒険しないようで情報があまり無い―この間みたいに街道でいきなり高レベルのヴァンパイアに遭遇するのも避けたい。

 

『敵を知り己を知る。百戦して怪しからず。』だったか?

 

確か三国志好きの朱雀氏がそんな事を言っていたっけな。

 

 

ペロロンチーノはふとユグドラシル時代を懐かしく思った。

 

モモンガさんに引退を告げてメインの装備やアイテムを預けた後、ずっとアカウントを残しておいたのはいつかまたふらりとナザリックを訪れようと思っていたからだった。

 

 

日々に追われ、ついぞ最後の日までダイブしなかったのだが、つかの間訪れたナザリックが当時のままで、おそらくモモンガさんが維持し続けてくれていたであろうと思うと、それまで訪れなかった事を後悔した。

 

 

『―そうしていればもっと早くにマーレ君(笑)に気がつけたんだよな…』

 

 

もしかしたらアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーの誰かがこの世界にいるかもしれない。

 

 

ペロロンチーノがこの世界に来ているようにモモンガさんやヘロヘロさんも来ているという可能性は無いわけではないだろう。

 

 

まずは自身のレベルアップ。

 

 

仲間を探すにしてもそれなりの強さは必要だろう。

 

 

『……でも…2ちゃんねる連合やとしあき連合が来ていたらイヤだな…』

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

エ・ランテル共同墓地でレベルアップの為にアンデッド退治を日課として一週間が経った。

 

 

リ・エスティーゼ王国ではモンスターを退治してその一部を冒険者組合に提出するといくばくかの報奨金が支給され、ペロロンチーノの懐事情も少しずつ改善されていった。

単なる悪戯を実行する為に選んだヴァンパイアだったが、飲食不要のアンデッドを選んだのは正解だった。

 

 

仮に他の種族だったら空腹で野垂れ死にしていたかもしれない。

 

 

まだまだツイているな、俺。

 

 

動揺のあまりにスライム種―それもピンク―にするという可能性もあったかもしれない事を考えると実に幸運だったと言えた。

 

 

いつものように城門を守る兵士に挨拶して共同墓地へ向かおうとしたペロロンチーノは兵士達の叫び声に振り返った。

 

 

『な、なんなんだあれは!』

 

 

『なんであんな数のアンデッドが!…いかん、門を閉めるぞ。アンタも早く戻れ!』

兵士達が驚愕している方を見ると数え切れない数のアンデッドが―ゾンビ、スケルトンだけでなくグール、ガスト、ワイトといった普段なかなか遭遇出来ないアンデッドまでもが蠢いていた。

 

 

ペロロンチーノは驚愕する兵士をよそにファイアボールを連射して片っ端から打ち倒しつていった。

 

 

(これはまるでボーナスステージだな。)

 

 

得意気に振り返ると先程の兵士がペロロンチーノを惚けたように見ているのだった。

 

 

さらに調子に乗って次々とファイアボールでアンデッド達をなぎ倒すペロロンチーノを指差しながら、赤毛の女が叫んだた。

 

 

『!!!バ、バケモノ!!あ、アイツはヴァンパイアよ!!』

 

 

 

『な、なんたって??あ、アンタは一体!? ヴァンパイアだと!?』

 

 

それまでペロロンチーノに感嘆していた兵士達がざわつきだした。

 

 

追い討ちをかけるように女が叫んだ。

 

 

『間違い無い!アイツに仲間を殺された!』

 

 

ペロロンチーノは訳がわからず、どうして自分がヴァンパイアだとバレたのかわからないまま、その場を逃げ出すのだった。




※  ※  ※
番外編 アウラちゃんLV99
※  ※  ※


いよいよユグドラシルサービス最終日。

モモンガ氏からのメールが到着しているのを確認したぶくぶく茶釜はほくそ笑んだ。


すべては計算通り。


律儀なモモンガ氏の事、同様のメールはギルドメンバー全員に送られたはず。


そう、弟―ペロロンチーノ―にも。


弟が長らくユグドラシルをプレイしていない事はわかっていた。

そして今日になってモモンガ氏のメールを読み、十中八九ユグドラシルにアクセスする。


そして自分のアカウントが勝手に消去されてマーレ君にされているのを知り、呆然とする。


うぷぷぷぷ…


弟は熱くなりやすく冷めやすい性格で、エロゲ大王とネットで呼ばれながら、その買い込んだアダルトゲームのほとんどが途中で投げ出したもの―いわゆる積みゲー―となっている。


昔からからかうと楽しかった。


小学生低学年位の頃には頭にリボンを付けたり女の子の服を着せたりして遊んだものだ。


しかしながら何故、私は弟を苛めるのだろう?


そう、私は弟ではなく妹が欲しかった。


だからだ。きっと。

さて………


満を持して用意しておいた自分のアカウントを呼び出す。


アウラちゃんLV99ダークエルフ♀


それまでのキャラクターは削除していた為、このユグドラシルサービス最終日の為にわざわざ用意してきたキャラクターだ。


さっそくユグドラシルにダイブする。


アウラ、マーレがいる第六階層へ。


入口から良く見える場所にマーレを配置。


丁寧にポーズをつける。


慎重に……計画の成否はここで決まる。


ちょっと斜め向こうに向き、少しだけ前屈みに…見えそうで見えないギリギリのポジション。



これで餌は完璧。


後は扉の陰で愚かな弟が飛び込むのを待つだけだ。



※  ※  ※



その時、ペロロンチーノの長い一日がまもなく始まろうとしていた。







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