ペロロンチーノの災難   作:善太夫
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街道警護~全滅~(後書き…番外編 マーレ君LV1)

しばらくして、ペロロンチーノはエ・ランテルの中央市場からさほど離れていない小さな宿屋街にある“転がる林檎亭”を拠点となる常宿に決めた。

 

魔術師組合に加入した直後の宿屋はいささか利用客のガラが悪く、精神衛生上あまり好ましくなかったのもあるが、一番の理由は名前が気にいったというのが理由である。

 

いくつか仕事をしたり魔術師組合で説明を受けたりする事で少しずつではあるがこの世界―DMMOユグドラシルに良く似た世界―の事が少しずつわかってきた。

 

 

シャルティア・ブラッドフォールンならぬツャルティア・ブラッドフォールソとしての自分自身の現在のレベルは30、種族はヴァンパイアロードでヴァンパイアプリンセスなど、回復系魔法と転移魔法、攻撃魔法が使える。

この世界では魔術師の能力があまり高くなく、どうやら一般的には第三位階魔法まで位しか使えないようだ。

 

だからユグドラシルの中でだと役立たずに過ぎない現在のペロロンチーノでも英雄扱いにされかねないだろう。

 

思えば最初の面接で自らの能力などを秘匿して曖昧なやりとりに終始しておいて良かった。

 

それにどうやらこの世界でも人間種以外の異形種は肩身が狭いようなのだ。

 

かつてのバードマン位にビルドしてあればともかく、総合レベルが30だと身を守る事もおぼつかないだろう。

 

当分はこの街で情報収集しながら自身のレベルアップもしてゆくべきだろう。

名前は普段使っていたペロロンチーノをもじり“ぺぺロン”と名乗っている。

 

どうもツャルティア・ブラッドフォールソだと自分でも言いにくいので魔術師組合で登録する際に考えたのだった。

 

 

歩きにくいボールガウンは普段の使用は止めて、パンツスタイルにした。

 

 

性別を変えてしまった事で使える装備が限られるのも痛かったが仕方ない。

 

とにかく何とか死なないように頑張らないと。

 

 

不安はあるがワクワクする思いも大きい。

 

ユグドラシルを始めた時にも似た静かな興奮を感じていた。

 

ある日、魔術師組合に行くと受付の女が声を掛けてきた。

ペロロンチーノは田舎育ちで字が読めないから受付で良さそうな仕事を教えて貰っていたのだ。

 

『ぺぺロンさん、なかなか良い仕事があります。最近、郊外の街道をモンスターや夜盗の一団が荒らしているそうです。そこで付近の領主が金を出し合って街道の警備として冒険者で隊列を作って送り出す事になり、魔術師組合に依頼が来ています。結構金額も良いですし、おすすめです。』

 

ペロロンチーノにとっては願ったりだったのですぐさま承諾したのだった。

 

 

 

街道警護は全員で十四名の編成でそれぞれ鉄級から金級からなる冒険者、魔術師によって構成されていた。

 

時刻は夕方、エ・ランテル郊外の街道入り口に冒険者、魔術師達が集まった。

隊長の金級冒険者が改めて任務を説明する。

 

特に重点が置かれたのが夜盗の類いとの遭遇時の対処で、それはチームを二分する事で陽動と待ち伏せにより殲滅もしくは捕縛する、というものだった。

 

 

ペロロンチーノは他の魔術師組合派遣魔術師らと伴に街道を進んだ。

 

夜が深まった頃、夜盗の砦が近くにあるという情報を受け、慎重に周辺を探知魔法やアイテムを使い調べつつ警戒していると情報に該当する夜盗の砦らしきものがみつかった。

 

 

離れた場所から様子をうかがうとなにやら砦内部で異変があったらしい、争うような物音がしてきた。

 

 

早速手筈通りに隊を2つに分け、先方隊が相手を誘い後方隊が待ち伏せ罠にかける事とし、ペロロンチーノは後方隊として街道近くまで後退したのだった。

 

 

 

どれ位経ったろうか、先方隊のレンジャーがただ一人やってきて先方隊が全滅した事を告げた。

 

 

残りの八名は当初の手順通りエ・ランテルに撤退していった。

 

 

冒険者は鉄級や銀級とはいえたかだか夜盗に全滅されるとはそれなりの手練れがいたのだろうと、戻ってきたレンジャーに話を聞くと、どうやらヴァンパイアとの遭遇戦となってしまったそうだ。

 

代償無しに下位吸血鬼を創造するのを見るにつけ玉砕覚悟で打って出、全滅したという。

 

 

以上の事柄は隊長の金級冒険者からエ・ランテル都市長に報告された。

 

 

 

ペロロンチーノは自らのレベルアップの必要性を感じていた。

 

 

『やはりこの世界にもユグドラシル同様に危険なモンスターがいるみたいだな。気をつけないと。それにしても運が良かった。もし先方隊にいたら命がなかったかもしれないな。』

 

 

ペロロンチーノは自らの強運に感謝するのだった。

 




※  ※  ※
番外編 マーレ君LV1
※  ※  ※



ペロロンチーノはユグドラシルにダイブするか悩んでいた。


彼本来のキャラクターであるバードマンが消され、ダークエルフの少年 マーレ君LV1になっていたからだ。

数年間放置していた間にいつの間にか姉―ぶくぶく茶釜―によってされた悪戯であるのはまず間違いない。


さて。


ここでいつもならキャラメイクし直してしまうのが普段の俺。


それもなんだか姉の思う壷に思えて面白くない。


『攻撃こそ最大の防御だよ?ペロロン君。』


ああ、あれはぷにっと萌えさんの言葉だったか?


ペロロンチーノは腹を決めた。


いざ、ユグドラシルへ。




ペロロンチーノはナザリックの第六階層へ走っていた。


こうなれば仕返しをしてやろう。


あいにく姉に直接仕返し出来ないが、姉が心血注いだNPC(アウラ)に悪戯するのならペロロンチーノにも出来そうだ。


時間が無い。


ユグドラシルサービス終了は深夜0時。


それまでにアウラとマーレの服装を取り替えてペロロンチーノを中央に三つ子ダークエルフのキャプチャーをとるのだ。


そんな事をしても姉はなんとも思わないだろう。


いいさ。


どうせささやかな自己満足でも。


リアルでは到底頭が上がらないのだから。


ふと、ギルド長のモモンガからのメールに気がついた。


モモンガさん、申し訳ない。


今は時間が無いのでゆるしてね。

第六階層に着いた時、扉の影から何者かが現れてペロロンチーノを殴りつけた。


それはペロロンチーノと同じダークエルフで、アウラちゃんLV99だった。


ペロロンチーノはそのまま気を失ってしまったのだった。


※  ※  ※
番外編 マーレ君LV1 終わり
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