■「あの時、買っておいてよかった」と思える日
残り75%のイーサリアムが今後、市場で売却されるのだとすれば下落余地は大きい。
「リップルは9月に急騰、急落したようにボラティリティが非常に大きい。長期保有で放ったらかすというよりは上がった時は利益確定し、下げたところで買い直して…と細かなオペレーションが必要です」
時価総額トップ3のうち、2位のイーサリアムと3位のリップルがそうした状況だと、残るのはビットコインということになる。
「そうはいっても昨年(2017年)のバブルがすごすぎた。2019年末に200万円台へ復帰できれば…くらいの気持ちでいますし、あれだけのバブルであれば後遺症も大きい。4、5年はヨコヨコの相場が続く可能性もあると思います。
しかし、仮想通貨のポテンシャルは大きい。いずれ『あの時、買っておいてよかった』と思う日がくるのでしょう」
ポインさんがビットコインへ期待を寄せている様子はポジション比率を見るとよくわかる。アルトコイン祭りと呼ばれる暴騰劇が起きた昨年(2017年)のゴールデンウィークには半分近くがリップルだったのに対して、現在はビットコインが過半数。アルトコインを徐々にビットコインへと変えているためだ。
■PoS採用で先行するアルトコインに注目
「アルトコインで期待しているのはEOS。イーサリアムと似たスマートコントラクトなどを得意とする仮想通貨で、『DApps』と呼ばれる分散型アプリケーションのやり取りでの利用が期待されています。最近勢いを感じますし、イーサリアムと違うのはコンセンサスの形成方法です」
イーサリアムは現在、ビットコインと同じくハッシュパワーが多いほど採掘しやすい「PoW」(プルーフ・オブ・ワーク)だが、近い将来、「PoS」(プルーフ・オブ・ステーク)への移行が計画されている。PoSではハッシュパワーではなく、保有する仮想通貨の量が多いほど採掘しやすくなる。
「EOSはすでにPoSを採用しています。PoSを実装していて、現時点で時価総額が最も大きな仮想通貨はEOSです。PoSがきちんとワークするのなら、EOSには期待が持てそうです」
■3大取引所すべてが新規口座開設停止の影響
しかし、2018年1月にはコインチェックが、同9月にはZaifが、相次いで大規模な不正流出事件に見舞われた。
【参考記事】
●コインチェック事件は全額返金で一転解決!? 消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?
●流出事件のZaifはフィスコ仮想通貨取引所に吸収! テックビューロは廃業へ。70億円分の補償は?
●「またか!?」 Zaifで67億円相当の仮想通貨消失! フィスコ、50億円の金融支援で顧客損失補填へ!?
個人投資家にとって、仮想通貨は安心して投資できる対象とはいい難い面がある。そんな状況でも、再びビットコインが買われるターンが来るのだろうか。
「Zaifの盗難はコインチェックほどのニュースにもなっていません。そこまで大きな影響があるとは思いませんが、これで国内の3大取引所であるビットフライヤー、コインチェック、Zaifがいずれも新規の口座開設ができない状況となってしまった(※)。
いずれ再開するのでしょうが、初心者の入り口がなくなってしまった影響は、短期的にはあるでしょう」
(※編集部注:この取材は2018年9月28日(金)に行いました。Zaifを運営するテックビューロは10月10日(水)に、金融支援についてフィスコと正式契約を締結したと発表しています。詳しくは以下の【参考記事】をご覧ください)
【参考記事】
●「またか!?」 Zaifで67億円相当の仮想通貨消失! フィスコ、50億円の金融支援で顧客損失補填へ!?
●流出事件のZaifはフィスコ仮想通貨取引所に吸収! テックビューロは廃業へ。70億円分の補償は?
■退職した途端のバブル崩壊で生活への影響は…
今年(2018年)、ポインさんは休職中だった会社を正式に退職した。仮想通貨バブル崩壊の影響はないのだろうか。
「瞬間的に億越えとなった資産は激減していますが、それは計算済み。今はブログからの収入もあり、生活に大きな影響はありません。
今年(2018年)はマルタに行ってきたんです。海外取引所の大手が拠点を置く国はどんなだろうかと、様子を見ておきたかったので」
■仮想通貨とは貧者の武器である
激務による休職、億越えへの到達と陥落、SNSでの影響力獲得、セミナーへの登壇、著書の刊行、退職――2年間でポインさんの人生は激変した。すべては仮想通貨がもたらした変化だ。
「仮想通貨とは、『貧者の武器』だと痛感しています。仕事がなく、資産もない僕が今、こうして『ハイパーニート』を自称しながら温泉三昧の日々を送れるのは、2年前には考えられなかったこと。
すべて仮想通貨のおかげです。本当に人生を救われました」
(編集担当:庄司正高 特記以外の撮影:小島真也)