■仮想通貨内のプチバブルを乗りこなす
2017年の仮想通貨バブルでは、バブル内バブルともいうべき動きが起きていた。そのひとつが「ICOバブル」だ。
2017年で見てみると、最近、67億円相当の仮想通貨が不正消失した「Zaif」を運営するテックビューロは100億円以上を集めたし、「Filecoin」は約257億円を調達した。2018年は、暗号化メッセージアプリ「テレグラム」が17億ドル=約1904億円(1ドル=112円換算)を調達している。
【参考記事】
●流出事件のZaifはフィスコ仮想通貨取引所に吸収! テックビューロは廃業へ。70億円分の補償は?
●「またか!?」 Zaifで67億円相当の仮想通貨消失! フィスコ、50億円の金融支援で顧客損失補填へ!?
「昨年(2017年)はICOトークン全盛期。リップルの一部を利益確定し、ICOで利用されるイーサリアムへ移してICOに応募する、ということを繰り返し行なっていました。
購入したICOトークンが取引所へ上場すると、即座に2倍、3倍になる。本当にバブルでした。STATUSやTenX、それに日本企業が行なう初めての本格的なICOとして話題になったALIS――かなり高い勝率で資産を増やせました」
2017年はICOトークン全盛期だったと話すポインさん。購入したICOトークンが取引所へ上場すると即座に2倍、3倍になったとか。ポインさんもこの流れに乗ってしっかり利益を出していた
■2018年前半に起きていた取引所トークンの波
しかし、そんなICOバブルも終焉を迎えたようだ。
「世界的なICO規制強化の流れもあって、一般の個人投資家向けに募集するものが減りましたね。今は大口の投資家やファンドを対象にしたクローズドなICOが中心ですし、逆にパブリックに集めるものは『ファンドから調達できなかったからだろうか』と猜疑心を持たれてしまう。
個人的にも、今はまったくICOに資金を入れていません。その代わりに昨年(2017年)末から今年(2018年)前半、よく取引していたのが『取引所トークン』でした」
取引所トークンは、仮想通貨取引所が発行する独自の仮想通貨だ。
「プロダクトやサービスが未完成のまま資金調達を行なうICOと異なり、取引所トークンはすでにサービスインしていることが特徴。
世界最大手の一角であるバイナンスやOKEx、ビットトレードを買収したHuobiなどが発行しています」
取引所ごとに特徴は異なるが、取引所トークンを利用すると取引手数料が割り引かれたり、取引所の利益の一部を配当として受け取れたりといった特徴がある。
「仮想通貨を利用したエコシステムがすでに完成しているのが、取引所トークンの魅力でした。しかし、盛り上がりすぎたのか、新興の取引所までトークンを発行して乱立状態となり、資金が分散するようになってきた。
『取引所マイニング』と呼ばれる取引量に応じてキャッシュバックのようにトークンを支払うしくみも出てきて末期状態となっています」
■次なる期待はビットコインと――
2016年末からビットコインがバブルを起こし、アルトコインへと飛び火し、さらにICOでもバブルがふくれ、今年(2018年)は取引所トークンが盛り上がりと、仮想通貨市場で次々に浮上するテーマをポインさんはうまく乗りこなしてきた。
「今はどうかというと、正直、それほど取引していないんです。9月のリップルのようにまれに吹き上がるコインもありますが、長い足を見ても下落基調。
去年(2017年)のように吹き上がってのヨコヨコからまた吹き上がる、ということもなく、吹き上がったら急落するような相場です。保有コインが吹いたらビットコインに変えるくらいですね」
フィアット(法定通貨)ではなく、ビットコインに変えるのはどんな意図があるのだろう。
「主要な仮想通貨を見渡すと、次に大きく値上がりするのはビットコインだろうと考えています。今年(2017年)、イーサリアムはビットコイン以上に下落しています。ICOバブルのツケを払いきれていないためです。
昨年(2017年)、ICOを行なったプロジェクトは大量のイーサリアムを保有しています。そのうち、まだ25%程度は売却されず保有されているとの推計があり、今後の売り圧力も無視できない」
(出所:TradingViewによるチャート)
残り75%のイーサリアムが今後、市場で…