すごく意外な食べ方を提唱するトンカツ屋さんがある

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トンカツのない人生なんて

食べたい時にトンカツを食べられるくらいの暮らしができれば、それは幸せな人生だと誰かが言った。だが私は二日酔いの日でも、気がつけばトンカツ屋さんに足が向いている。

暮らしに向きに関係なく、トンカツのない人生は考えられない。

だから私の体は年々肥大していく。幸せな人生だ。

 

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▲街のトンカツ屋さんといった風情。こういうお店がうまいのだ

 

「トンカツと唐揚げは揚げもののツートップである」と誰かが言った。

そのとおりだ。トンカツのいいところは、高いお店と安いお店がそれぞれあって、値段の違いをわかりやすく感じることができるところだ。

2,000円出せばそれに値するトンカツが食べられる。

こんなにわかりやすい食べものはそうそうない。これから行くお店は比較的リーズナブルな部類に入るだろう。900円出せばおいしいカツが食べられるのだから。

 

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▲店名は「やまこし」。古い店舗で使われていたのれんをそのまま使っている

 

やまこし」は目黒線の西小山という街にある。

目黒駅から5分ほどと、交通の便はとてもよく、小さな商店街には活気がある。

家賃も意外とお手頃とあって若い人も多く住んでいて、古くからあるお店も元気があってそのバランスが良い。ここまで手放しに褒めるのは私が西小山に住んでいるからだ。

これから評判が上がること間違いなしの、西小山にある、なんてことのないトンカツ屋さんが、実は変わった食べ方を推奨している。

中に入ってみよう。

 

ビールを飲みながらトンカツを待つ。それは至福の時間

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▲店主の須佐さん。実直な人柄だがその腕は確かで昔からのファンも多い

 

店主の須佐さんは西小山にお店を構えて20年ほど。

以前は同じ町内で営業していたが、今年8月に現在の場所に移転した。

店名は須佐さんの出身地、新潟県の山古志村に由来する。

 

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▲移転して間もないので店内は清潔。壁もきれいだ

 

この「やまこし」では上等な豚肉をお手頃な価格で食べさせてくれるとあって、ランチタイムも夕方もにぎわっている。お客さんは地元の人が多いようだが、こちらのお店には一風変わったトンカツの食べ方がある。

それを知るお客さんは意外と少ない。

 

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▲トンカツを待つ間に一杯。昼からビールを飲めることに対する笑いを堪えている表情である

 

人は想定外のことが起こると笑うらしい。

だが、私は常にヘラヘラしているので、その驚きが記事を読んだ方には伝わらないかもしれないので、今回は真顔でこの驚きをお伝えしたい。

それくらい、「やまこし」の食べ方は変わっている。

 

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▲オリジナルのパン粉をたっぷり。今回オーダーした上ヒレ定食は250gの豚肉を使う

 

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▲180度の油でこんがりと揚げるので10分以上かかる

 

今日は撮影ということで奮発して「上」を頼んだ。

頼む時に緊張して声が上擦らないように気をつけた。

「上ロース!」

「はいよ」

ビールを飲んでいたおかげでスムーズに注文ができた。

上手に注文できた記念にビールをもう一本頼もうと思う。

 

そして到着したトンカツにまさかの展開が

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▲上ロース定食(1,700円)+やまこしセット(100円)

 

おいしそう! 揚げたてのトンカツの衣が蛍光灯の光を受けてキラキラと輝いている。

しっとりタイプの衣は私好みだ。右にある生卵は、このお店オリジナルの食べ方に関係しているのだろう。それではいただきます。

 

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▲まずはマヨネーズに醤油をかける。ちょっとかけすぎた

 

まず、付け合わせのマヨネーズに醤油をかける。

お好みで一味唐辛子を振ってもいい。

「はいはい、トンカツをマヨネーズにつけて食べるのね」と思った方。

正解です。この後も無料で記事をお楽しみください。

 

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 ▲そう、混ぜた醤油マヨネーズにトンカツをつけるのだ

 

「マヨトンカツなんてずるい!」と思った方。

おそらくあなたは太っている。だが、この後、事態は驚きの展開を迎える!

 

ここでCMに行きたいところだ。

 

まさか生卵にトンカツをくぐらせるとは

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▲レポートは続く。私の右手はマヨネーズと違った小皿に向かっている

 

醤油マヨをたっぷりつけたトンカツが次に向かったのは、生卵を入れた小皿。

まさか。そのまさかである。

マヨたっぷりのトンカツをドボンと生卵にくぐらせるのだ。

これで完成。さあいただこう。

 

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▲マヨに生卵、なんだこれは!

 

ジャンクなのか、そうでないのかよくわからない。

こんな食べ方したことがない。だがうまそうではある。恐る恐る口に運ぶ。

 

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▲うめえ

 

うまいうまい! まず、生卵のつるっとした食感、次に醤油マヨのコク、その中から極上の豚肉の甘さが顔を出す。

豚肉をかみ締めると、すべての素材が持つうま味が口の中でひとつになって踊り出す。私だって今すぐ踊り出したくなるうまさだ。

うまい! DA PUMPの新曲は「UMA」に決まりだ。

 

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▲危ない。メシが止まらない

 

聞けば、店主がかつて修行した武蔵小山のトンカツ屋さんに伝わる食べ方だという。

そのお店では子どもたちがトンカツの普通の食べ方に飽きてしまって、彼らが独自に試行錯誤を重ねた結果、編み出された究極のアレンジなんだとか。

そのお店はもうなくなってしまったので、この食べ方ができるのはこの「やまこし」しかない。

 

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▲不機嫌な彼女をトンカツで懐柔しようとする彼氏(イメージ)

 

周囲を見渡すと、ソースで食べているお客さんが多い。

私も途中からソースに変えた。これまたうまい。気分が変わってビールも進む。

トンカツの食べ方は人それぞれ。どんな食べ方でも間違いなくうまい。

だが、この「やまこしセット」は私に大きな衝撃を与えた。トンカツの食べ方に新しいページが追加され、私はもう一本ビールを頼むことにした。

 

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▲やまこしセット、一度は食べてください(追加で100円かかります)

 

一見奇をてらったようにも思えるこの食べ方には、今は無くなってしまったお店と人の歴史が積み重なっていた。

だからうまい。うまいに決まっているのだ。

 

お店情報

山古志

住所:東京都品川区小山5-23-16
電話番号:03-6426-2855
営業時間:11:30~14:00 17:30~22:00
定休日:水曜日

 

書いた人:キンマサタカ

キンマサタカ

編集者・ライター。パンダ舎という会社で本を作っています。尿酸値13の痛風持ち。先日は足を引きずりながら立ち飲み屋の取材をしました。『週刊実話』で「売れっ子芸人の下積みメシ」という連載もやっています。好きな女性のタイプは人見知り。好きな動物は柴犬。好きな酒はレモンサワー。パンダとカレーが大好きです。

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