とはいえ、関西圏では、意見の違う二つの番組が放送されたのだからまだマシだ。東京圏の番組をみていると、「日本の財政が極めて悪い」という前提に立ち、「消費増税やむなし」という番組だけが放送されている。
ちなみに、読売テレビは日本テレビホールディングス株式会社の子会社である。さらに、日本テレビホールディングスは読売新聞の子会社である。
先週15日の閣議決定の中身については、新聞報道では、読売新聞が1日早く報道している( https://www.yomiuri.co.jp/economy/20181013-OYT1T50070.html )。これは筆者の勘で。確証はないが、こうした場合、財務省が読売新聞に事前リークしたのではないかと思う。邪推と前置きしたうえで、以下のとおり私見を述べよう。
まず、財務省は2019年10月の消費税増税を確定させたいと思っているはずだ。そこで、財務省高官が、関連会社に天下っている読売新聞に、15日の閣議決定があることをリークする。
こうして、来年10月の消費増税が最終決定されたかのような印象操作が行われる。
しかし、一般読者なら「もう消費増税は決まったのだな」と思うだろうが、プロから見れば、このやり方には無理がある。本当に最終決定がなされているなら、安倍総理が会見をして表明するだろう。
実際はどうだったかといえば、菅官房長官が記者会見しただけで、そのうえ「リーマン・ショック級の経済変動がなければ実施するというのは過去の答弁通り」、「最終的な決断は、状況を見ながら判断する」と発言して、今回の消費税増税の表明が、これまで通り(法律で決まっている)ではあるものの、今回の表明が最終的なものでないことを明らかにしている(https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201810/15_p.html)。つまりは、変更の余地がまだ残されている、ということだ。
この点も踏まえて、筆者は『正義のミカタ』において、来年3月まで「消費増税は予定通り」である、と述べた。消費増税への対策が来年度予算に含まれている以上、それを国会審議している3月いっぱいまでは「増税は予定通り」としかいいようがない。
しかし、来年度予算が成立した4月以降には、違う局面が来る可能性がある。それも、新しい元号になる5月まで、つまり4月に消費増税をすっ飛ばす可能性はまだあると思っている。新しい時代が始まるのに、いきなり消費増税をするのがいいのかどうかという、政治家の「常識」が働くのではないか、という見方だ。
日本の本当の財政事情を理解すれば、この正解にたどり着くのは難しいことではない、と筆者は考えている。