時期はよく覚えていないのですが、彼と通話をしていたら、電話口から女性の声のような音が聞こえてきました。私が「後ろに誰かいるの?」と聞いたら、「誰もいないけど、なんで?」と。私は霊的なものがいるのではと、彼をからかったんです。
後日、私が再び「誰か後ろにいるよ」とメッセージを送ると、「だからそのネタはもういいよって言いたいところだけど、本当にいるかもね」という返信がありました。
今思うと、実際に部屋で人を殺していたから、部屋に霊がいるという話に乗ってきたんじゃないかなって思います。……洒落にならないですよね。
白石容疑者はこのとき、すでに複数人を殺害し、遺体をバラバラにしたと供述しているという。遺体と暮らしながら、彼女と普通に会話をしていた。そんな白石容疑者も、彼女には「悩み」を漏らすことがあった。
彼は「兄弟はいない。小さい頃に両親が離婚した」と言っていた(実際には妹がいる)。実家には当分帰っていないみたいで、「今は無職だし、何もしていない状態でクズのような人間だから(実家には)帰れないよ」と言っていました。
彼に「死にたいって思ったのは、いつくらいなの?」って聞いたら、「もともと暗い人間だったけど、高校2年生のときに自殺を考えていた。その頃は(学校で)机に突っ伏していた。
野球部やサッカー部とかの目立つような男子によく肩パン(肩にパンチ)をされて、それが本当に痛くて嫌だった。学校が嫌だった」と言っていました。
でも電話口では暗いトーンではなく、私の冗談に対して「ワッハッハ」という感じでよく笑っていましたね。本人も、「今まで暗い人間だったけど、ホストとかの仕事をしてから結構明るくはなった」と言っていた。
女性関係については、「俺は普通の子はダメなんだよね。精神的に弱い子がいい。元カノは多重人格みたいな病んだ子ばっかり。俺が病んでいるから、そういう子を引き寄せちゃうんだよね」と言っていました。
私は主に職場の人間関係のことなどを愚痴っていたのですが、彼からは「仕事辞めちゃいなよ。仕事辞めて、俺と一緒に住もうよ」「○○が悩んでいたら俺も辛いよ」ということを言われていました。
私は来年仕事を辞めることにしていて、それまで会うのは待ってほしいと彼に伝えていた。でも彼は「会いたい」としつこかった。一時期、そのしつこさから冷めてしまって、話すのをやめようと切り出したこともありました。でも結局、元に戻りました。
最後のやり取りは「洗脳」にまつわるものでした。以前、私が話したことがあったのですが、彼が興味を持ったみたいで、自宅で撮影したと思われる『洗脳の世界』(キャスリーン・テイラー著)という本の写真を送ってきました。
その後、10月27日に「ヒゲを全そりした」とメッセージが来た。翌々日に、私が返信したのが最後でした。
31日に報道を見て連絡しましたが、一切読まれていない状態です。
<11月2日現在、白石容疑者は9名の殺害をすべて認めているものの、その供述には曖昧な点が多いという。被害者への謝罪の言葉はまだ語られていない。>
「週刊現代」2017年11月18日号より