白石隆浩容疑者が女性に送った自撮り写真

写真拡大

 いずれ死刑になることが定められているにもかかわらず、三途の渡し賃だけでは不満らしい。昨年10月に発覚した座間9人殺害事件の容疑者が、ようやく起訴された。稀代のシリアルキラー・白石隆浩(27)は、マスコミ相手に「金を払うなら話す」等と嘯いているのだ。

 白石容疑者が留置されている警視庁高尾署には、連日、面会を求め新聞・テレビ各社の記者が押し寄せている。

「面会は、1日1組に限られているのですが、白石容疑者は接見禁止が解けた11日、まず初めにNHKを指名しました。そこで“金を払った相手に話をしたい”“気前のいいところとお付き合いしたい”等と、取引を持ちかけたのです」(社会部デスク)

 無論、NHKは応じることなく、その旨をニュースとして流したわけだが、

「翌12日は“今日はどの社とも会いたくない”と接見を断った白石容疑者でしたが、13日にはTBS、14日には時事通信を指名し、記者たちを日々翻弄しています」(同)

 もっとも、各社の記者が接見を求めるのも至極当然のこと。なぜなら、国内犯罪史上類を見ないこの猟奇的な殺人事件には、未だ多くの謎が残っているからである。

白石隆浩容疑者が女性に送った自撮り写真

「検察は白石容疑者の認否を明らかにしていませんが、警察の取り調べでは一連の殺人が、金銭目的や、性的暴行目的だったと認めています。しかし、金目的だとすれば所持金が数百円の人も被害に遭うなど、額があまりに少ないし、性的暴行目的だとしても、わざわざ首を切断し、自宅で保管する理由が分からない。今後、裁判で彼が死刑になることは間違いありませんが、真の動機が未だ見えてこないのです」(同)

 であれば、自身の言葉で真摯に真相を話すべきで、金銭を求めるなど度しがたい。

 だが、そこには白石容疑者なりの事情もあるようだ。

元少年Aと似ている

 元東京地検検事の郷原信郎弁護士によれば、

「金を要求する理由は、拘置所での食事や、差し入れに使うためでしょう。白石容疑者はマスコミの取材に対し“長くこのような生活になるので”とも話しているようですが、実際、動機や犯行の経緯を含めて一つ一つの殺人について争点整理を行わなくてはならないので、公判前整理手続きだけでも2年程度かかる可能性があります」

 大阪拘置所の元刑務官・藤田公彦氏は、こうも言う。

「拘置所では、おしりを拭くティッシュも下着も、お金がなければ質の悪い支給品で賄わなければなりません。また、支給してもらうにも、いちいち職員に頭を下げる必要がある。判決が出るのに10年かかったとしても、確定死刑囚としてその後も何十年と拘置所で過ごすわけです。そんな生活を想像して、今後に不安を感じたのかもしれません」

 そう白石容疑者の内面を考察する一方で、

「今回のケースは、神戸連続児童殺傷事件の元少年Aが、手記を出版したのとよく似ています。自身の犯罪体験を金に換えるという手法は、凶悪犯罪者特有の自己中心的な発想で、性根が腐りきっているとしか思えません」(同)

 鬼畜にとっては「監獄地獄」の沙汰も金次第ということか。

「週刊新潮」2018年9月27日号 掲載