トップ > 中日スポーツ > 格闘技 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【格闘技】

村田“聖地”ラスベガスに散る… 判定0-3大敗 去就「今は考えられない」

2018年10月22日 紙面から

11回、ロブ・ブラント(右)のパンチを浴びる村田諒太=ラスベガスで(共同)

写真

 【ラスベガス(米ネバダ州)藤本敏和】日本ボクシング界のエースが、完敗で王座を失った。WBAミドル級タイトルマッチは20日、当地のパークシアターで行われ、王者・村田諒太(32)=帝拳=が挑戦者の同級3位ロブ・ブラント(28)=米国=に判定0-3で敗れ、2度目の防衛に失敗した。挑戦者の手数に押され、ジャッジ2人が109-119、残る1人も110-118という大差だった。村田は14勝(11KO)2敗。試合後、去就について「すぐに答えが出ることではない」と明言を避けた。

 判定0-3。両腕を突き上げ歓喜の叫びを上げるブラントを、村田が拍手で祝福した。来春に計画されていた元3団体統一王者ゴロフキン(カザフスタン)とのメガマッチという夢のプランが消える残酷な結末。それでも、リング上でいさぎよく完敗を認め、新王者の強さをたたえた。

 「拍手は、完全に負けたと思ったから。自分のボクシングの幅のなさを感じた。ラスベガスのメインイベント、ベストは尽くしたけど届かなかった。完敗です」

 徹底的に研究されていた。右ストレートのタイミングは読まれ、打ち終わりにパンチを返され、鉄壁だったはずのガードは、多彩な角度からの高速回転コンビネーションで、隙間をこじあけられた。

 「相手が作戦で上だった。右をしっかり見切って、左右に動いて…。コントロールされたな、研究されたなという印象です」

 村田にも、チャンスはあった。5回、右ストレートがブラントの頭部をとらえたのだ。完全に効いてバランスを崩したところへ、猛ラッシュをかけた。ブラントも果敢に打ち返し殴り合いとなったが、優勢はパワーに勝る村田。ジャッジ3人が全て村田にポイントをつける、この日一番のラウンドだった。

 しかし、1分間のインターバルで回復して息を吹き返した相手に対し、村田は強打を狙いすぎて手数が減った。終わってみれば、大差の判定負け。「5回、倒せるチャンスに倒しきれなかったのがすべて」と、悔しさを押し殺した。

 試合後、村田をプロモートするトップランク社のボブ・アラムCEOは両者の健闘をたたえたうえで「ブラント陣営とも話したが、村田が望めば来年春に東京で再戦できる可能性がある」と、再戦プランを打ち出した。

 だが、村田は「再戦を要求できる内容じゃない。今は考えられない」と消極的で、今後についても「すぐに答えが出ることではない。少し休んでから? そうですね」と、明言しなかった。世界屈指の人気階級で、日本初の五輪金メダルと王座防衛。日本ボクシング史を変えてきた男の将来は、白紙となった。

 

この記事を印刷する

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ