シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる   作:須達龍也
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フォーサイト以外の面々も、なかなか面白い奴らなんですけどねえ。
オーバーロードは、いいキャラでも死んでしまうのが魅力と言えば魅力なんですが。

もったいねえ。


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「はい、はい。何を言っているの、もう彼らはマイナス百点があるのだから、マイナス十点なんてとっくに超えているわよ」

 

 

 

「さて、まずは自己紹介を」

 

 ユリ姉が死にいく者たち相手に自己紹介を始める。意味ないっすけど、いたぶってるんすかね? だとしたらユリ姉もなかなか意地が悪いっすね。

 

「ナザリック・オールド・ガーダー、出なさい」

「何しゃと!?」

 ユリ姉がナザリック・オールド・ガーダーを八体呼び寄せた。…あれぇ、最初は爺さんにプラスワンで、計六体の予定だったはずっすがねえ。ユリ姉もさっきのセリフに怒ってるみたいだ。

 

「…これかこの遺跡の最大戦力しゃな? この程度で儂らを止められるとても考えておったのかの?」

 

 あまりに見当違いの爺さんのセリフに、ユリ姉が動揺する。

 図星じゃろうという爺さんのしたり顔に、こっちは爆笑どころか苦笑するしかないっすわ。

 

 

「まぁ、そういう突破の仕方もありますね。応援しております、では始めてください」

 

 

 

 

 

「……誰かいるか?」

「…ここだ、グリンガム」

 即座に仲間の一人の声が返る。それもさほど遠くない距離。恐らくは先程走っていたときの間隔程度だろう。

「……他には誰もいないのか?」

 予想通り、返事はなかった。

「明かりをつけるか?」

「それしかないよな」

 何かをするには明かりが必要。闇への不安をそう言い訳して、明かりをつける。

 

 そこに広がる光景は…冗談にしても悪趣味なものだった。

 

「なんだ……よ、ここ」

 そう言いたい気持ちは痛いほどわかった。

 ヘッケランから聞いたモモンの助言を軽く扱いすぎたか? …いや、より慎重に動くようにチームの方針を決定した…そう決定はしたが、そこまでだった。

「……早く逃げるぞ。この遺跡は……触れてはいけないところだ」

 この判断は遅かったか? …いや、まだ間に合うはずだ!

 

「…いや逃げることは出来ますまい」

 

 突如、第三者の声が響く。

「誰だ!」

 慌てて周囲を見渡すが、動く者の気配はない。

「おや、失敬。我輩、この地をアインズ様より賜わる者、恐怖公と申します。お見知りおきを」

 その言葉と共に現れた…下からせり上がってきたのは、周囲のソレとは異なる体長三十センチほどの二本の脚で直立したゴキブリだった。

 豪華な金糸で縁取られた鮮やかな真紅のマントを羽織り、頭には黄金に輝く王冠をちょこんとのせている。前肢には先端部に純白の宝石をはめ込んだ王笏。

「お前は……何者だ?」

 ゴキブリはゴキブリだ。ただ、こんなゴキブリはありえない。

「ふむ。先程は聞いていただけなかった御様子。もう一度名乗った方がよろしいですかね?」

 意味としては通じなかったようだが、それよりも言うべき言葉があった。

「……率直に言う。取り引きしないか?」

「ほほぅ、取引ですか。御二方には感謝しておりますし、応じたいところではありますが…」

 感謝? 意味はわからないが、取引において何か引っかかるところがあるようだ。

 

「…御二方共、残念ながら百三十点以上のマイナスとのこと」

 

「は?」

 百三十点のマイナス? 意味が分からない。

「マイナス十点以上の者が、我輩の領域に参った場合の許可は、既に頂いておりますれば…」

「まっ…」

 こちらの言葉を遮るように、前肢を上げて更に言葉を続けてくる。

「その前に、何故感謝しているのか疑問を覚えられたようですし、それについて回答しておきましょうぞ。我輩の眷属が共食いには飽き飽きしたようで、そのため餌である貴殿らには先程も言ったとおり感謝しているのですぞ」

「な!」

 聞かされた言葉は、最悪としか言えなかった。

 仲間が矢を放つが、奴にあっさりと防がれる。

 

 そして、部屋が蠢く。

 

 

「二人しかいないのが残念至極ですが、眷属の腹に収まってください…」

 

 

 

 

 

「某はハムスケ! そなたを殺す者の名を覚えて、あの世へ行くと良いでござる! そちらも名乗ると良いでござるよ!」

 魔獣が一方的にふざけたことをぬかしやがる。

「……獣に告げる名などないのでね」

「ならば名も無い愚か者として、某の記憶からも消してしまうとするでござる!」

 巨体が一気に駆けだしてきた。下手な戦士であれば巨体の体当たりで大怪我は免れないだろう。だが、相手が悪かったな!

 獣の突進をギリギリまで引き付け、<縮地改>で距離を取り…

「ちぇぇい!」

 剣を振り下ろ…

 

「…げぶっ!」

 

 …白銀の突進を受けて、その衝撃で意識が一瞬だけ白く染まる。

 

 思えば、最初から躓いていた。

 獣風情がこの俺を見下し、舐めた口を聞いてきた。とても許せることではなかった。

 軽く、力の差を教えてやろうとした。

 

 武技を使った。自慢の<能力超向上>も使った。

 

 奴隷共に魔法を使わせた。治癒魔法と強化魔法をかけさせた。

 

「人間と魔獣ではもともと肉体能力に差があるからな! これで差を埋めさせてもらったぞ!」

「もともと全員を同時に相手するつもりだったから全然かまわないでござるよ? というよりそれで良い勝負になると良いなーと思っているでござるよ、こっちも」

「ぬかせ!」

 こいつは俺の神経を逆なですることしか言わない。必ず、必ず! 後悔させてやる!

「くらえ!」

 

 

「<斬撃>! でござる」

 

 

 は? はぁ!? 痛いっ! 痛い痛い痛い!!

 

「うで、うでがぁぁああ! ち、ちゆ、ちゆをよこせ!! はやくしろ!」

 

 なんでこうなった? どうしてこうなった!? おかしい! こんなはずがない!!

 

「うで! はやくしろ!」

 

 ありえない! ありえるはずがない!!

 

 

「そなたはマイナス百四十二点ということらしいので、このまま殺すことになるでござる。まあ、それはそれとして…」

 

 

 

「ありがとうでござるよ! 苦しめるのは趣味ではないので、これで終わりにするでござる」




アインズ様の採点基準

地上階含めて盗掘したら・・・マイナス百点
ナザリックを侮辱したら・・・マイナス一点
なんかムカついたら  ・・・マイナス一点

合計マイナス十点を超えると、死刑(チーン)






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