映画『一命』切腹詐欺が江戸時代に流行る?

 

映画『一命』では、狂言切腹という名の切腹詐欺が流行っていました。これは現代で言うオレオレ詐欺のように、巧みに相手の心を逆手に取るものだったのです。しかし、一命の狂言切腹は、武士の弱さと強さの両面を見られるので詳しく紹介しましょう。

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『一命』のキャスト

斎藤勧解由役の役所広司

引用:https://eiga.com/movie/56278/gallery/10/

映画『一命』は、2011年10月15日に日本で上映されました(上映時間は約126分)。 

監督&脚本

武士の弱き所と強き所を描いた映画『一命』を制作したのが、三池崇史監督になります。 

  • 監督:三池崇史
  • 脚本:山岸きくみ
  • 原作:滝口康彦 

登場人物&役者

映画『一命』に登場する人物や役者さんたちは、以下の通りです。

  • 津雲半四郎/井伊家に切腹を願い出る武士(演:市川海老蔵)
  • 千々岩求女/津雲より先に切腹した武士(演:瑛太)
  • 美穂/千々岩の妻(演:満島ひかり)
  • 斎藤勧解由/井伊家の家老(演:役所広司)
  • 田尻/斎藤の家臣(演:竹中直人)
  • 沢潟彦九郎/千々岩の介錯人(演:青木崇高)
  • 松崎隼人正/金で解決しようとする武士(演:新井浩文)
  • 川辺右馬助/千々岩を見下す武士(演:波岡一喜)
  • 井伊掃部頭直孝/井伊家の当主(演:平岳大)
  • 千々岩甚内/千々岩求女の父上(演:中村梅雀)

『一命』のストーリー

復讐しようとする津雲半四郎

引用:https://eiga.com/movie/56278/gallery/2/

井伊家で、切腹をさせて頂きたいという申し出がきた時に、井伊の家老である斎藤勧解由は「またか」と嫌気をさします。実は、井伊家で切腹を申し出た者は、以前にもいたからです。

津雲半四郎が切腹を申し出た訳(起)

津雲半四郎は、広島藩49万8000石を領する福島家に仕えている者でした。しかし、福島家は江戸幕府の許しを得ないまま、勝手に城を改修した罪で、所領を没収されてしまいます。そのため、多くの武士たちが浪人となってしまって、津雲半四郎も、その一人でした。

しかし、路頭で切腹しては武士の面目が保てないので、福島家に負けないほどの武勇を誇った井伊家の屋敷で切腹したかったというのです。しかし、斎藤勧解由は以前にも似たような話があったので、簡単には切腹をさせる訳にはいかないと斎藤勧解由に会う事にします。

斎藤勧解由は、津雲半四郎に「福島家と申されたが、千々岩求女をご存知か?同じご家中のはずだが」と尋ねます。しかし津雲半四郎は「広島藩は49万8200石。家の者を入れると、その数は検討もつかないので存じません」と答えます。

斎藤勧解由が語り出した話(承)

津雲半四郎は「千々岩求女が、そこもとと同じ要件で訪ねてまいった。その者がきた経緯(いきさつ)をお話しもうそうか?」と語り出しました。千々岩求女は、浪人として落ちぶれた事を潔しとせず、武名の名高い井伊家の立派なお屋敷で切腹をしたいと願いでてきました。

井伊家の川辺右馬助は「俺が切り捨ててこようか」と言いますが、松崎隼人正は「それでは、後々に面倒な事になる」と難色を示します。しかし、沢潟彦九郎だけは違う考えを抱いていて、家老である斎藤勧解由に「今流行りの狂言切腹に相違ございませぬ」と知らせます。

家老は「狂言切腹?」と聞いた事もない話に聞き返してしまうのです。実は、狂言切腹とは、武士らしく切腹したいと願い出て、その潔さを認めてもらって仕官を叶えたり、他家から哀れんでもらって金子(金)を恵んでもらえる詐欺のようなものでした。

井伊家が狂言切腹を看破(転)

そこで井伊家は、千々岩求女に殿へ引き合わせようと油断させておいて、密かに脇差を調べてみたのです。そうしたら、その脇差は驚くべきもので、川辺右馬助は「このような物で、潔く腹を切ろうなどとはな」と呆れてしまいます。

井伊家の者たちは、屋敷の庭先を切腹の場として設けますが、千々岩求女は「しばらくのご猶予を」と言い出しますが、家老は「落ち着かれよ、我らはそなたの願いを聞き届け、礼を尽くしたつもりだ。武士に二言があってはならん」と語りかけます。

そして、沢潟彦九郎は「ご最後は、ご自分の物がよろしかろう。見事な脇差をお持ちじゃ」と見下します。千々岩求女が手を震えながら抜いた脇差は、何と木刀だったのです。これを見た家老は、本当に狂言切腹だったとはという表情を浮かべてしまいます。

津雲半四郎の正体(結)

千々岩求女は「どうか3両たまわりたい、病弱な妻子を助けたいのです」と願い出ます。沢潟彦九郎は「最後の願いがそれか、情けない奴め」と罵るので、ついに沢潟彦九郎は木刀で腹を切る覚悟を決めます。

切れ味の悪い木刀では、腹に突き刺す事が難しくて何回も刺しますが、それでも沢潟彦九郎は「まだまだぁ!」と、さらに突き刺すように求めます。さすがの家老も見ておられず、自ら介錯をしました。家老が、ここまでの話をしても、津雲半四郎の意思は変わりません。

しかし、津雲半四郎が切腹をする際に「介錯人として沢潟彦九郎にお願いしたい、それが無理なら松崎殿か川辺殿をお願いしたい」と申し出ます。所が3人とも行方が分からなくなったので、家老は「貴公、何しに参られた!」と殺気立ちますが、津雲半四郎は何者なのでしょうか?

答えを知りたい方はネタバレをクリック [ネタバレ]

津雲半四郎は、同じ福島家の家中である千々岩甚内が亡くなりそうな時に、息子を頼むように託されます。その者こそ千々岩求女であり、やがて津雲半四郎の娘と千々岩求女は夫婦になります。津雲半四郎は、息子の最後の願いを聞かなかった井伊家に復讐しようとするのです。

『一命』の豆知識

狂言切腹をする千々岩求女

引用:https://eiga.com/movie/56278/gallery/9/

狂言切腹を取り上げた映画『一命』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。 

江戸幕府の大名取り潰し

一命で、福島家が広島の領国を没収されますが、これは福島家に限った話ではありません。江戸幕府は力のありそうな大名に、次々に難癖をつけては改易(領国の没収など)や減封(領国を減らす)などを行なっていきました。

このような事を行うのは、室町幕府の教訓があったからでしょう。実際に、室町幕府は世継ぎ争いに、山名と細川の両大名が介入してしまって、未曾有の大内戦『応仁の乱』が勃発しました。

徳川家康は大の読書家として知られているので、室町幕府と同じ轍(てつ)は踏まないと決めたのでしょう。その考えが、徳川秀忠にも伝えられていた可能性が高いので、福島家が改易されたのも仕方のない話でした。

誤解される武士

今の日本では、何かあると『侍』という言葉を使います。しかし、侍である武士とは、全ての者が潔かった訳ではありません。江戸幕府を開府した徳川家康でさえ、妻子を殺せと言われて仕方なく従った事もあります。 その他にも、藤堂高虎は7人も主君を変えています。

このように、武士とは潔くない所もありますが、それは武士にとって最も大事な事は家名を存続させる事。そのため、この映画を見て武士らしくないと思う方はいるかもしれませんが、それは武士が戦さ場で華々しく散ってしまう所だけを映画やTVドラマで見ているからでしょう。

『一命』の感想

千々岩求女と妻

引用:https://eiga.com/movie/56278/gallery/7/

映画『一命』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。 

『一命』の残念な所

この映画は、津雲半四郎が何者であるか?それが大きな見所と言えるのですが、いかんせん予告動画を見たら、だいたいは想像がついてしまいます。

そのため、予告動画でここまで内容をばらすのは不味いのではないかなと思ってしまったので、そこが残念な所でしたね。

そして千々岩甚内が、何回も木刀で腹を刺す所は衝撃的なシーンでもあるので、刺激の強いシーンを見たくない方は注意したほうが良いです。

『一命』の見所

武士の潔さばかりがもてはやされる時代にあって、この映画では見事に武士の弱さと強さの両方が描かれていました。千々岩求女は父や妻子を愛する者で、心優しい所がありますが、その優しさが弱さにもなって狂言切腹をするに至ります。

それに引き換え、津雲半四郎は武士として強い信念を持って、多くの武士を圧倒します。このように、千々岩求女と津雲半四郎が対照的な行動を取る事によって、一命は私たちに様々な事を考えさせてくれます。

映画『一命』を見れる物

津雲半四郎と千々岩求女

引用:https://eiga.com/movie/56278/gallery/

映画『一命』は、DVDや動画配信で見る事ができるので、どのような種類があるのか詳しく紹介しましょう。

DVD『Amazon・楽天市場・7net』

映画『一命』は、Amazon・楽天市場・7netで注文する事ができます。この方法であれば、自宅から注文する事ができるので、お店まで行く必要がありません。

ただし、7netの場合にはお近くのセブンイレブンへ行く必要がありますが、好きな時間で受け取れるというメリットがあります。

動画配信『U-NEXT』

動画配信『U-NEXT』では、映画『一命』を見る事ができます。月額料金は税抜価格1,990円になっていますが、始めての方は31日間は無料となります(本ページの情報は2018年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください)。