朝鮮日報

【コラム】北朝鮮を愛するあまり「あばたもえくぼ」になった人々

 こうした人々の「北朝鮮愛」の歴史は長い。李承晩(イ・スンマン)元大統領や朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領と闘ううちに、両元大統領の敵が心の中、理念の中で同志になったのがきっかけではないだろうか。こうした人々はほぼ例外なく、ジャーナリスト・社会運動家だった故・李泳禧(リ・ヨンヒ)氏の弟子たちだ。李泳禧氏は中国の文化革命を美化した人物だが、北朝鮮を愛する人物の元祖の1人でもある。名字の読み方も韓国式の「イ」ではなく、北朝鮮式の「リ」にこだわった。同氏は北朝鮮の核危機が始まった1992年、「北朝鮮が核を放棄すると言っても、米国の対北朝鮮政策は修正されない。ひとたび国際査察が行われれば、それ(核)を再開するのは事実上、不可能だ。牙のないトラの子になるも同然だ」と北朝鮮に忠告した。北朝鮮に対して「絶対に核を放棄せず、国際査察も受け入れるな」と言ったのだ。李泳禧氏は韓国が起こした「奇跡」を徹底的に無視しながらも、北朝鮮については「新たな国の革命と熱気があふれる社会」「北朝鮮の住民がトウモロコシがゆばかり食べて栄養失調になっているようなことを言うのは、南側の権力が植え付けた固定観念」と発言した。その発言があった時は既に北朝鮮の住民数十万人が餓死している時だった。李泳禧氏が韓国や米国をのろい、北朝鮮を愛し、中国共産党を美化する言葉は、1970年代の学生運動で聖書のように扱われた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領自身が語ったとおり、ほとんどがこの思想の洗礼を受けた。この洗礼は1980年代に主体(チュチェ)思想派が登場する土台となった。

 2007年に李泳禧氏に会った北朝鮮内閣参事が「李泳禧先生が民族的な善意から書いた文章を印象深く受け止めている」と感謝の意を表した。すると同氏は「(私が)20-30年かけて育ててきた後輩や弟子たちが南側(韓国)社会を握り、揺るがしている」と言った。今、我々が見ている現実は李泳禧氏が言った通りの社会だ。

楊相勲(ヤン・サンフン)主筆

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