朝鮮日報

【コラム】北朝鮮を愛するあまり「あばたもえくぼ」になった人々

 06年に北朝鮮が初の核実験を実施し、民族の未来に暗雲が垂れ込めた時、開城工業団地で南北共同行事が行われた。国の安全保障にとって深刻な脅威が始まったまさにその重大な時期に、民主党=当時=の代表団が北朝鮮側と昼食会をして、その際中に立ち上がり、踊り出したのだ。これは愛に目がくらんだ「あばたもえくぼ」だ。交渉なのか、「あばたもえくぼ」なのかは、低姿勢でへつらっているかどうかを見れば分かる。交渉なら相手にへつらう理由はない。しかし、北朝鮮と恋に落ちた政権の官僚たちは、北朝鮮の前で低姿勢になる。統一部(省に相当)長官の言動がそれを示している。

 愛に目がくらめば、いとしい人に対して特別基準を適用する。ほかの人がしたら駄目なことでも、恋人がすれば「やむを得ない」「特殊な事情」「一理ある」と言う。「あばたもえくぼ」に見えているのだ。金大中(キム・デジュン)元大統領が「北朝鮮は核開発をしないだろう」と言ったことや、後に北朝鮮が核開発をすると盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が「北朝鮮の核開発には一理ある」と言ったことがその例だ。韓国で誰かが世襲王朝を築こうとすれば命がけで闘う人々が、北朝鮮の金一族による王朝に対しては「家族主義的な国」だという。韓国内の人権にはパラノイア(偏執病)のようになる人々が、北朝鮮の人権抹殺に対しては「特殊な事情」だという。

 「あばたもえくぼ」になると、醜いものも美しく見える。北朝鮮は失敗した国の代表例だ。首都・平壌を離れると、まともな道路も鉄道もない。食糧問題すら依然として解決できずにいる。ところが、展示場のように飾られている平壌だけを見て「驚いた」と感心する。そう話す人々も北朝鮮の現実を知らないわけではない。頭では分かっているが、恋に落ちているから良い所しか見えないのだ。「北朝鮮の情報技術(IT)レベルは韓国より高い」と言った元長官もいた。精神的な病(やまい)なのではなく、愛の為せる技だ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】北朝鮮を愛するあまり「あばたもえくぼ」になった人々

right

関連ニュース
今、あなたにオススメ
Recommended by