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【コラム】金正恩の「イメージメーカー」文在寅

【コラム】金正恩の「イメージメーカー」文在寅

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日からバチカンを訪問し、ローマ法王との会談時に「平壌を訪問してほしい」という金正恩(キム・ジョンウン)委員長の意向を伝えるという。9月の平壌での首脳会談で文大統領が金委員長に「フランシスコ法王は韓半島(朝鮮半島)の平和に深い関心を抱いているので、一度会ってみてはどうか」と述べたとされるが、そんな提案をした理由が気になる。ローマ法王が金正恩に核を捨てろと言えば、非核化のペースが速まるとでも考えたのだろうか。あるいはローマ法王の訪問が北朝鮮の宗教の自由を促進するきっかけになると期待したのだろうか。どれも違うだろう。文大統領はそんな純真な考えではなかったはずだ。

 金正恩は「法王が平壌に来れば、熱烈に歓迎する」と述べた。数十万人が通りに出て、小躍りしながら涙を流す姿がもう一度見られることだろう。平壌にあるという長忠聖堂の信者の一人がCNNのカメラの前で自分の信仰について話す姿も予想される。そして、「共和国では何ら制約なく、カトリックを信じることができる」というメッセージが伝えられる。それを12億人に達する全世界のカトリック信者が目にする。ローマ法王の日帰り訪問で北朝鮮が正常な国になるはずはない。しかし、北朝鮮が正常な国であるように見せる効果は確かにあるだろう。

 文大統領は先月、FOXテレビのインタビューで、「金正恩委員長には核やミサイルによる相次ぐ挑発でマイナスイメージが強かった。だから首脳会談のたびに金正恩委員長の対話する姿をテレビの生中継で全世界の人々が直接見ることができるように努力した」と語った。今年4月の板門店での首脳会談で視線を集めたのは、断然橋を歩きながらの対話シーンだった。2人が散策を終え、橋の一番奥に設けられた座席に座った時、文大統領の後ろ姿越しに金正恩の顔が正面でとらえられる構図だった。金委員長は文大統領の言葉を傾聴しながらうなずき、時には熱心に問い返した。目上の人間と礼儀正しく会話する実直な若者の姿そのものだった。金正恩のプラスイメージをつくるにはもってこいだったが、実際にそんな意図があったと文大統領自身が告白したことになる。

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