特に、現在の児童・生徒たちは小さいころからスマートフォンを通じて自殺・自傷行為のコンテンツに接していることも影響しているとの指摘が多い。小学生の間では、今年初めから動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」に投稿された「頭を突っ込んで自殺しよう」という動画の「自殺ソング」が流行しており、10代の間では自傷行為の写真をソーシャル・メディアに掲載・共有する現象もある。保健福祉部と警察庁が昨年7月に2週間にわたりインターネット上の自殺関連コンテンツを監視したところ、8039件も見つかった。これは昨年同時期より38倍も多い。このうち自傷行為の写真は84%だった。
翰林大学医学部精神科のホン・ヒョンジュ教授は「子どもたちはインターネット放送やソーシャル・メディアで自殺・自傷の写真・動画をよく目にするため、これを何ともなく思ってまねするケースもある」と話す。10代の間で自殺コンテンツが過度に拡大していることから、国会では先月、自殺コンテンツを青少年有害メディアに指定する法改正案が発議された。
■済州島はなぜ「自殺児童・生徒ゼロ地帯」?
専門家は、児童・生徒の自殺を防ぐには、不安やうつを訴える子どもを見つけたらすぐに専門のカウンセリングや治療を受けさせなければならないと話す。済州教育庁は15年から教育委員会の予算で精神科専門医を採用、学校で自傷行為や自殺未遂事件が発生した場合、直ちに学校に派遣して児童・生徒にカウンセリングや治療を受けさせている。さらに、専門医と学校教師が密に連絡を取り合い、児童・生徒を観察する。こうした努力により、済州島は3年連続で自殺者を1人も出していない「自殺ゼロ地帯」になった。