うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

結成!ゴナンショクジャー! ~『男色比翼鳥』巻6の13 その1~

いよいよ最終章

『男色比翼鳥』巻6の13を今日から読み始めるよ!

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※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [6] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻
敵ハ同村雲命
寔(まこと)に人のむね程(ほと)廣(ひろき)ハなし両人のあらそひは互に智
恵(ちゑ)の棚(たな)おろし音羽之丞緑(ミどり)之助ハ初(はしめ)よりの荒増(あらまし)いち/\
聞て取ても/\跡よりたまるハ風前の落葉(らくやう)語共つきぬ
ハ若道のうわさ言葉に花さかせて両三人のものかたり
一日一夜はなす共聞あくまじ是そ我々に御さつけの男立
寄て契致(ちけい)のむすびかたく究(きハめ)後見(うしろミ)と頼まんと緑之助案
内(あんなひ)乞(こへ)ば音羽も悦同立入幸手軒罷出こハ見なれぬ御かた
何かたよりの御越とにこはことした相さつも衆道をすける
故ならめ緑之助うちゑみわれ/\ハ都のものふしぎな
る灵夢(れいむ)にまかせ各々を尋(たづね)下り候委細ハそれへ参りて申
さんと奥座しきへとをり右の段々はなしもあへぬに山田
半平市川源蔵横手(よこで)をうつて是ハきたひの事共我(われ)/\
まつそのごとくの夢のつげあまりふしぎのはれやらず
此所へ参しと今迄衆道をけなしたる両人も二少年美形(びけい)
にわれをわすれ悦こそおかし奥村くす/\笑ひ出し
赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

【現代語表記】
『敵(かたき)は同じ 村雲が命』
真(まこと)に人の胸程(ほと)広(ひろ)きは無し。
両人の争いは互いに智恵(ちえ)の棚(たな)卸し。
音羽之丞、緑(みどり)之助は、初(はじ)めよりの荒増(あらまし)一々(いちいち)聞きて、
「取りても取りても跡より溜(た)まるは風前の落葉(らくよう)、語るとも尽きぬは若道の噂。
言葉に花咲かせて両三人の物語、一日一夜話すとも、聞き飽くまじ。
是ぞ我々に御授け男、立ち寄りて致契致(ちけい)の結び固く究(きわ)め、後見(うしろみ)と頼まん。」
と緑之助案内(あんない)乞(こ)えば、音羽も悦び、同じく立ち入る。
幸手軒罷(まか)り出て、
「こは見慣れぬ御方、何方(いずかた)よりの御越し。」
と、にこはことした相拶[挨拶]も衆道を好ける故ならめ。
緑之助打ち笑み、
「我々は都の者、不思議な霊夢(れいむ)に任せ各々を尋(たず)ね下り候。
委細はそれへ参りて申さん。」
奥座敷へ通り、右の段々話しも敢(あ)えぬに、山田半平、市川源蔵、横手(よこで)を打って、
「是は希代(きたい)の事ども。
我(われ)々、先ずその如(ごと)くの夢の告げ、あまり不思議の晴れやらず、此所へ参りし。」
と今迄衆道を貶(けな)したる両人も、二少年美形(びけい)に我を忘れ悦ぶこそ可笑(おか)し。
奥村くすくす笑い出し、

【さっくり現代語訳】

『敵(かたき)は同じ奴! 狙うは村雲の命!』の巻

本当に人の心の中ほど広いものはありません。

奥村山田・市川の言い争いは、お互いの知識を無尽蔵に次から次へと出していきます。

唐崎音羽之丞松枝緑之助は、最初からこの論争を一つ残らず聞いていました。

「取っても取っても、溜まるのは、風で落ちた葉っぱ。

語っても語っても、尽きないのは、男色の噂話。

どんどん出てくる三人の話は、一晩中聞いていても飽きないでしょう。

この方たちこそ、我々文殊が授けて下さったに違いありません。

今すぐ会いに行って、固く男色の契りを交わし、後見人となっていただきましょう。」

緑之助は家の中に入り、案内を請いました。

音羽之丞も喜んで、続いて家の中に入りました。

奥村幸手が出てきて、

「これは、ここら辺りでは見かけないお方。

どちらからいらっしゃったのですか?」

とニコニコしながら対応したのは、やはり男色が好きなのでしょう。このスケベ親父め。

緑之助は微笑み、

「私たちは都の者です。

不思議な霊夢に導かれて、こちらを尋ねてきたのです。

詳しくは部屋の中でお話しましょう。」

と言うので、奥村奥座敷に通しました。

二人がまだ経緯を話し終わらないうちに、山田半平市川源蔵は手をポンと打ち、

「これは不思議なこともあるものです。

実は、我々もそのような夢のお告げでがあって、変だとは思いながらも。ここへ参上したのです。」

と言いました。

さっきまで男色をディスってた山田市川も、二人の美しい少年を見た途端、我を忘れて喜ぶのでした。このスケベ親父め。

奥村はクスクスと笑い出し、

【解説】

やっと、五人が出会いました!

長かった!!!(笑)

内容を忘れた方は、ダイジェストでもいいので、もう一度、巻1を読み直しておいてくださいね♪kihiminhamame.hatenablog.com

それにしても、二人の少年は話をどこで聞いていたんでしょ?

外に聞こえるほど三人の話し声はよほど大きかったんですかね(笑)

まあ、話が聞こえたのも、文殊様の仏力ということで(笑)

それにしても文殊、ぬかりなく、山田と市川にも霊夢を見せていたのですね。

文殊山田の名を山下と間違えてましたけどね!(笑)

長々と続いた男色女色優劣論争も、二人の少年の登場によって、ついに決着しそうです。

次回予告とくずし字クイズ

奥村の敵緑之助の敵は?

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