最初に断っておくと、僕は鉄道クラスターの端くれなので、JR東日本には日頃からお世話になっている。ところが掲題の通り、モバイルSuicaを含めたJR東日本のウェブサービスから全て退会することになった。
ざっくりとした退会理由
詳しい退会までの流れは後ほど。
実際に退会したサービス
- モバイルSuica
- えきねっと(切符のオンライン購入等)
- VIEW's NET(クレジットカード情報照会)
- JRE POINT(Suicaとかのポイント交換)
- My JR-EAST(JR東日本のウェブサービスアカウントをまとめるやつ)
ちなみに、ウェブサービスではないけれども、今回同時にビックカメラSuicaカードも退会した。この辺り、どのようにして僕がJR東沼にハマり、抜け出したのかについて順を追って説明しようと思う。
入会のきっかけ
話は今から約10年前、2009年春にまで遡る。その当時、僕は滋賀県大津市に住んでいたが、勤めていた会社がお取り潰しになってしまい、東京の関連会社に拾われることが確定していた。東京だと交通系電子マネーは日常的に使うだろうと思ったので、クレジットカードからいつでもチャージできるモバイルSuicaを使ってみようという流れになった。
ところが、モバイルSuicaはJR東日本(現ビューカード)の発行するクレジットカード以外を使うと年会費が1,080円掛かってしまう。そしてJR東日本のカードも全部年会費が設定されていた。一応他にもEasyモバイルSuicaというサービスもあったが、こちらはクレジットカードからのチャージができないので却下だし、どうしようかと考えた。
ビックカメラSuicaカードとの出会い
そんな中、1つだけ条件付きで年会費無料になるカードがあった。ビックカメラSuicaカードだ。条件と言っても、年1回の利用だけなのであって無いようなもの。これだ!と思い、すぐにビックカメラJR京都駅店へ向かった。
ちなみに、当時はビックカメラJ-WESTカード(ビックカメラSuicaカードのJR西日本版)が登場した直後で、店側もそちらを激推ししていた。そんな中でSuicaカードを申し込んだものだから、店員から「本当にこちらでよろしいんですか?」と怪訝な顔で念を押されたのは今でも覚えている。
使えるSuicaと使えないウェブサービス
東京でのモバイルSuica生活は快適だった。定期券は駅で並ばずともアプリで買えるし、オートチャージを設定していたので残額不足でSuicaペンギンからラリアットを食らうことも無く安心だった。
ただ、ウェブサービスの方がどうにもイケてない。Suica本体の情報はモバイルSuicaの専用サイト、切符の購入はえきねっと、Suicaで貯まるポイントはSuicaポイントクラブ、ビックカメラSuicaカードはVIEW's NETと、4つもバラバラのアカウントを登録する必要がある。一応My JR-EASTという1アカウントで全てのサービスにログインできる仕組みはあるけれども、アカウントの二重管理になる上、結果的にそれ用のアカウントがもう1つ増えるという地獄だった。
クレジットカードは別アカウントでも仕方ないと思うけれども、その他は最初から纏められなかったのかと、今でも不思議で仕方ないが、なんとこの状況は9年後の今年春になるまで変わらなかった。
Google Payの登場
転機は外からやって来た。Google PayがSuicaをサポートしたことで、全てのクレジットカードでモバイルSuicaを無料使用する道が開けたのだ。
従来のモバイルSuicaと比べると制約はあるものの、僕は今では定期券を使っていないし、オートチャージについても改札でしか効かないから、それよりはGoogle Payの残額通知の方が助かる。何より、あのガラケー時代から進化していないUIのモバイルSuicaアプリから解放されるのが嬉しい。
というわけで、モバイルSuicaのアプリについては早々にGoogle Payに移行した。ただ、この時点では退会までするほどの何かは無かったので、それ以上の行動は起こさなかった。
観光地化するビックロ
伏兵はビックカメラの方から現れた。自宅から最寄りのビックロが、どんどん使えない店になってきたのだ。
開店当初こそ、新宿西口と良い勝負かそれ以上の品揃えだったので、便利になったものだと喜んでいたものの、近年のインバウンド需要に当て込んでか、完全に外国人観光客受けするような店構えに変貌してしまった。今では日本人よりも中国人客の方が多いのではないかという有様だ。
ならば西口へ行けば良いという話だけれども、西口であればヨドバシの方が品揃えは豊富なので、ビックカメラを選ぶ理由が薄くなる。折しもヨドバシは近年になって、他社クレジットカードでもポイント還元率が下がらなくなったので、ビックカメラSuicaカードを持つ意味のもう片方も崩れた。
セキュリティーへの疑念
トドメがこの事件。
まさか2018年にもなってパスワードぶった切り案件が出てくるとは思っていなかった。JR東日本のウェブサービスの残念さは、モバイルSuicaアプリを見ればお察しという感じではあったけれども、さすがにセキュリティー面でこの有様はやばいと思い、いよいよ退会しようという考えに傾いていった。
退会するためにJRE POINTアカウントを作る
冗談かと思った。
SuicaのチャージでビックカメラSuicaカードのポイントが5,000円分くらい貯まっていたので、これを還元してから退会しようと思ったら、今年の春頃にJRE POINTというポイントサービスに統合されたらしい。いや、統合するのは良いけど、それでまたアカウント増やすなよ…。
というわけで、ポイントを還元するためだけにJRE POINTのアカウントを作成、Suicaにチャージ、即退会…できない。
1日待たないと退会できないJRE POINT
後でわかったことだけれども、夜間にバッチ作業でもやっているのか、ポイント交換を行った場合は翌日にならないと退会できないらしい。だったらそうやって注意書きを出せば良いのに、退会処理を試行した時のエラーはこれだ。
「交換申込み中のSuicaチャージまたは(JRE POINT用)Suicaグリーン券が未受け取りとなっており、退会できません。(116)」
いや、受け取って残高も画面に反映されているんですがー。僕はこの時点で何となくバッチ作業の問題だろうと察したけれども、一般のユーザーであればそんなことは知ったこっちゃないだろう。
退会してもログインできるVIEW's NET
JRE POINTでうんざりした所へ、更にとんでもないのが出てきた。VIEW's NETだ。
そもそも僕はこれを退会処理したかったんだよ…。と思いつつも、粛々と退会フォームへ進む。どこかみたいに退会ボタンまでの険しい道程みたいなのは無く、あっさりしていて好感が持てた。退会完了のメールもすぐに届いた。
さて…、クレジットカードの情報だし、念のためログインできなくなったことを確認しておこう。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
ログインできてしまった…。
僕の名前もバッチリ表示されている。いやバッチリではいかんのだけれども。現在の利用可能額とか、一部のページは「当サービスはご利用いただけません。」となって閉じられている風なのだけれども、肝心な利用明細は表示できてしまう。
いやいやいやいやいや、これはさすがにダメだろう。
いや、こんなサービスからとっとと退会して良かったというべきか。まさか退会してまでこんな凄いものを見るとは思っていなかった。取り敢えず、これはさすがにやばすぎるので問い合わせ窓口の方にも一方入れておいた。他人の情報を覗けるとか実害の発生するものではないので、ここには書いておくことにした。
おわりに
中々凄いものを見てしまったが、ひとまず全てのアカウントは削除した(向こうで削除されたかは置いておいて)。ただ、モバイルSuicaだけは必要なので、改めてGoogle PayでSuicaを登録した。つまり、厳密には退会した後で再登録したという話ではあるのだけれども、まぁそこは勘弁してほしい。
一応今後もお世話になるということもあるし、Suicaの仕組み自体は世界に誇れる素晴らしいものだと思うので、中の人達にはサービスの改善に邁進していただきたい。というかもっとウェブサービスに投資した方が良いと思う。いや本当に。