自己紹介の欄にこんな文章を入れてました。
□ □ □ □ □
『自己紹介』
1982年、富山県生まれ。
(暴飲暴食による)糖尿病患者、ドラえもん的な体型。
ということで、富山でも高岡かそのあたりの出身。
地元の高校卒業後、いろいろな紆余曲折を経てから、アダルトゲームの制作会社に就職。
童貞卒業が割と早い時期(高校一年にその当時付き合っていた彼女と)で、その後も何度か恋人がいたという豊富な恋愛経験を持っていたのと、オタクでギャルゲーマー(ときメモでは最高無敵の完璧美少女・伊集院レイを落としたほどのハードゲーマー)だったという事から、ストーリー構成補助及びサブシナリオライターとして携わる。
同社では数多くの作品に関わった(ペンネームは『にくまん』)。
デビュー作(と言えるもの)。
シャム双生児の美人家庭教師といちゃラブするゲーム(作品名:『ふたごせんせい、らいふっ!』。
以下のセリフを担当したのがはじめてのおしごと。
------
「ファイナルファンタジー2の…ミシディアの洞窟に出てくる『2ヘッドドラゴン』の『2』って、ツーと言うのかダブルと言うのか、どっちなんでしょうかね、先生?」
「わたしはダブルだとおもうわよ。ねーしぐれちゃん?」
「えーわたしは、にヘッド、と呼ぶとおもったんだけどさーなつきちゃん?」
「そのイントネーションよくなーい。主人公(注:その作品では主人公の名前を『トンヌラ』『ゲレゲレ』『家庭教師ハンター・夢野銀二』の3つから選べる)はどう思うの?」
「なつきとしぐれちゃん、キミはどっちをえらぶのかな?」
------
そこから先が、双子のヒロインの内、どちらかをヒロインにするかの分岐であった。
これを提出した時は、会社の中じゃ爆笑と失笑が渦巻いてお褒めの言葉を預かり、そこそこ感触よかったんじゃないかな、と思って「我会心の出来映えなり」などと悦に浸っていたのだが、ゲームが発売してしばらく経ち、
「こんなしょうもないところが重要分岐点でどうする?」
とユーザーからお叱りの投書。
しかもこの会社の作品にはギャグに定評があったが、「この展開はついてけない」とネットのエロゲーレビュワーからは酷評の嵐が。
この作品を機に「地雷シナリオライター」の烙印を押されることとなる。
また、その次の作品は同社の『奥様』シリーズの第4作目。
以下のセリフのみを担当。
------
僕は、マダム白永の家に御呼ばれされた。
彼女は信長の野望・烈風伝ウィズパワーアップキットのパッケージを手に取り、「諸王の戦い、はじめましょう?」と僕に言った。
人妻との烈風伝。
しかも、世界の英雄たちが集う、戦国の聖杯戦争ともいうべき、諸王の戦い。
選択画面で僕は、チンギス=ハーンを選んだ。
そしてマダムは、はちきれんばかりの胸元を寄せながら、カエサルを選ぶ。
マダム白永はプレイステーションのコントローラーを握りしめて、僕にこう言った。
「ファイナルファンタジー7で一番人気の女性キャラクターといえば、ティファなんでしょ?」
「それ、何情報ですか?」
「FFファンが集うネットの投票でティファが一位を取ったから。わたし、男の人がティファを選ぶ理由、すっごいわかるの。だって、主人公の幼馴染に気立てのいいお嬢さん。それに、黒髪ロングですっごい巨乳だしね?」
きみもそんな女の子が好きなんでしょ、とマダム白永は僕に言った。
「あたしはレッド13が実は女の子だという設定だったら、絶対にレッド13に票を入れていたわ。キミは?」
すぐには答えられない。
テレビの画面では、彼女の軍のジャンヌダルクが、長曾我部家の軍勢と対峙する。
ジャンヌダルクの戦闘力は70で采配は77。
対する長宗我部は当主の元親(戦闘力が68で采配が90)が相手なので、マダムのジャンヌじゃ圧倒的に不利だ。
そんなことはどうでもいい。
問題はティファがどうして人気なのか?
僕はマダムの機嫌を損なわない様に、どう答えたらいいのか、ってこと。
ティファは確かにエロいしクラウドの幼なじみ。
でも強い。
ちからは強いし最大HPだって早くにカンストする。
ファイナルファンタジーシリーズは格闘タイプのキャラが強キャラで、6でもマッシュをスタメンに使っていたぐらい僕は格闘タイプのキャラクターが好きだった。
でも僕は、あのゲームではユフィが一番かわいいんじゃないか、と思ったんだ。
忍者で手裏剣が投げられる、一癖あるトリッキーなタイプのキャラ。
そのタイプだったらケットシーをみんな支持するんだろうけれど、3からの「忍者=手裏剣投げでボス撃滅」のスタイルに酷くこだわる僕は、世の女性が絶対に推す「クラウド×エアリス」のカップリングよりも、「ユフィ×ぜになげ」のカップリングのほうがFFファンとして至極まっとうな考え方なんじゃないかな、と痛く思っていた。
でもどうしよう?
マダムが「ユフィ×ぜになげ」よりも「レッド13×コスモメアリーの後のナイツォブラウンド召喚」のカップリングの方が好き、と返したら?
きっと僕はこう言われるに違いない。
「想像してみて? レッド13が勢い込んでラスボスにコスモメアリーをぶつけるのだけれど、9999しかダメージを与えられなかった。しかも1回きりよ? FFは7から火力のインフレが始まるの、キミも知っているわよね? だから「オイラじゃ力不足なのかな…」とレッド13がうなだれる。そのところにクラウドが、「レッド、よくやった。後は俺に任せろ」と淡々とした口調でほめてね、超究武神破斬とナイツォブラウンドのセットでセフィロスを仕留めた後、「お前のコスモメアリーがあったから、この一撃が決められた」と言ってレッド13の頭を撫でるところ。そういうところを想像出来ない男の子って、女の人の気持ちを理解できないと思う…少なくとも、あたしの心はね?」
そうやって呆れられたら、僕はマダムと二度と会えなくなるのだろうか?
生唾を飲み込んだあと、恐る恐る彼女に尋ねた。
「もし僕が、ユフィがお気に入りと言ったら、白永さんはどう思われ…ますか?」
それを聞いたマダムはふふふっ、と笑って妖艶な瞳の輝きを注ぎ込む。
「キミはくノ一が好きなのね? ……男の子らしいわ。あたし、男の子の単純なそういうところ、とっても大好き」
その時、画面の中の戦場では、騎馬突撃を試みた救国の聖女が土佐の姫若子の首を討ち取っていた。
僕の心もその時既に、マダムに討ち取られていたのかもしれない。
------
それから寝室でのシーンに移ったので、
「なんでこういうところで欲情すんのかがよくわかんない」
と、とあるヘビーユーザーからのお叱りが。
その人物は女性のファンだった。
アダルトゲームの雑誌の読者コーナーでは会社の作品のヒロインのイラストを描いて送ったり、同社の作品の同人誌を出したりするほど、とても熱心なファンだった。
彼女を含むそういったコアなファンから「コイツだめ」「排せつ物」「ゴミ」などという評価を受けたため、いたたまれなくなって退職。
その後しばらくは外注スタッフに鞍替えし、大阪のおばちゃんが好きそうなヒョウ柄の座布団やこたつ布団を作る会社のキャッチコピーを考えるアルバイトとして働くかたわら、前いた会社の作品の鬱展開担当のサブシナリオライターとして仕事を続ける。
担当した鬱展開は以下に記す(箇条書きで)。
・ガンダムのギレン・ザビそっくりのヤンキー女とできちゃった結婚展開(最後は一家そろって交通事故で死亡)
・夏、ヒロインがパチンコやってる合間に、生まれて間もない娘を車の中で死なせるエンド
・学園もの作品で…ヒロイン達とつきあって乳くり合っていたのは全て架空の出来事。ゲームでの物語自体が、ある中年男がアダルトビデオを見ている最中に眠ってしまい、その中で見た夢だった
・ヒロインが闇金から借金してまで買ったライブドア株が大暴落し、カップルそろって東尋坊心中
・全財産をFXで全て溶かし、ヤるだけが理由で結婚した顔も性格もブスの母ちゃんに散々になじられた挙句、鉄道自殺
・親密度MAXまで上がったヒロインが実はシャブ中で収監。面会室で妊娠を告げられるが生まれた子供は死産だったというグランドエンド
・エンディングで念願のカメラマンになったが、いわゆる戦場カメラマンだった。取材中にどっかのテロ組織に身代金目的で拉致されたが、国から相手にされず斬首刑でエンド
・ヒロインと結婚して子供も生まれ、幸せな家庭生活を送っていたのだが、ある日、勤め先の事務所がある超高層ビルにジャンボジェット機が突っ込んできて……
・来水美樹がいたので、「襲う」のコマンドを選んだ。そしたら……
などなど。
一部のマニアから「なんでこんなやつ雇ってんの?」というメッセージカードともにカミソリが送られる。
てなことで自分の努力と世間の評価との差に悩みつつ仕事を続けていたが、ある企画に携わることが出来た。
同社のマスコットキャラクターである鬼畜な勇者のシリーズの続編。
槍っぽい名前のそいつが、日本らしい国の戦国国取り合戦に関わるゲームと言えばご存じなかたはご存じだろう。
その会議の席にて、徹夜で書いた10ページにも及ぶ企画立案書を配ってから、
「リアルタイムシミュレーションにしましょう! 日本っぽい国の1枚マップの中で街を作ったり軍隊が戦う様なヤツ! 強い騎馬隊や鉄砲隊になるよう技術を研究したり、明やポルトガルなどの諸外国と貿易して優れた技術を手に入れて自軍を強化するんですよ! その中でもイギリスはとんでもない兵器技術を持ってて、それを手に入れると弓兵がオミカタというミサイルが飛ばせるようになるんです! 更に各国にはどこにも所属していない集落があるのでそこと本拠地のお城とを道路を敷いて支配下に置くと、とても強力な技術開発が可能になるんです! 軍勢の移動時も士気が下がりにくくなったりもね。 どうです、革新的で天道に適った設定でしょ? でしょ?」
とプレゼンをしたのだが、「どっかで聞いた事がある様な設定、しかもウチの開発力じゃ無理」と一蹴。
でも自分もここで引きたくは無いので、ゲーム内ではおにゃのことなっている上杉謙信の声の出演は朴ロ美か中田譲治で、と頼み込んだところ、「むり。ギャラがかかる」と首を横に振られる。
だったらその2人よりギャラの低い真殿光昭をボイスアクトレスにして、出撃時に「往くぞ、我に従え」とか必殺技発動時に「軍神の術、耐えきれまい!」という声を吹き込んでくれ、と頼むと、
「創造性はあるのだけれど、おにゃのこの声に真殿さんを当てるのは…」
と、苦い顔をされる始末。
でもゲームは大ヒット。
私は殆ど関わっていないけれど。
その事実に意気消沈、腐ってしまった。
という訳で『クソライター』としてかつかつの創作もどき生活を送っていた後、知り合いの編集者的な何かかから一本の電話が。
「ラノベ書かね?」
というわけで大阪の貧民窟での4畳間アパート住み、一日の愉しみといえば日に3回の「自分を汚す行為」という文化的にアレな生活から抜け出したいという思いから、1本上梓。
その内容は……
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女しか乗れない戦闘用ロボットマシーンになぜか男として乗れる野郎が主人公で、そのロボットマシーンを操縦する女だらけの訓練学校にただ1人男子生徒として編入学したところから物語は始まり、その学校には主人公の幼なじみや世界各国から選抜されたロボット運転手(幼なじみを含めて全員美少女)がいて、ぼっちでさびしそうだった主人公を友達(ややちょいエロあり)として迎えたのだが、やっぱり男一人まわりは女共というアマゾネス集団の中にいるのは大変肩身の狭い思いでございました的な生活を送る主人公は同性の気のおける友達というのを所望でございまして、ある時、花沢的な声が特徴的なフランスからきた男子が転校してきたので、「年頃の男子が自分を手で汚す為のコンテンツについて熱く語り合える同性にめぐりあえたぞ、やった!」と感激しながらそのなでこスネイク的な声が特徴の男の子と親密になり、「じゃあこれから、堀北真希ちゃんと市川由衣ちゃん。どっちでヌくと長距離を飛ばせるか熱く語り合うぞッ!」と意気込んでみたけれど、ある事件(だいたい風呂入るところとか)で実はそのフランスから来た男子生徒も女の子だったということがわかるというオチとなり、若い女体に囲まれながらも主人公は「尾田栄一郎の女キャラってさ、あんなに胸デカくなくてもよくね? だって細身なんだよ? スレンダーなんだよ? でもさあ、あいつが描く女キャラのデカパイ、どう見てもシリコン入れているとしか思えないよ。シリコンぱいぱい、女はデカくなりゃそれでいいんだろうけどさあ、夢が無いんだよ! 科学的なんだよ! 整形主義万歳で自然に反するんだよ! そいつにすんげーげんなりするんだよ男ってのはッ!!」と学校の同性の友達と熱く語り合える日はいつ来るのか、と悶々としながら日々の戦闘ロボット操縦の修練に励んだり、武闘派スイーツ女子生徒どもと不本意なイチャイチャ青春学園生活を送りながら、夜1人寝床で「男子高校生の日常」という漫画を読みふけっては、「こんなバカだけどのびのびとした男子高校生生活を送りてえよう。友達の妹のパンツを試し履きするきれいな青春が送りてえよう」と嘆いてさめざめと泣きつつ、「素晴らしい男子高生生活を送れなかったのは、戦乱真っ只中の時代に生まれたからだ、こんな時代に俺をこさえやがって、あのババア!」と、自分を産んだ母親(注:美人で本文の描写とイラストを見る20代ぐらいのお姉さんに見えるが、40歳)に恨みを募らせる。
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……というもの。
べったべたのぎっとぎとなテンプレ設定。
それがなんか知らんがヒット。
ついでにどこかで仲良くなった女性漫画家となんかしらんが恋愛して結婚。
よくわからんうちにアニメ化。
んでもって本当に花沢的な何かがフランスのアレの声を当てる事となり、アニメの変なイベントにも御呼ばれしたので衆人環視の中でテンパるとマジだせえから行きつけのピンサロでガス抜きして貰ってから会場に向かうと、そこで初めて見た声優さん達が意外と可愛かったので、
「俺の小さい頃は女性声優さんって、もうちょっとほら、そこらへんにいるおねえちゃんという感じだったんだけどなあ。今のは顔見せオッケーな女性DJ並みに可愛い子が多いよなあ。キャバクラでこんな子達を付けられたらドンペリタワーいっちゃうかもないなあ」
とトークショーでぼそっと言った為、なんか怖いヤジが飛んできた。
ただ肝心のアニメの方は毎週倍速で流し見する様な鑑賞方法をとっており、アニメそれ自体にも大した思い入れも無く、しかも時期が2011年のあの混乱のさなかだったものだから、
「なんかしらんがまどマギのほうがめっちゃ面白くね? 「けいやくして」と誘ってくるおとものあいつもめっちゃ可愛いし」
と、やっぱり世間一般の人? が思うようなことを考えてしまったり。
そんでもって、そのイベント自体、会場がアキバだったもんだから、これ幸いとまどマギのブルーレイを買う事に。
その当時まだ石丸電気がレコード館を開いていたもんだから、ポイントカードも持っている為にそこで購入する事とした。
ブルーレイコーナーで限定生産盤のが全巻あったのを見つけレジに持ってくると、女性店員から「これを買うとポスターおまけについてきますよー」と、出世作のアレとまどマギと京アニの『日常』と『フラクタル』が選べたので、まず『まどマギ』のやつくださいと頼んでそれを受け取った後、
「あのーぼくちん、ブルーレイ全6巻買ったんですよ。あなたのつとめている会社に合計で4万円以上払ったという事ですから、あなたの会社にとっても貢献したお客さん、ということになるんですね、はい。つまりはですねえ、もう一本、おまけにつけてくれるのが、高額を支払ったお客さんに対する感謝の気持ちになるんじゃないかって、ぼくは思うわけですよ。……ということですみませんが、もう一本つけてください、いいえ、2本! ください! ちょうだい! おねがいします!」
と、土下座して頼み込んで見事にゲット。
貰ったポスターは『まどマギ』と『日常』と『フラクタル』。
それからまどマギのブルーレイを買ったはいいものの、そういやうちにブルーレイディスクのプレーヤーが無かったことを思い出したので、石丸のレコード館の隣にあったラムタラで中古のPS3を買い、おまけに戦場のヴァルキュリアの廉価版を買って(これは新品)つくばエクスプレスで学園都市に戻り、家に帰ってからまどマギを見ようとする前にほんのちょっとだけやってみようとプレイしたところ、ヒロインの声を聞いて驚いた。
「あれ……? どっかで、聞いた覚えがある声だな?」
さよなら絶望先生だったっけ?
それとも、学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD?
もしかして、うみねこのなく頃に?
けれどもそのゲーム、戦争やってライフル銃弾が飛び交うゲームなので、頭が無防備なヒロインを見てるといたたまれなくなり、
「頭巾で戦場はよくないだろ、鉄兜ちゃんとかぶれ」
と画面に向けて怒鳴っては、隣でプレイを見ていた奥さんに「その頭巾、ミスリル製なんじゃねえの?」ととんでも設定を語られる。
それと、出世作で一発当ててから住み始めたチバラギの学園都市は、車というやつが無いと不便だということがわかってきたので、免許を取って車を購入することに決定。
そのころ現ナマが5000万程あったから、即金で買えるとこないかなーと様々な販売店を物色。
で、どこもあんましパッとしないので大阪時代の先輩に「どんな車がおすすめ?」と訊くと「ミニがいいよ」とのご返答。
ミニ?
なんじゃそりゃ?
でもまあ、それっぽい名前の看板が掲げられた販売店があったので、大阪時代から愛用していたボロボロの服で入ってみた。 なんちゅーか、外側もいけ好かないスカした感じの建物だったけど、中も店員さんを含めて雰囲気イケメンとイケジョばっかり。
ぼくちん以外のお客さんはチバラギの学園都市付近に住んで無さそうな、芦屋あたりのセレブっぽいもんばっかり。
出てくるお茶菓子は名前も聞いたことが無い、カルディややまやあたりで売ってそうな発展途上国産のもんだったけれど、なぜかおいしかった。
で、そん時にぼくちんの相手として出てきたのは、雰囲気イケメンな30ぐらいの兄ちゃん。
なかなかに可愛くてお上品そうだったので、「この辺の人じゃないでしょ~?」と尋ねると守谷に住んでるとか。
「ほーう。守谷ですかい。ぼくちんも最初はそこのマンションを買おうかとおもいましたけどね」
「守谷はいいとこですよー! なんてったって、速くてきれいなつくばエクスプレスの駅がある。周辺住環境も良くてまさにセレブの街といったとこですよ!」
ほーう、セレブの街ねエ。
で、その兄ちゃんにどこの高校出てどこの大学を出たか、と訊くと、あまり有名じゃないとこ。
なーんだ、ただの盆暗じゃん、と思って鼻で笑い、侮っていつもの地の受け答えで交渉していると、「ぼくちん上品なお客ちゃんにしか売らないんでチュー」とかなんとか言われ邪険にされたんで、こんな捨て台詞を吐いてやった。
「おまえんとこのブランドって……そりゃあ日本国内では単価が高いとこだけどさ、地元のドイツじゃ廉価版のブランドじゃなかったっけ? それにCOOPERってなんて読むの? もしかしてカウパー? え、え、え? 先走りってやつ? 第1(注:男性の器官を現わす3文字のひらがな)汁のこと?」
それ言ったら屈強な黒服が店の奥から出てきて、投げ飛ばされた。
仕方なく「僕環境のことをとっても気にしているんですよー。エコロジストなんですよー! マジ未来志向の頭のいい子ちゃん!」と公言してまわる意識高い系(笑)地方公務員が乗り回しそうなプリウスを買う事となる。
本当はミキサー車やタンクローリーに乗りたかったが、アレは業務用だし大型免許が必要だったのであきらめる。
それからは「戦闘ロボット学園いちゃラブ少年向け小説」の続きを書いて小銭を稼ぎ続けるが、そのころ芥川賞を取ってその受賞の場で、
「そろそろ風俗に行こうと思っていた」
とのたまわれた西村賢太にはまり、「これこそ文学!」と誰もがうなずくような、先生の傑作小説群を読みふけった後、彼と自分の才能の差に愕然となる。
「俺みたいな駄目駄目がいい生活しちゃいけないよなあ。郊外に一軒家建てて可愛い奥さんを後部座席に乗っけてプリウス乗り回していいのは、こういう面白い小説を書く人がすべきなんだよなあ」
と感じ入りつつ、けれども小銭が入りまくるので享楽の世界に身をゆだね続けるのは人のサガというものよ。
人類の口の永遠の友であり糖尿病患者を量産する二郎系ラーメンや焼き肉を馬鹿すかと喰い散らし、エンゲル係数と体重を大きく増やした挙句に、糖尿病や心臓疾患に見舞われる。
あと、痛風も。
そんなこととなって行きつけのホスピタルで、検診。
顔馴染みの、やさしくておかあさんみたいな温かみがあるんだけれど、でもでも細木和子的な闇の世界の艶やかさという感じの『薫り』も漂よっている、50代前半の女医から「アナタ…このままだと、死ぬわよ!」と警告を受けたので取り乱し、
「僕死ぬんですか! 30なったばっかりなのにすっげえ過酷な運命っすよ! まだやり残したこといっぱいあるのに、なんでっ、なんでッッ!」
と泣きわめいた後、やさしくなだめていただいたゆえに『熟女萌え』という特殊スキルに目覚めてしまった。
(それまでのスキルは『美乳』『JC』『JK』『リクルートスーツ』『おしり』『わき汗』『幼なじみ』『フレンドリーなヤンキーねえちゃん』『自動車教習所の若妻』などなど)
その女医さんは既婚者かと思いきや、独身女性。
でも恋愛経験豊富。
そんでもってバブみを感じる彼女と会う約束を取り付け、デートの日にファミレスでぺちゃぺちゃおしゃべりした後に、ベッドイン。
「人生でやってみたかったこと」の1つを成し遂げるが、これが妻にバレて一時期別居した。
でもカミさんの妊娠が発覚したのでこのまま別居はいかん、ということになり、復縁。
その時に妻方の義父母と奥さんのお三方に土下座して許してもらったが、後々まで禍根を残す事となる。
妻の実家に遊びに行くといつも義父から、
「そういえばイズル君。ここの駅前に熟女キャバクラってのが出来たんだよ。今夜一緒に行かない? あとね、熟女デリヘルってのも、土浦にあるみたいだから今度君の家にお邪魔した時に一緒に呼んでみよっか?」
と、冗談を言われ、尚且つ義母から「イズルちゃん(芸名)、老人ホームでアルバイトしてみたらー? 熟れた奥様がたくさんいるよー」ともっと悪い冗談を言われてしまう様になる。
それを作品に生かせばボクも新しい境地を開拓できるんじゃないかなーと思いつつ、自分でもどうして書いているのかがよくわからないのに売れているもんだから、惰性でやっている出世作を書き続け、ブックオフの在庫に間接的に貢献。
でも一時期より売り上げが落ち込んで来たので「話題の炎上をやってみよう」とツイッタラーやブロブログで事実と反する書き込みを開始。
こーんな事実無根の事をつくって投稿。
・道ばたの地蔵のお供え物の大福を喰ってやった。
・かなまら祭りでご神体に乗った写真をアップし、「おれのち○こでーす!」と実際のサイズを偽る。
・違法改造したベイブレードで近所の子供達と対戦してボロ勝ちして泣かす。
・カブトボーグの2次創作SSをブログ内で発表。
・しかしカブトボーグを第一話しか見た事が無いのでヒロインの造形描写や人格は殆ど想像で書く。
・嘘の包茎手術実況レポートを書く。
・子供をベビーカー(しかもでかいやつ。プチセレブが買いそうなブランドものの)に乗せてラッシュ時の常磐線に乗り込む。
・その時批難がましい視線を送って来たサラリーマンに「俺、足立区民で北千住住みっスから」と住所を偽る。
・アマゾネスなネットショッピングで、読んでもいない他の作家さんの小説のレビューを書いて星を5つつける、という事の実況ツイート
・牟田口簾也が如何に優れた帝国軍人だったのかを偽証
その他にもいろいろと。
そんでもって炎上しまくり時の人となり、売り上げも伸びてウハウハ、しかもブログの広告収入がバカみたいに入って来たり、となるが、そのあたりから、
「最近作品のグレードが低くなってんぞ。おめえちゃんと書いてんのか?」
「ブヒブヒ展開ばっかりでストーリーが全然進んでねえ! テメエっ、いつまでこの芸風で食っていくつもりだっ!」
と編集者や読者にツッコミを入れられたのでブチ切れ、最後にはその編集とケンカ別れして違う出版社に移籍、こりゃまた「なんでこんなもんかいたんやろかぁ。ふしぎやねえ」と、自分でも首をかしげる様な戦争ごっこを主題とする学園美少女イチャイチャ作品を書きなぐっては、アマゾネスたちが運営している通販会社の評価でぼろくそにけなされて、まあいいや、とげんなりする事無く気を保ちつつ、その頃アニメでやっていた米澤穂信の『古典部シリーズ』にドはまりし、僕もえるたそ一緒にほうたるに顔を近づけて「わたし、気になりますっ!」と叫びたいなあと思いつつ、角川文庫で出版されていた同シリーズをまとめ買いし、「古典部、おもしろいのう、おもしろいのう」とうなずいて全巻読破した後、『氷菓』のブルーレイボックスを一気購入するが、奥さんが同作品の熱烈なファンでありほうたるを嫁と公言するほうたるジャンキーであった為、PS3がほうたる及び中村悠一ボイスを動かす為のマシンと化し、その頃中古のワゴンセールで買ったファイナルファンタジー13が一時期積みゲーとなった。
出世作の続きを新しい出版社で出しはじめたのだが、「つまんなくなった」とか「前のイラストレーターさんをどうして連れてこなかった?」とお叱りの感想をネットで見てはゲンナリし、食も細くなってダイエットに成功。
学園都市のきれいな空気の元、子供を連れての1日3時間の散歩を日課とし、漫画が売れ始めた奥さんのストーリー協力や図書館やらジュンク堂とかの大型書店での資料集めとかいう仕事を受け持つとともに、
「家でちまちま文章書いているのも不健康だし心の健康にも良くないから、地域のボランティアでもやったら?」
とけしかけられ、子供が幼稚園に通い始めたんで主夫生活にも余裕ができたんで、ボランティアの清掃サークルや学生生活援助に携わる。
そこで出会った歴史マニアの知り合いにアナーキスト・大杉栄の事について教鞭を受けたので興味を持ち、
「今やっている作品が完結したら、次は大杉栄を主人公としたものにしよう! こいつの私生活、リアルにハーレム系主人公だし! それと、メインヒロインは伊藤野枝でいいや! 図書館で読んだ本に載ってた肖像みたけどめっちゃ好みだったし! 人妻で革新的人物、アバンギャルドでめっちゃ魅力的だし! でも大杉、最期は甘粕に殺されるんだっけな。そんなラストだったらただの歴史小説になってラノベじゃなくなるし。ああそうだ! こうしよう! 大杉本人と彼に関わった女性全員、18歳までは成長するけどその後成長も老化もなくなる人種という設定にして、あと、甘粕もその種族の1人にする。プラス、おにゃのこにしよう。で、今はやりのツインテール(だいたい2014年ごろに考えついた)のロリっ子で「チミのその思想には断固反対しましゅ!」とか「てんのーへいかばんちゃーい!」というのが口癖の。それとねえ……大杉たちが殺されたというのは無しにして、思想は違うけど親友として認め合った大杉と甘粕が一緒に満州国の運営に乗り出す、っていう展開にしていこう、そうしよう!」
と、その為のプロットと提案書を3年経った今でも作成し続けている状態。
どうしてプロットを完成させて執筆に取りかからないのか?
すっげー資料漁りに労力がかかるので。
なんせ大杉栄研究とその当時の社会を研究した本が膨大なんだもーん。
読者が納得する様な作品を作り上げるのに時間がかかるのは致し方ないことでござる、と自分を慰めつつ、主夫として原案者として職業人の妻を支え、子供の送り迎えやボランティアにいそしむ毎日、を送る。
あと、なんかしらんがパチンコ会社から金が入ってくる。
ここ最近打ってないのにどうしてなんだろ、と思ってみたがどうやら出世作をモチーフにしたパチンコ台が売れているらしい。
でも俺、パチ屋に行ってもまどマギスロットしか打ってないんだけどね。
……という感じのもう一つの人生的な夢を寝ているときに見ているので、
「今いる私が夢の中で、つまりは寝ているときに見る夢の、ツイッターを炎上させたり糖尿病にかかるほどの乱れた食生活をした後の、育児を担当しながら漫画家の奥さんの作品の為の設定手伝いや取材手伝いをしている姿が、本当の現実の自分なのかなあ?」
と、腕を組んで考え込む、アラフィフの独身非正規労働者。
そして、最近小皺が目立ち始めているけれども、宮沢りえは僕の世代の永遠のアイドル。
それと…りえちゃん4Xさい、という別名から、よく似た名前の漫画家をネットで探し出し、これがコイツの本当に好きな『萌えコンテンツ』のジャンルなんだろうなあ……と想像していただきたい。
以上。
□ □ □ □ □
『自己紹介』
1982年、富山県生まれ。
(暴飲暴食による)糖尿病患者、ドラえもん的な体型。
ということで、富山でも高岡かそのあたりの出身。
地元の高校卒業後、いろいろな紆余曲折を経てから、アダルトゲームの制作会社に就職。
童貞卒業が割と早い時期(高校一年にその当時付き合っていた彼女と)で、その後も何度か恋人がいたという豊富な恋愛経験を持っていたのと、オタクでギャルゲーマー(ときメモでは最高無敵の完璧美少女・伊集院レイを落としたほどのハードゲーマー)だったという事から、ストーリー構成補助及びサブシナリオライターとして携わる。
同社では数多くの作品に関わった(ペンネームは『にくまん』)。
デビュー作(と言えるもの)。
シャム双生児の美人家庭教師といちゃラブするゲーム(作品名:『ふたごせんせい、らいふっ!』。
以下のセリフを担当したのがはじめてのおしごと。
------
「ファイナルファンタジー2の…ミシディアの洞窟に出てくる『2ヘッドドラゴン』の『2』って、ツーと言うのかダブルと言うのか、どっちなんでしょうかね、先生?」
「わたしはダブルだとおもうわよ。ねーしぐれちゃん?」
「えーわたしは、にヘッド、と呼ぶとおもったんだけどさーなつきちゃん?」
「そのイントネーションよくなーい。主人公(注:その作品では主人公の名前を『トンヌラ』『ゲレゲレ』『家庭教師ハンター・夢野銀二』の3つから選べる)はどう思うの?」
「なつきとしぐれちゃん、キミはどっちをえらぶのかな?」
------
そこから先が、双子のヒロインの内、どちらかをヒロインにするかの分岐であった。
これを提出した時は、会社の中じゃ爆笑と失笑が渦巻いてお褒めの言葉を預かり、そこそこ感触よかったんじゃないかな、と思って「我会心の出来映えなり」などと悦に浸っていたのだが、ゲームが発売してしばらく経ち、
「こんなしょうもないところが重要分岐点でどうする?」
とユーザーからお叱りの投書。
しかもこの会社の作品にはギャグに定評があったが、「この展開はついてけない」とネットのエロゲーレビュワーからは酷評の嵐が。
この作品を機に「地雷シナリオライター」の烙印を押されることとなる。
また、その次の作品は同社の『奥様』シリーズの第4作目。
以下のセリフのみを担当。
------
僕は、マダム白永の家に御呼ばれされた。
彼女は信長の野望・烈風伝ウィズパワーアップキットのパッケージを手に取り、「諸王の戦い、はじめましょう?」と僕に言った。
人妻との烈風伝。
しかも、世界の英雄たちが集う、戦国の聖杯戦争ともいうべき、諸王の戦い。
選択画面で僕は、チンギス=ハーンを選んだ。
そしてマダムは、はちきれんばかりの胸元を寄せながら、カエサルを選ぶ。
マダム白永はプレイステーションのコントローラーを握りしめて、僕にこう言った。
「ファイナルファンタジー7で一番人気の女性キャラクターといえば、ティファなんでしょ?」
「それ、何情報ですか?」
「FFファンが集うネットの投票でティファが一位を取ったから。わたし、男の人がティファを選ぶ理由、すっごいわかるの。だって、主人公の幼馴染に気立てのいいお嬢さん。それに、黒髪ロングですっごい巨乳だしね?」
きみもそんな女の子が好きなんでしょ、とマダム白永は僕に言った。
「あたしはレッド13が実は女の子だという設定だったら、絶対にレッド13に票を入れていたわ。キミは?」
すぐには答えられない。
テレビの画面では、彼女の軍のジャンヌダルクが、長曾我部家の軍勢と対峙する。
ジャンヌダルクの戦闘力は70で采配は77。
対する長宗我部は当主の元親(戦闘力が68で采配が90)が相手なので、マダムのジャンヌじゃ圧倒的に不利だ。
そんなことはどうでもいい。
問題はティファがどうして人気なのか?
僕はマダムの機嫌を損なわない様に、どう答えたらいいのか、ってこと。
ティファは確かにエロいしクラウドの幼なじみ。
でも強い。
ちからは強いし最大HPだって早くにカンストする。
ファイナルファンタジーシリーズは格闘タイプのキャラが強キャラで、6でもマッシュをスタメンに使っていたぐらい僕は格闘タイプのキャラクターが好きだった。
でも僕は、あのゲームではユフィが一番かわいいんじゃないか、と思ったんだ。
忍者で手裏剣が投げられる、一癖あるトリッキーなタイプのキャラ。
そのタイプだったらケットシーをみんな支持するんだろうけれど、3からの「忍者=手裏剣投げでボス撃滅」のスタイルに酷くこだわる僕は、世の女性が絶対に推す「クラウド×エアリス」のカップリングよりも、「ユフィ×ぜになげ」のカップリングのほうがFFファンとして至極まっとうな考え方なんじゃないかな、と痛く思っていた。
でもどうしよう?
マダムが「ユフィ×ぜになげ」よりも「レッド13×コスモメアリーの後のナイツォブラウンド召喚」のカップリングの方が好き、と返したら?
きっと僕はこう言われるに違いない。
「想像してみて? レッド13が勢い込んでラスボスにコスモメアリーをぶつけるのだけれど、9999しかダメージを与えられなかった。しかも1回きりよ? FFは7から火力のインフレが始まるの、キミも知っているわよね? だから「オイラじゃ力不足なのかな…」とレッド13がうなだれる。そのところにクラウドが、「レッド、よくやった。後は俺に任せろ」と淡々とした口調でほめてね、超究武神破斬とナイツォブラウンドのセットでセフィロスを仕留めた後、「お前のコスモメアリーがあったから、この一撃が決められた」と言ってレッド13の頭を撫でるところ。そういうところを想像出来ない男の子って、女の人の気持ちを理解できないと思う…少なくとも、あたしの心はね?」
そうやって呆れられたら、僕はマダムと二度と会えなくなるのだろうか?
生唾を飲み込んだあと、恐る恐る彼女に尋ねた。
「もし僕が、ユフィがお気に入りと言ったら、白永さんはどう思われ…ますか?」
それを聞いたマダムはふふふっ、と笑って妖艶な瞳の輝きを注ぎ込む。
「キミはくノ一が好きなのね? ……男の子らしいわ。あたし、男の子の単純なそういうところ、とっても大好き」
その時、画面の中の戦場では、騎馬突撃を試みた救国の聖女が土佐の姫若子の首を討ち取っていた。
僕の心もその時既に、マダムに討ち取られていたのかもしれない。
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それから寝室でのシーンに移ったので、
「なんでこういうところで欲情すんのかがよくわかんない」
と、とあるヘビーユーザーからのお叱りが。
その人物は女性のファンだった。
アダルトゲームの雑誌の読者コーナーでは会社の作品のヒロインのイラストを描いて送ったり、同社の作品の同人誌を出したりするほど、とても熱心なファンだった。
彼女を含むそういったコアなファンから「コイツだめ」「排せつ物」「ゴミ」などという評価を受けたため、いたたまれなくなって退職。
その後しばらくは外注スタッフに鞍替えし、大阪のおばちゃんが好きそうなヒョウ柄の座布団やこたつ布団を作る会社のキャッチコピーを考えるアルバイトとして働くかたわら、前いた会社の作品の鬱展開担当のサブシナリオライターとして仕事を続ける。
担当した鬱展開は以下に記す(箇条書きで)。
・ガンダムのギレン・ザビそっくりのヤンキー女とできちゃった結婚展開(最後は一家そろって交通事故で死亡)
・夏、ヒロインがパチンコやってる合間に、生まれて間もない娘を車の中で死なせるエンド
・学園もの作品で…ヒロイン達とつきあって乳くり合っていたのは全て架空の出来事。ゲームでの物語自体が、ある中年男がアダルトビデオを見ている最中に眠ってしまい、その中で見た夢だった
・ヒロインが闇金から借金してまで買ったライブドア株が大暴落し、カップルそろって東尋坊心中
・全財産をFXで全て溶かし、ヤるだけが理由で結婚した顔も性格もブスの母ちゃんに散々になじられた挙句、鉄道自殺
・親密度MAXまで上がったヒロインが実はシャブ中で収監。面会室で妊娠を告げられるが生まれた子供は死産だったというグランドエンド
・エンディングで念願のカメラマンになったが、いわゆる戦場カメラマンだった。取材中にどっかのテロ組織に身代金目的で拉致されたが、国から相手にされず斬首刑でエンド
・ヒロインと結婚して子供も生まれ、幸せな家庭生活を送っていたのだが、ある日、勤め先の事務所がある超高層ビルにジャンボジェット機が突っ込んできて……
・来水美樹がいたので、「襲う」のコマンドを選んだ。そしたら……
などなど。
一部のマニアから「なんでこんなやつ雇ってんの?」というメッセージカードともにカミソリが送られる。
てなことで自分の努力と世間の評価との差に悩みつつ仕事を続けていたが、ある企画に携わることが出来た。
同社のマスコットキャラクターである鬼畜な勇者のシリーズの続編。
槍っぽい名前のそいつが、日本らしい国の戦国国取り合戦に関わるゲームと言えばご存じなかたはご存じだろう。
その会議の席にて、徹夜で書いた10ページにも及ぶ企画立案書を配ってから、
「リアルタイムシミュレーションにしましょう! 日本っぽい国の1枚マップの中で街を作ったり軍隊が戦う様なヤツ! 強い騎馬隊や鉄砲隊になるよう技術を研究したり、明やポルトガルなどの諸外国と貿易して優れた技術を手に入れて自軍を強化するんですよ! その中でもイギリスはとんでもない兵器技術を持ってて、それを手に入れると弓兵がオミカタというミサイルが飛ばせるようになるんです! 更に各国にはどこにも所属していない集落があるのでそこと本拠地のお城とを道路を敷いて支配下に置くと、とても強力な技術開発が可能になるんです! 軍勢の移動時も士気が下がりにくくなったりもね。 どうです、革新的で天道に適った設定でしょ? でしょ?」
とプレゼンをしたのだが、「どっかで聞いた事がある様な設定、しかもウチの開発力じゃ無理」と一蹴。
でも自分もここで引きたくは無いので、ゲーム内ではおにゃのことなっている上杉謙信の声の出演は朴ロ美か中田譲治で、と頼み込んだところ、「むり。ギャラがかかる」と首を横に振られる。
だったらその2人よりギャラの低い真殿光昭をボイスアクトレスにして、出撃時に「往くぞ、我に従え」とか必殺技発動時に「軍神の術、耐えきれまい!」という声を吹き込んでくれ、と頼むと、
「創造性はあるのだけれど、おにゃのこの声に真殿さんを当てるのは…」
と、苦い顔をされる始末。
でもゲームは大ヒット。
私は殆ど関わっていないけれど。
その事実に意気消沈、腐ってしまった。
という訳で『クソライター』としてかつかつの創作もどき生活を送っていた後、知り合いの編集者的な何かかから一本の電話が。
「ラノベ書かね?」
というわけで大阪の貧民窟での4畳間アパート住み、一日の愉しみといえば日に3回の「自分を汚す行為」という文化的にアレな生活から抜け出したいという思いから、1本上梓。
その内容は……
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女しか乗れない戦闘用ロボットマシーンになぜか男として乗れる野郎が主人公で、そのロボットマシーンを操縦する女だらけの訓練学校にただ1人男子生徒として編入学したところから物語は始まり、その学校には主人公の幼なじみや世界各国から選抜されたロボット運転手(幼なじみを含めて全員美少女)がいて、ぼっちでさびしそうだった主人公を友達(ややちょいエロあり)として迎えたのだが、やっぱり男一人まわりは女共というアマゾネス集団の中にいるのは大変肩身の狭い思いでございました的な生活を送る主人公は同性の気のおける友達というのを所望でございまして、ある時、花沢的な声が特徴的なフランスからきた男子が転校してきたので、「年頃の男子が自分を手で汚す為のコンテンツについて熱く語り合える同性にめぐりあえたぞ、やった!」と感激しながらそのなでこスネイク的な声が特徴の男の子と親密になり、「じゃあこれから、堀北真希ちゃんと市川由衣ちゃん。どっちでヌくと長距離を飛ばせるか熱く語り合うぞッ!」と意気込んでみたけれど、ある事件(だいたい風呂入るところとか)で実はそのフランスから来た男子生徒も女の子だったということがわかるというオチとなり、若い女体に囲まれながらも主人公は「尾田栄一郎の女キャラってさ、あんなに胸デカくなくてもよくね? だって細身なんだよ? スレンダーなんだよ? でもさあ、あいつが描く女キャラのデカパイ、どう見てもシリコン入れているとしか思えないよ。シリコンぱいぱい、女はデカくなりゃそれでいいんだろうけどさあ、夢が無いんだよ! 科学的なんだよ! 整形主義万歳で自然に反するんだよ! そいつにすんげーげんなりするんだよ男ってのはッ!!」と学校の同性の友達と熱く語り合える日はいつ来るのか、と悶々としながら日々の戦闘ロボット操縦の修練に励んだり、武闘派スイーツ女子生徒どもと不本意なイチャイチャ青春学園生活を送りながら、夜1人寝床で「男子高校生の日常」という漫画を読みふけっては、「こんなバカだけどのびのびとした男子高校生生活を送りてえよう。友達の妹のパンツを試し履きするきれいな青春が送りてえよう」と嘆いてさめざめと泣きつつ、「素晴らしい男子高生生活を送れなかったのは、戦乱真っ只中の時代に生まれたからだ、こんな時代に俺をこさえやがって、あのババア!」と、自分を産んだ母親(注:美人で本文の描写とイラストを見る20代ぐらいのお姉さんに見えるが、40歳)に恨みを募らせる。
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……というもの。
べったべたのぎっとぎとなテンプレ設定。
それがなんか知らんがヒット。
ついでにどこかで仲良くなった女性漫画家となんかしらんが恋愛して結婚。
よくわからんうちにアニメ化。
んでもって本当に花沢的な何かがフランスのアレの声を当てる事となり、アニメの変なイベントにも御呼ばれしたので衆人環視の中でテンパるとマジだせえから行きつけのピンサロでガス抜きして貰ってから会場に向かうと、そこで初めて見た声優さん達が意外と可愛かったので、
「俺の小さい頃は女性声優さんって、もうちょっとほら、そこらへんにいるおねえちゃんという感じだったんだけどなあ。今のは顔見せオッケーな女性DJ並みに可愛い子が多いよなあ。キャバクラでこんな子達を付けられたらドンペリタワーいっちゃうかもないなあ」
とトークショーでぼそっと言った為、なんか怖いヤジが飛んできた。
ただ肝心のアニメの方は毎週倍速で流し見する様な鑑賞方法をとっており、アニメそれ自体にも大した思い入れも無く、しかも時期が2011年のあの混乱のさなかだったものだから、
「なんかしらんがまどマギのほうがめっちゃ面白くね? 「けいやくして」と誘ってくるおとものあいつもめっちゃ可愛いし」
と、やっぱり世間一般の人? が思うようなことを考えてしまったり。
そんでもって、そのイベント自体、会場がアキバだったもんだから、これ幸いとまどマギのブルーレイを買う事に。
その当時まだ石丸電気がレコード館を開いていたもんだから、ポイントカードも持っている為にそこで購入する事とした。
ブルーレイコーナーで限定生産盤のが全巻あったのを見つけレジに持ってくると、女性店員から「これを買うとポスターおまけについてきますよー」と、出世作のアレとまどマギと京アニの『日常』と『フラクタル』が選べたので、まず『まどマギ』のやつくださいと頼んでそれを受け取った後、
「あのーぼくちん、ブルーレイ全6巻買ったんですよ。あなたのつとめている会社に合計で4万円以上払ったという事ですから、あなたの会社にとっても貢献したお客さん、ということになるんですね、はい。つまりはですねえ、もう一本、おまけにつけてくれるのが、高額を支払ったお客さんに対する感謝の気持ちになるんじゃないかって、ぼくは思うわけですよ。……ということですみませんが、もう一本つけてください、いいえ、2本! ください! ちょうだい! おねがいします!」
と、土下座して頼み込んで見事にゲット。
貰ったポスターは『まどマギ』と『日常』と『フラクタル』。
それからまどマギのブルーレイを買ったはいいものの、そういやうちにブルーレイディスクのプレーヤーが無かったことを思い出したので、石丸のレコード館の隣にあったラムタラで中古のPS3を買い、おまけに戦場のヴァルキュリアの廉価版を買って(これは新品)つくばエクスプレスで学園都市に戻り、家に帰ってからまどマギを見ようとする前にほんのちょっとだけやってみようとプレイしたところ、ヒロインの声を聞いて驚いた。
「あれ……? どっかで、聞いた覚えがある声だな?」
さよなら絶望先生だったっけ?
それとも、学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD?
もしかして、うみねこのなく頃に?
けれどもそのゲーム、戦争やってライフル銃弾が飛び交うゲームなので、頭が無防備なヒロインを見てるといたたまれなくなり、
「頭巾で戦場はよくないだろ、鉄兜ちゃんとかぶれ」
と画面に向けて怒鳴っては、隣でプレイを見ていた奥さんに「その頭巾、ミスリル製なんじゃねえの?」ととんでも設定を語られる。
それと、出世作で一発当ててから住み始めたチバラギの学園都市は、車というやつが無いと不便だということがわかってきたので、免許を取って車を購入することに決定。
そのころ現ナマが5000万程あったから、即金で買えるとこないかなーと様々な販売店を物色。
で、どこもあんましパッとしないので大阪時代の先輩に「どんな車がおすすめ?」と訊くと「ミニがいいよ」とのご返答。
ミニ?
なんじゃそりゃ?
でもまあ、それっぽい名前の看板が掲げられた販売店があったので、大阪時代から愛用していたボロボロの服で入ってみた。 なんちゅーか、外側もいけ好かないスカした感じの建物だったけど、中も店員さんを含めて雰囲気イケメンとイケジョばっかり。
ぼくちん以外のお客さんはチバラギの学園都市付近に住んで無さそうな、芦屋あたりのセレブっぽいもんばっかり。
出てくるお茶菓子は名前も聞いたことが無い、カルディややまやあたりで売ってそうな発展途上国産のもんだったけれど、なぜかおいしかった。
で、そん時にぼくちんの相手として出てきたのは、雰囲気イケメンな30ぐらいの兄ちゃん。
なかなかに可愛くてお上品そうだったので、「この辺の人じゃないでしょ~?」と尋ねると守谷に住んでるとか。
「ほーう。守谷ですかい。ぼくちんも最初はそこのマンションを買おうかとおもいましたけどね」
「守谷はいいとこですよー! なんてったって、速くてきれいなつくばエクスプレスの駅がある。周辺住環境も良くてまさにセレブの街といったとこですよ!」
ほーう、セレブの街ねエ。
で、その兄ちゃんにどこの高校出てどこの大学を出たか、と訊くと、あまり有名じゃないとこ。
なーんだ、ただの盆暗じゃん、と思って鼻で笑い、侮っていつもの地の受け答えで交渉していると、「ぼくちん上品なお客ちゃんにしか売らないんでチュー」とかなんとか言われ邪険にされたんで、こんな捨て台詞を吐いてやった。
「おまえんとこのブランドって……そりゃあ日本国内では単価が高いとこだけどさ、地元のドイツじゃ廉価版のブランドじゃなかったっけ? それにCOOPERってなんて読むの? もしかしてカウパー? え、え、え? 先走りってやつ? 第1(注:男性の器官を現わす3文字のひらがな)汁のこと?」
それ言ったら屈強な黒服が店の奥から出てきて、投げ飛ばされた。
仕方なく「僕環境のことをとっても気にしているんですよー。エコロジストなんですよー! マジ未来志向の頭のいい子ちゃん!」と公言してまわる意識高い系(笑)地方公務員が乗り回しそうなプリウスを買う事となる。
本当はミキサー車やタンクローリーに乗りたかったが、アレは業務用だし大型免許が必要だったのであきらめる。
それからは「戦闘ロボット学園いちゃラブ少年向け小説」の続きを書いて小銭を稼ぎ続けるが、そのころ芥川賞を取ってその受賞の場で、
「そろそろ風俗に行こうと思っていた」
とのたまわれた西村賢太にはまり、「これこそ文学!」と誰もがうなずくような、先生の傑作小説群を読みふけった後、彼と自分の才能の差に愕然となる。
「俺みたいな駄目駄目がいい生活しちゃいけないよなあ。郊外に一軒家建てて可愛い奥さんを後部座席に乗っけてプリウス乗り回していいのは、こういう面白い小説を書く人がすべきなんだよなあ」
と感じ入りつつ、けれども小銭が入りまくるので享楽の世界に身をゆだね続けるのは人のサガというものよ。
人類の口の永遠の友であり糖尿病患者を量産する二郎系ラーメンや焼き肉を馬鹿すかと喰い散らし、エンゲル係数と体重を大きく増やした挙句に、糖尿病や心臓疾患に見舞われる。
あと、痛風も。
そんなこととなって行きつけのホスピタルで、検診。
顔馴染みの、やさしくておかあさんみたいな温かみがあるんだけれど、でもでも細木和子的な闇の世界の艶やかさという感じの『薫り』も漂よっている、50代前半の女医から「アナタ…このままだと、死ぬわよ!」と警告を受けたので取り乱し、
「僕死ぬんですか! 30なったばっかりなのにすっげえ過酷な運命っすよ! まだやり残したこといっぱいあるのに、なんでっ、なんでッッ!」
と泣きわめいた後、やさしくなだめていただいたゆえに『熟女萌え』という特殊スキルに目覚めてしまった。
(それまでのスキルは『美乳』『JC』『JK』『リクルートスーツ』『おしり』『わき汗』『幼なじみ』『フレンドリーなヤンキーねえちゃん』『自動車教習所の若妻』などなど)
その女医さんは既婚者かと思いきや、独身女性。
でも恋愛経験豊富。
そんでもってバブみを感じる彼女と会う約束を取り付け、デートの日にファミレスでぺちゃぺちゃおしゃべりした後に、ベッドイン。
「人生でやってみたかったこと」の1つを成し遂げるが、これが妻にバレて一時期別居した。
でもカミさんの妊娠が発覚したのでこのまま別居はいかん、ということになり、復縁。
その時に妻方の義父母と奥さんのお三方に土下座して許してもらったが、後々まで禍根を残す事となる。
妻の実家に遊びに行くといつも義父から、
「そういえばイズル君。ここの駅前に熟女キャバクラってのが出来たんだよ。今夜一緒に行かない? あとね、熟女デリヘルってのも、土浦にあるみたいだから今度君の家にお邪魔した時に一緒に呼んでみよっか?」
と、冗談を言われ、尚且つ義母から「イズルちゃん(芸名)、老人ホームでアルバイトしてみたらー? 熟れた奥様がたくさんいるよー」ともっと悪い冗談を言われてしまう様になる。
それを作品に生かせばボクも新しい境地を開拓できるんじゃないかなーと思いつつ、自分でもどうして書いているのかがよくわからないのに売れているもんだから、惰性でやっている出世作を書き続け、ブックオフの在庫に間接的に貢献。
でも一時期より売り上げが落ち込んで来たので「話題の炎上をやってみよう」とツイッタラーやブロブログで事実と反する書き込みを開始。
こーんな事実無根の事をつくって投稿。
・道ばたの地蔵のお供え物の大福を喰ってやった。
・かなまら祭りでご神体に乗った写真をアップし、「おれのち○こでーす!」と実際のサイズを偽る。
・違法改造したベイブレードで近所の子供達と対戦してボロ勝ちして泣かす。
・カブトボーグの2次創作SSをブログ内で発表。
・しかしカブトボーグを第一話しか見た事が無いのでヒロインの造形描写や人格は殆ど想像で書く。
・嘘の包茎手術実況レポートを書く。
・子供をベビーカー(しかもでかいやつ。プチセレブが買いそうなブランドものの)に乗せてラッシュ時の常磐線に乗り込む。
・その時批難がましい視線を送って来たサラリーマンに「俺、足立区民で北千住住みっスから」と住所を偽る。
・アマゾネスなネットショッピングで、読んでもいない他の作家さんの小説のレビューを書いて星を5つつける、という事の実況ツイート
・牟田口簾也が如何に優れた帝国軍人だったのかを偽証
その他にもいろいろと。
そんでもって炎上しまくり時の人となり、売り上げも伸びてウハウハ、しかもブログの広告収入がバカみたいに入って来たり、となるが、そのあたりから、
「最近作品のグレードが低くなってんぞ。おめえちゃんと書いてんのか?」
「ブヒブヒ展開ばっかりでストーリーが全然進んでねえ! テメエっ、いつまでこの芸風で食っていくつもりだっ!」
と編集者や読者にツッコミを入れられたのでブチ切れ、最後にはその編集とケンカ別れして違う出版社に移籍、こりゃまた「なんでこんなもんかいたんやろかぁ。ふしぎやねえ」と、自分でも首をかしげる様な戦争ごっこを主題とする学園美少女イチャイチャ作品を書きなぐっては、アマゾネスたちが運営している通販会社の評価でぼろくそにけなされて、まあいいや、とげんなりする事無く気を保ちつつ、その頃アニメでやっていた米澤穂信の『古典部シリーズ』にドはまりし、僕もえるたそ一緒にほうたるに顔を近づけて「わたし、気になりますっ!」と叫びたいなあと思いつつ、角川文庫で出版されていた同シリーズをまとめ買いし、「古典部、おもしろいのう、おもしろいのう」とうなずいて全巻読破した後、『氷菓』のブルーレイボックスを一気購入するが、奥さんが同作品の熱烈なファンでありほうたるを嫁と公言するほうたるジャンキーであった為、PS3がほうたる及び中村悠一ボイスを動かす為のマシンと化し、その頃中古のワゴンセールで買ったファイナルファンタジー13が一時期積みゲーとなった。
出世作の続きを新しい出版社で出しはじめたのだが、「つまんなくなった」とか「前のイラストレーターさんをどうして連れてこなかった?」とお叱りの感想をネットで見てはゲンナリし、食も細くなってダイエットに成功。
学園都市のきれいな空気の元、子供を連れての1日3時間の散歩を日課とし、漫画が売れ始めた奥さんのストーリー協力や図書館やらジュンク堂とかの大型書店での資料集めとかいう仕事を受け持つとともに、
「家でちまちま文章書いているのも不健康だし心の健康にも良くないから、地域のボランティアでもやったら?」
とけしかけられ、子供が幼稚園に通い始めたんで主夫生活にも余裕ができたんで、ボランティアの清掃サークルや学生生活援助に携わる。
そこで出会った歴史マニアの知り合いにアナーキスト・大杉栄の事について教鞭を受けたので興味を持ち、
「今やっている作品が完結したら、次は大杉栄を主人公としたものにしよう! こいつの私生活、リアルにハーレム系主人公だし! それと、メインヒロインは伊藤野枝でいいや! 図書館で読んだ本に載ってた肖像みたけどめっちゃ好みだったし! 人妻で革新的人物、アバンギャルドでめっちゃ魅力的だし! でも大杉、最期は甘粕に殺されるんだっけな。そんなラストだったらただの歴史小説になってラノベじゃなくなるし。ああそうだ! こうしよう! 大杉本人と彼に関わった女性全員、18歳までは成長するけどその後成長も老化もなくなる人種という設定にして、あと、甘粕もその種族の1人にする。プラス、おにゃのこにしよう。で、今はやりのツインテール(だいたい2014年ごろに考えついた)のロリっ子で「チミのその思想には断固反対しましゅ!」とか「てんのーへいかばんちゃーい!」というのが口癖の。それとねえ……大杉たちが殺されたというのは無しにして、思想は違うけど親友として認め合った大杉と甘粕が一緒に満州国の運営に乗り出す、っていう展開にしていこう、そうしよう!」
と、その為のプロットと提案書を3年経った今でも作成し続けている状態。
どうしてプロットを完成させて執筆に取りかからないのか?
すっげー資料漁りに労力がかかるので。
なんせ大杉栄研究とその当時の社会を研究した本が膨大なんだもーん。
読者が納得する様な作品を作り上げるのに時間がかかるのは致し方ないことでござる、と自分を慰めつつ、主夫として原案者として職業人の妻を支え、子供の送り迎えやボランティアにいそしむ毎日、を送る。
あと、なんかしらんがパチンコ会社から金が入ってくる。
ここ最近打ってないのにどうしてなんだろ、と思ってみたがどうやら出世作をモチーフにしたパチンコ台が売れているらしい。
でも俺、パチ屋に行ってもまどマギスロットしか打ってないんだけどね。
……という感じのもう一つの人生的な夢を寝ているときに見ているので、
「今いる私が夢の中で、つまりは寝ているときに見る夢の、ツイッターを炎上させたり糖尿病にかかるほどの乱れた食生活をした後の、育児を担当しながら漫画家の奥さんの作品の為の設定手伝いや取材手伝いをしている姿が、本当の現実の自分なのかなあ?」
と、腕を組んで考え込む、アラフィフの独身非正規労働者。
そして、最近小皺が目立ち始めているけれども、宮沢りえは僕の世代の永遠のアイドル。
それと…りえちゃん4Xさい、という別名から、よく似た名前の漫画家をネットで探し出し、これがコイツの本当に好きな『萌えコンテンツ』のジャンルなんだろうなあ……と想像していただきたい。
以上。