朝比奈隆御大は、何年かごとに同じ曲のスコアを買い直したという。
スコアだけではない、パート譜まで一新したとか。

曰く、
「同じ書き込みやら目印やら、それを見て慣れてしまう。要領を覚えてしまうので、マンネリになってしまう」
らしい。


僕が普段から言っている「作業」もこのことだろう。
なまじっか慣れてしまうと、手癖でできてしまう。
頭を使わなくてもできてしまう。

別にそれでちゃんとできたらいいのだが、ここでミスが起きる。
ミスが起きなくても、どうも変な出来栄えになってしまう。

漫画でも良くあるが、長期連載になって、段々と絵が崩れることがある。
あれは作者も気づいてないのだろう。腕が落ちた訳ではない。
「作業」になってしまっているのだ。

クリエイティブとは悲しいかな、まったく同じものを量産する仕事ではない。
だから「作業」になってはいけないのだ。


これを業界のプロデューサーは絶対解らないらしい。
だから「成果物」やら「生産性」やらの言葉を平気で使う。
一気に大量に撒いて回収して演出や作監に直させて、直し切れないからそのまま流してOAして。

何のためにアニメをやってんの?
説明できる?