機関車が引っ張る旅客列車、なぜ減った 貨物はいまも機関車メイン
日本の鉄道路線を走る旅客列車は現在、ほぼ全て電車かディーゼルカー。機関車が客車を引っ張るタイプの列車はごくわずかになりました。一方で貨物列車はいまでも機関車が貨車を引っ張っています。なぜ旅客列車は機関車けん引方式が衰退して電車やディーゼルカーになったのでしょうか。
旅客列車の多くは電車やディーゼルカー
煙を吐きながら走る、昔懐かしい蒸気機関車。通常の列車では使われなくなりましたが、産業遺産としての価値があることや蒸気機関車自体が観光資源になったこともあり、全国各地でSL列車が走っています。
SL列車は蒸気機関という動力装置を搭載した蒸気機関車が、動力のない旅客車(客車)を引っ張って走ります。それなら、電気機関車やディーゼル機関車が客車を引っ張る旅客列車があってもおかしくないはず。実際、過去にはそのような旅客列車が多数運行されていました。
しかし、いまの旅客列車は旅客車自体にモーターやエンジンを搭載した車両(電車やディーゼルカー)を使って運転されています。機関車が引っ張る国内の旅客列車は、毎日運行されているものとしては大井川鐵道井川線(静岡県)を走る列車だけ。JR線ではSL列車などの臨時列車を除き、ほとんど運転されていません。
旅客列車はなぜ、機関車が引っ張るタイプが減って電車やディーゼルカーばかりになったのでしょうか。理由はさまざまですが、おもなものとしては3点挙げられます。
ひとつ目は「重い」こと。機関車はたくさんの車両を引っ張らなければならないため、強力なパワーを持ったモーターやエンジンを搭載しなければなりません。強力なモーターやエンジンは重くなりがちで、それを搭載する機関車もかなり重くなります。
JR線を走る最新式の車両の場合、モーターを搭載した通勤電車は1両につき30t台が一般的。これに対して電気機関車は100tを超えるものもあります。
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