「ミスター慶応が調子こく理由」を慶応大学OBが語る
◆「ミスター」と呼ばれるだけでも天狗に
ミスター慶応コンテストを主催するのは、慶大学生たちによる「CYTRON」(シトロン)という団体だ。学生時代、その団体と近しい立場にいたという慶応OB(20代前半)はこう語る。
「ミスターのファイナリストに入れば、学校の中で『ミスター』と呼ばれます。仲間内だけでなくゼミとかでもそう呼ばれるようになります。『それだけかよ』って思うかもしれませんが、その肩書きがついただけでも調子に乗ってしまうんですよね。学内での地位が一気に上がるというか。
僕が現役だったころ、実際に『慶応に入れただけで日本人の上位1%で、なおかつミスターの肩書きを得られれば、もう怖いもんなしじゃん』みたいな発言をしている学生がいましたから(笑)」
慶應大学のミス&ミスターコンテストといえば、芸能人も輩出している、華やかで注目を集めるイベント。調子に乗るのも不思議ではない。
ちなみに、「CYTRON」とは別団体だが、「ミス慶応コンテスト」を運営していた広告学研究会は、2016年に集団準強姦事件を起こして書類送検され、解散したことは記憶に新しい。
慶応だから悪さをすると言うつもりはもちろんなく、そもそもの人間性の問題なのは言うまでもない。だが、世間が慶応ブランドを高く見積もりすぎることも影響しているだろう。前出の男性が、ミスターの肩書きを持つ慶応学生が思わず『調子こいてしまう』理由として、さらにこんなエピソードを話してくれた。
◆有名アイドルとの合コンも
「東京中のミスター・ミスたちがファイナリストなども含めて一堂に集まるパーティーが、渋谷のクラブを貸し切ってよく行われます。そういう会を重ねるうちに、各大学のミスター同士が親しくなって、合コンでもやろうかみたいな流れになるんです。
そういった合コンでは、名のあるアイドルなんかが参加するようなモノもよく行われていて。やっぱり並いるミスターの中でも、ミスター慶応のモテっぷりは群を抜いているんですよね。実際にアイドルと肉体関係を持てたりするんです。ミスターの肩書きを得ただけでテレビで観るアイドルと遊べるんですから、まあ調子に乗っちゃうのも無理はないですよね。
で、そういった先輩たちの逸話のようなものが新たに入学してくる学生たちにも広まるので、『ミスターの肩書きさえ得られれば権力を笠に着られる』と勘違いするんです」
華やかな大学生活などとは無縁だった記者からすると想像できない世界だが、前出の男性はこう続ける。
「でも実際に、周りがチヤホヤするっていうのは本当なんですよ。例えば合コンでも、ミスター慶応を連れていくって女子に言うだけで、彼女たちのやる気が俄然上がりますからね(笑)。まあルックスはもちろん良いですし、女性だけではなく、企業だってチヤホヤするし。なんだかんだ言って、やっぱり慶応ブランドの効果は絶大ですよ」
前述の通り、今回の事件は渡辺容疑者の人間性による部分が大きいだろう。だが、周りからチヤホヤされまくったために「俺は無敵だ」などという勘違いをしていた可能性もある。今後は、しっかりと分別のある学生だけが「ミスター」の称号を得てほしいものである。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉