「人生の勝者っていうのは、なんだと思う? 俺は楽しんだもん勝ちだと思うね」気だるそうな顔でブラウン管の中を悠然と泳ぐ人面魚が心を打つ言葉をこぼす。コントローラーについたマイクで不気味な魚と会話できるテレビゲームという斬新さが受けた。
メーカーいわく、シーマンはピラミッドを設計した賢人に知恵を与えたと語られる古代エジプトの伝説上の生物。餌を与え、水温や酸素量を管理しなくてはならない世話の焼ける生き物だが、ヒットを呼び込んだのは心に刺さるさりげない名言の数々。
●「成長は自分の無能さに気づくことからスタートする」
●「うまくいかなくて当然なのが人間関係」
●「上の者から見ると、本当に給料に見合った仕事しているサラリーマンなんて、2割だからな」
●「おまえが思ってるほど、おまえのことを意識してないものだよ」
●「本当の勉強っていうのはなぁ、路上でするもんなんだ」
●「勉強できるやつがたくさんいたって、全然うれしくないんだよ周りのヤツは」
●「ほとんどの人がみんな『自分は勘違いされてる』って思ってるみたいよ」
●「人間が夫婦制度っていうものを取り入れたから、世の中安全になったけど、そのせいで悩みも増えた」
シーマンは、すでに世の中から姿を消したかと思いきや、2015年にシーマンのクリエーター、斎藤由多加氏が「シーマン人工知能研究所」を設立。「一問一答ではなく、記憶を持ち、相づちを打つような日本語の会話生成プログラム」の開発を進める。AI時代の新型シーマン誕生が待たれる。
「シーマン~禁断のペット」ゲーム大手、セガ(当時)の家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」のソフトとして1999年に発売された。育成シミュレーションゲームとして売り出された。