教養とはなにか
ちょっと前にどうしたら教養を身に付けられるのって質問されたんだけど、よく分からない感じだった。自分はどうかなって考えたんだけど、かなり微妙だと思う。数年に一度くらい教養があるねぇみたいに言われることがあるんだけど、私は都道府県全部言えないし、鎌倉時代と平安時代どっちが今に近いのかも曖昧である。こないだ数学で遊んでみようと思って子供向けの本読んだりしたんだけど、因数分解の意味が分からなかった。つまり私は通常身に付けておくべき知識をムシって別のこと調べて遊び続けてるから、他の人からするとちょっと教養あるっぽく見えるけど、私からすると私をちょっと教養あるっぽいと認識している人がスゲーっていう認識になるわけで、人間の能力みたいなものってトータルだとあんまり変わんないんじゃないのかなっていうようなことを最近は思ったりしている……みたいな人間が、どうやったら教養を身に付けられるのかっていう質問されて考えたのが以下の文章である。
そもそも教養とはなにかっていうと、特定の集団の中で愉快に会話をするための能力である。少し昔の上流階級が集うサロンで、ある小説が話題になった場合に、会話についていけるかどうかって話だな。
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大昔の貴族のオッさんが貧乏な家で水飲んで上の句を詠んだら続けて娘が下の句を詠むみたいな小話があるけど、ああいうのも教養の一種といえる。俺は友達もいないし家からも出ないし人と会話しないから、教養なんか意味ねぇ!!!!! って思った人もいるかもしれないけど、それで正解だと思う。
とにもかくにも属している集団によって求められる知識やら振舞っていうのは異なっていて、過去にすごい教養人だッ!! とされていた人だって今のコミケに行くと適応できなくて死ぬ。なぜならコミケという場で求められる教養を持っていないからで、教養なんてものは普遍性のあるものじゃない。ゴミみたいな集団で教養発揮している人なんかは、ゲロシャブみたいな雰囲気が出てて最悪になったりすることもありえるような気がする。
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自分の行動に合せて知識を身に付けるとお得な教養になる
私は音楽も聴かないし、映画も観ない。そういう人間はアマゾンのプライム・ビデオやらプライム・ミュージックを前にすると、ただただ恐れ戦(おのの)く(恐ろしさで震えあがる)ばかりである。そりゃプライム・ビデオには松本人志さんの顔の写真が多数掲載されていて、これをクリックしたら愉快な動画が再生されるのかなくらいのことは想像できないでもないが、全体的にはなにも観たくない。プライム・ミュージックはもっと悲惨で、私は音がしてるより静かなほうが良い。音とかヤカマシイだけだと思う。音がしていて良くなる場合っていうのはNHKのラジオ深夜便くらいである。ラジオ深夜便は俺の心を落ち着かせる。
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なんでこんなことになってしまうのかっていうと、私に音楽やら映画に関する知識や良い体験がほとんどないからで、色々聴いたり観たりしている人はだいたい推測して面白そうなものを選んだりすることが可能になる。これは映画や音楽っていうジャンルにおいては、自分を楽しませるための適切な選択ができるっていうことである。検索やコンテンツの消費を会話として考えると、一種の教養だとすることもできるだろう。
散歩が異常に好きな人の場合、植物やら鳥やら虫に詳しいと、歩行しながら様々なことを認識することができる。
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夜に歩く場合だと星に詳しいと有利で、コンクリートジャングルに生きてるなら建築やら都市に詳しいと散歩に付加価値が付く。散歩っていう同一の行為から、より良質な情報を引き出して自分を楽しませているから、行動に付加価値が付いてくる。
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飯は誰でも食べる。だから調味料や加熱方法についての知識があると、知らない人よりも料理から情報を引き出すことが可能になる。
別にそんなことができたからって人からスゲーって思ってもらえるわけでもないけど、自分だけは面白い。人にスゲーっと思ってもらえるのと、自分を最高に面白がらせるの、どっちが得かって考えると、自分が最高に面白い状況にいるほうが良いわけで、それができたらもういいんじゃないのっていう感じで、この辺りが現代必要とされている教養なんじゃないのかなって私は考えています。
それでも教養を見せ付けたいんだッ!! って場合
俺は教養を人に見せ付けたいッ!!! っていう人もいるかもしれない。私は読むのが得意だから読む分野から攻めるけど、昔の本を読んどきゃたまに教養あるっぽく見られるようになれると思う。それで日本に住んでいる人ならば、大昔の西洋人の哲学みたいなのを昔の日本のオッさんが翻訳した本を読むのが一番効率が良い。理由は以下の通りである。
- 西洋人の哲学者は暇な上に粘着質なので異常にものを考えている
- 哲学を翻訳するような昔のオッさんは教養がメチャるようにみえていた
- 概ね今も通用するようなことが書かれているし、ページ数少ない本が多い
かって詩人と科学者が同じ言葉を話しているような時代があった。それは一人の人間が社会に流通している知識を、ほとんど全部知ることが可能(なような気がするよう)な時代だ。そういうような状況ならば、今ほとんどの人が考えているような教養人が成立したんだと思われる。まだそういった雰囲気が残っていた頃に生きていた人々は、基本的に娯楽がなくて暇な上に、無駄に体力と粘着力があるんで、ずっと色々なことを考えている。コンテンツが少なく浅いがゆえに、大まかなことを考えるしかないので、その分野も多岐に渡る。そういう人々の考え方に触れておくと、過去の荒々しい教養のスタイルみたいなのがなんとなく想像できるようになる。それだけじゃなくて、法律やら技術に関する考え方は、今でも活用できるようなものが多いんでお得だと思われる。
昔の日本のオッさんの翻訳については、形式をゲットできることに意味がある。実際のところ昔より最近の翻訳のほうが精度が良い。だから原著の意味を正確に理解したいんなら、昔のオッさんの翻訳を読む必要はない。ただ遊びで読むわけなんだから、正確に理解する意味もあまりない。かって日本の知に圧倒的な格差があった時代のオッさんの文章を読むというのもなかなか良いものです。
それだけでなくて昔の翻訳文っていうのは、日本の文章にわりと影響を与えている。こういった種類の文章もあるのかって知っておくと、なんとなく教養があるように見られることがないわけでもないと思われる。あと単純に慣れていない文章をゆっくり読んでおくと、新しい文体や考え方に適応しやくすくなるっていう効果もある。ただギリシャ哲学の翻訳はあんまり悪文ないから微妙だけど、悪文を探し出して読む必要もないような気がしないでもないし、まあどうでもいいかもしれないな。中国の昔のオッさんが書いた本もスケールでかくて面白いし、江戸の思想家の本も限られた知識で異常者みたいな真面目さを発揮して思考したりしていて良いけど、以上のような理由からとりあえずギリシャ哲学がお得かなーっていう感じである。
こういう記事ではだいたい10冊とか100冊の本が並んでいるんで、私も一応は10冊分のリストを作ってみたけど、正直なところ翻訳者の人の名前はもちろん、題名やら内容も覚えてないんだよね。つまりそのくらい適当に読んでも、それなりに読んどいて良かったなーって思える場面があるような書籍ってことになるな。といわけで以下は適当なリストになる。
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記憶が曖昧だけど、なるべく読みやすそうな順番で並べてある。『テアイテトス』は絶対に面白いんだけど、他はかなり記憶が曖昧だな。『法律』は良かったような気がするけどやっぱり曖昧、先に10冊分のリストを作るって書いたけど、今数えたら12冊あったしくらいに適当なリストである。だから実際に本屋に行って内容見て決めるとか、アマゾンで著者名「プラトン」で検索して面白そうな題名の本を選んだほうが精度が高いかもしれない。
ところで私はこういった名著を、この位の知能とだらしなさでさっぱり読んできた。ギリシャ哲学の名言を暗記して絶叫したいがために、署名やら文章の一節を覚えようとする人もいるかもしれないけど、そういうことすると馬鹿にされて終ると思う。学ぼうとせずに時間消費するためだけに読んでみるのがお勧めである。
そんなに高くない知能と怠惰を兼ね備えた私みたいな人間が名著を遊びで読むのはなかなか良くて、かなり贅沢な話である。贅沢をすると知とか文化に対して余裕が出てくる。余裕が出てくると対象物を平らかな心で眺めることができて、様々なものからより良い情報をゲットすることができる。そんなわけで知能が高く勤勉な人も意図的に脳の性能を低下させ、SNSで流れてくる2ページくらいの漫画を読むみたいに、こういった本を消費してみるっていうのもたまには良いことだと思うけど、教養とかあんまり関係ない話になっちゃいましたが個人的にはこういうのでいいと思ってます。