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加熱式たばこの議論がまともじゃない!
紙巻きたばこから火を使わない加熱式に変える愛煙家が増えている。彼らはきっと、他人になるべく迷惑かけないようにと配慮した末の決断だったに違いない。それでも世の嫌煙家たちは許してくれない。たばこであれば、「何でも同じ」と言わんばかりの規制と議論。はっきり言ってまともじゃない。
紙巻きたばこから火を使わない加熱式に変える愛煙家が増えている。彼らはきっと、他人になるべく迷惑かけないようにと配慮した末の決断だったに違いない。それでも世の嫌煙家たちは許してくれない。たばこであれば、「何でも同じ」と言わんばかりの規制と議論。はっきり言ってまともじゃない。
看過できない「タバコ狩り」
日本人はいつからこんなにも「狩り」が好きになったのか。むろん、狩りと言っても狩猟のことではない。魔女狩り、不謹慎狩り、言葉狩り…。あの類である。中でも昨今の「タバコ狩り」とでも言うべき一方的な議論はさすがに看過できない。
世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が進める「たばこのない五輪」の実現が大義名分とはいえ、今年7月に成立した改正健康増進法では、事務所や飲食店など多くの人が利用する施設は原則、屋内禁煙となった。自治体レベルでは、「国よりも厳しい規制」を売り文句にこぞって競い合う向きもある。また、民間レベルでも「喫煙者は採用しない」と公言する企業が現れるなど、愛煙家にとっては肩身の狭い冬の時代が続く。
かくいう筆者も愛煙家の一人だが、受動喫煙の健康被害についてはそれなりに納得もしている。周りでは、長年吸い続けた紙巻きたばこから、火を使わない加熱式たばこに変えた人も目立つ。彼らの多くはきっと、他人になるべく迷惑をかけないようにと配慮した末での決断だったに違いない。いまだ紙巻き派の筆者に比べれば、その殊勝な態度に敬意を表したいくらいである。

秩父宮ラグビー場にある喫煙スペース それでも、規制を主導する厚生労働省や自治体の役人、世の嫌煙家たちは許してくれない。たばこであれば、紙巻きだろうが、加熱式だろうが「例外なく排除せよ!」と言わんばかりの禁煙原理主義が平然と罷り通ってしまうのだから恐ろしい。その最たる事例が、前述した改正法の「例外規定」をめぐる議論である。
改正法では2020年4月の全面施行までの屋内禁煙を原則義務付けているが、煙が室外に流出しない専用の喫煙室を設ければ、例外的に喫煙を認めている。実は今、この喫煙専用室の設置基準について、厚労省の専門部会で話し合われているが、紙巻きと加熱式が全く同列に扱われて議論が進んでいる。
加熱式は、たばこ葉を燃やさずに蒸して吸うたばこである。実際、紙巻きに比べて加熱式から出る有害物質は、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」で99%、フィリップ・モリスの「アイコス」とブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」で約90%低減されたという実証データもある。
むろん、利害関係のあるたばこ会社が公表したデータであり、鵜呑みにはできないという意見もあるだろう。だが、逆に言えば加熱式が紙巻きより有害、または同等以上であるという科学的根拠も今のところ見当たらない。
にもかかわらず、喫煙専用室の設置基準をめぐって、加熱式も紙巻きと同等に「喫煙室の入り口から室内に向かって毎秒0・2メートル以上の空気の流れが必要」という方向で結論が出ようとしているらしい。これはハームリダクション(害の低減)という公衆衛生の観点からも外れた議論と言わざるを得ない。もっと言えば、喫煙リスクの低減に向けた世の愛煙家たちの配慮や企業努力さえも無視した暴論である。これをタバコ狩りという名の「禁煙ファシズム」と言わずして何と言おうか。
人は喫煙の話になると、なぜか感情に流されがちになる。感情が先立つ議論ほど、不毛なことはない。モリカケしかり、性差別しかり、憲法改正しかりである。「完全禁煙しか道はない」といった極論に走るよりも、分煙や喫煙リスクの低減など現実的な解決策を模索する冷静な議論こそ望ましいと思うのだが、喫煙者の側が言っても、やはり聞き入れてはもらえないのだろうか。(iRONNA編集長、白岩賢太)
世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が進める「たばこのない五輪」の実現が大義名分とはいえ、今年7月に成立した改正健康増進法では、事務所や飲食店など多くの人が利用する施設は原則、屋内禁煙となった。自治体レベルでは、「国よりも厳しい規制」を売り文句にこぞって競い合う向きもある。また、民間レベルでも「喫煙者は採用しない」と公言する企業が現れるなど、愛煙家にとっては肩身の狭い冬の時代が続く。
かくいう筆者も愛煙家の一人だが、受動喫煙の健康被害についてはそれなりに納得もしている。周りでは、長年吸い続けた紙巻きたばこから、火を使わない加熱式たばこに変えた人も目立つ。彼らの多くはきっと、他人になるべく迷惑をかけないようにと配慮した末での決断だったに違いない。いまだ紙巻き派の筆者に比べれば、その殊勝な態度に敬意を表したいくらいである。
改正法では2020年4月の全面施行までの屋内禁煙を原則義務付けているが、煙が室外に流出しない専用の喫煙室を設ければ、例外的に喫煙を認めている。実は今、この喫煙専用室の設置基準について、厚労省の専門部会で話し合われているが、紙巻きと加熱式が全く同列に扱われて議論が進んでいる。
加熱式は、たばこ葉を燃やさずに蒸して吸うたばこである。実際、紙巻きに比べて加熱式から出る有害物質は、日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」で99%、フィリップ・モリスの「アイコス」とブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」で約90%低減されたという実証データもある。
むろん、利害関係のあるたばこ会社が公表したデータであり、鵜呑みにはできないという意見もあるだろう。だが、逆に言えば加熱式が紙巻きより有害、または同等以上であるという科学的根拠も今のところ見当たらない。
にもかかわらず、喫煙専用室の設置基準をめぐって、加熱式も紙巻きと同等に「喫煙室の入り口から室内に向かって毎秒0・2メートル以上の空気の流れが必要」という方向で結論が出ようとしているらしい。これはハームリダクション(害の低減)という公衆衛生の観点からも外れた議論と言わざるを得ない。もっと言えば、喫煙リスクの低減に向けた世の愛煙家たちの配慮や企業努力さえも無視した暴論である。これをタバコ狩りという名の「禁煙ファシズム」と言わずして何と言おうか。
人は喫煙の話になると、なぜか感情に流されがちになる。感情が先立つ議論ほど、不毛なことはない。モリカケしかり、性差別しかり、憲法改正しかりである。「完全禁煙しか道はない」といった極論に走るよりも、分煙や喫煙リスクの低減など現実的な解決策を模索する冷静な議論こそ望ましいと思うのだが、喫煙者の側が言っても、やはり聞き入れてはもらえないのだろうか。(iRONNA編集長、白岩賢太)
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