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「一緒に作った人たちを家族のように思う」 女優・尾野真千子さん、NHKドラマ『カーネーション』を語る

世界的なファッションデザイナーであるコシノ3姉妹の母・小篠綾子氏をモデルとしたNHK連続テレビ小説『カーネーション』で、主人公・小原糸子を演じた女優・尾野真千子さんのトークイベント「尾野真千子が語るテレビドラマ『カーネーション』を中心に」が7月21日、大隈記念講堂で行われました。演劇博物館の企画展「テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会」(8月6日まで開催)の関連イベントで、尾野さんのほか、同ドラマの演出を手掛けたNHKドラマ番組部シニアディレクター・田中健二さんも登壇し、演劇博物館館長・岡室美奈子教授(文学学術院)が聞き手となって作品への思い出などを語っていただき、満席となった会場を沸かせていました。

『カーネーション』は、2011年10月から翌年3月まで放送されたドラマで、大正時代に「だんじり祭り」で知られる大阪・岸和田で呉服屋の長女として生まれ育ち、後にファッションデザイナーの草分けとして活躍した糸子を主人公としたドラマ。糸子は3人の娘を世界的ファッションデザイナーに育て上げたパワフルな“大阪のお母ちゃん”で、その90年余りにわたる生涯を一代記として描いています。尾野さんは10代~50代までの糸子を演じました。

早稲田ウィークリーレポーターの政治経済学部4年・當銘啓太さんがイベント内容を伝えます。

 

「心に届く作品を創る人の熱量を感じた」

早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
政治経済学部 4年 當銘 啓太(とうめ・けいた)

私は『カーネーション』を見たことはなかったのですが、今回のイベントに参加しただけで、素晴らしい作品だということが伝わりました。

「当時はいろいろあったと思うけど、月日がたつとそれらは消える。今となってはいい思い出しかないし、一緒に作った人たちは家族のように思っている」という尾野真千子さんの言葉は、本当に良い作品に携わった人の口から出るものだと感じました。また、そうしたリアルで温度感のある舞台裏トークからは、テレビドラマを作るのは「人」であることを感じました。

尾野さん、ディレクターの田中健二さん、そして客席からトークに参加したプロデューサーの城谷厚司さんのお話には、仕事にかける熱量と作品に対する愛情がにじんでいました。

尾野さんは「基本的に全て台本通りだったのですが、自分が出演する最後の回では、どうしてもミシンを触りたくて、台本になかった『ミシンを触るシーン』を足してもらいました」という撮影裏話を披露し、田中さんは「視聴者の応援も普通はドラマの最終回とともに終わりますが、放送終了から6年たって行われたイベントにこれだけのお客さんが来てくれる。作って本当によかったです。これからも良いものを撮って届けていこうという活力が湧きました」と感慨を込めていました。

また、城谷さんは「『カーネーション』というタイトルは、まず糸子が、生まれた地に根を張って花を咲かせる植物のような人だと思ったこと、その中でもカーネーションは母の象徴であるとか、いろいろな理由で決まりました。戦後の日本は母性が作り上げた、という作品のテーマもありました」と、タイトルに込めた思いを語っていました。

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満席となった大隈記念講堂

人の心に届く作品というのは、こうしたすてきな役者さんやスタッフさんたちから生み出されるのだと、実感しました。放送から6年たっても『カーネーション』を愛するお客さんたちが、大隈記念講堂を埋め尽くす、温かいイベントでした。

イベントでは『カーネーション』のよりすぐりのシーンが上映されました。作品を見たことがない私ですが、尾野さんが出演する最後の回(第127回)で、糸子が実家の窓から一緒に過ごしてきた人々を眺めながら、自分は東京に行かず街に残ると話すシーンを見て、涙ぐんでしまいました。

岡室美奈子先生が「『人は死んで終わりじゃない』というテーマがあり、戦争の描写も非常に高い評価を受けている」と指摘する作品の中で、戦時中に多くの大切な人を亡くして「極楽も地獄も全部この窓から見てきた」と語る糸子。糸子の表情・セリフが、音楽を担当した佐藤直紀さんの楽曲が、「人は死んで終わりじゃない」というテーマを表現していました。年を取れば何かをなくしていくけれど、その分「宝」も増えていく。私も、何かをなくして泣く「へたれ」にならず、「宝」を抱えて生きていくような大人になれたらと思います。

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演劇博物館で展示されているドラマ『カーネーション』で使用された衣装(レプリカ)を、尾野さんと田中さんに案内する岡室館長

もし『カーネーション』が好きな方なら、作中衣装が展示されている演劇博物館の「大テレビドラマ博覧会」は必見です。『カーネーション』以外にも、懐かしいドラマから最新ドラマまで、館長の岡室先生の愛が詰まった展示が並んでいます。少しでもドラマが好きなら、絶対に楽しめるイベントです。私も2回行きました。8月6日(日)までですのでぜひ、足を運んでみてください!

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