今の会社で35年働き続けられるのか?誰にも答えられない未来予想図
どうも「口を開けばカネの話」千日です。
「一家の大黒柱として家族を守る、家族の人生と生活の場として家を持つ。」
このタスクの本質については、時代とは関係なく責任とリスクが付き物です。
自分の親世代は簡単だったけど、これからの自分たちは大変だなんて見方は間違ってると思っています。
リスクの質量は同じでその傾向と対策が時代とともに変化しているのです。
- 終身雇用でないと住宅ローンは成立しないと言う人の残念な勘違い
- 低成長時代の雇用と住宅ローンのリスクの傾向と対策
- 賃貸も住宅ローンもリスクの質量は同じ
つまり、バカなことではありません。しかし、変化するリスクに対する傾向と対策を知らず、その準備をせずに住宅ローンを組むと後悔するかもしれませんね。
では始めましょう。
べつに終身雇用でなくても住宅ローンは成立する
ある人はこんな風に言って不安を煽ります。ネットのコラムニストなんかに多いですね。
それもこれも、お前本当に35年間働き続けるんか?という問題に尽きるわけですよ。
いわゆるインターネットで論客としてやっていける人って、勤め人としてはやってけない類の人が多いので、実感として35年も勤務するなんてあり得ないんでしょう。
普通の人の感覚としては、働くことは普通に働くでしょ、むしろ問題はその場が35年間ちゃんとあるのかどうか?です。
別に雇用の環境が終身雇用でなくても住宅ローンは成立します。その証拠にそもそも終身雇用などハナから無かったアメリカにも住宅ローンはありますからね。
ただし、「同じ会社で」という日本に特有の前提は、残念ながら将来的に無くなっていきます。逆を言えば、だからこそこんなに日本の長期金利が安いとも言えるわけですよ。
かじりついた船ごと沈んでいく社会
住宅ローンを返済するまでは、石にかじりついてでも会社を辞めない!なんて言う人いますが、この「石にかじりついてでも」という姿勢が今後は評価されなくなってきます。
石にかじりついて我慢してそれが報われたのは、過去のことです。
また、住宅ローンの相談で、ご相談者の言葉にたまにひっかかることあります「じゃあ〇〇しとけば大丈夫なんですよね」という「しておけば…」です。
これは「〇〇することが良い」というニュアンスじゃないですよね。最低限、それだけをこなしておけば怒られないで済む、落第せずに済む、というラインをニュアンスで言うときに使う言葉だと思います。
そうした仕事での姿勢は、正社員という庇護が無くなったときに如実に差として出てくるものなんです。
自分の仕事が相手に、周囲にどれだけのバリューを発揮できているのか?という姿勢で臨んでいかなければ、いくらかじりつこうが、しがみつこうが船ごと沈んでいく社会になっていくのです。
これからの雇用と住宅ローンのリスクの関係
これからは基本的に右肩上がりではなく、右肩下がりの社会です。働き手かつ消費の主役となる若者が減り、老人ばかりが増えて行くことが分かっているからです。
国はそれによって減る税収、増える医療費を女性の社会進出で補おうとしているのです。古くは男女雇用機会均等法、今の安倍政権の働き方改革がそれです。
つまり…
- 正社員の給料は、今より不安定に、全体的に減少します。ボーナスは名実ともに、成果が上がった時にのみ支給されるものになっていくでしょう。
- 旦那さんの将来給料は、よほど能力が高くない限り、現在の上司の水準ほどには上がらないでしょう。
- 出産の後、女性が職場復帰する受け入れ体制が普通になり何らかの事情が無い限り「専業主婦」は珍しい存在になってくるでしょう。
1.ボーナス払いはダメ、今の月給を軸とした返済計画を立てる
ボーナス払いがダメというのは、前から千日が声を大にして言ってることです。
日本のボーナスって「ボーナス」といいながら、実態としては、基本給の延長ような位置づけになっていて、基本給の◯ヶ月分みたいな決め方になっている事が多いです。
しかし経営者の立場からすると、建前として「ボーナス」ですから、削るならボーナスからなんですよね。
そして、年二回のボーナスが出るのが普通というのは、右肩上がりの成長期にあった過去30年の普通であって、今後35年のボーナスを保証してくれるものでは無いのです。
そして今後は年収としても、これまでのような年功序列での収入増は完全に姿を消すでしょう。
今の会社で勤務しとけば、という前提で昇給を見込むのは危険です。
2.右肩下がりの社会でも無理なく返済できる住宅ローンの金額とは?
千日太郎はこれからやってくる低成長時代(少子高齢化社会)の家の買い方、まだその答えの無いやり方に対する答えを出すことをライフワークとして本の執筆、ブログの運営をしています。
以下は、千日が著書家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本やブログで推奨している、無理なく返済できる住宅ローンの金額を出すための4つのルールです。
- 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
- 返済額が一定になる元利均等返済方式
- シミュレーションの金利は固定金利
- 定年時のローン残高は1000万円以下
(単位:万円)
年齢/月収 | 15万 | 20万 | 25万 | 30万 | 35万 | 40万 |
25歳 | 1997 | 2663 | 3329 | 3995 | 4661 | 5327 |
30歳 | 1997 | 2663 | 3329 | 3995 | 4661 | 5327 |
35歳 | 1997 | 2663 | 2972 | 3535 | 4125 | 4714 |
40歳 | 1997 | 2357 | 2630 | 3043 | 3550 | 4057 |
45歳 | 1768 | 2029 | 2263 | 2515 | 2934 | 3354 |
前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%
これはすなわち、これからの右肩下がりの社会と雇用環境を前提にしたものです。銀行の審査基準はまだそこまで反映していません。
なので人によっては実際に借りたい金額よりも若干少なくなっていると思います。また、実際に銀行ではこれを超えた金額でも借りられるでしょう。
しかし、銀行が融資するということは、返済できる、という保証では無いのです。債権者としては最悪でも家を売って回収できれば結果オーライなのですから。
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3.夫婦50:50の共働き世帯収入に特有のリスクに備える
男性の収入は減り、働く女性が一般化してくる社会では、男女の収入格差はどんどん縮まってきます。
千日の試算では、2035年には給与所得の男女比は全国平均で60:40位になるものと予測しています。
今後50:50の共働き夫婦が住宅ローンの主流になる!年収と世帯年収のギャップでリスク増大 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
つまり共働き夫婦の収入も50:50にかなり近づくのですね。従来の共働き夫婦は夫がフルタイムの正社員、妻がパートや派遣で概ね80:20くらいの収入比が多数派でした。
収入とリスクが夫に集中していたのです。なので、夫の収入≒世帯収入で考えて住宅ローンを組んで良かった。
しかし、50:50となると、夫の収入と世帯収入の差は大きくなります。
- 夫婦両方が35年間にわたり今以上の収入を維持する。
このような前提が必要になってきます。これは従来型の80:20の共働きには無かった要素です。
もちろん、妻が夫と同等の収入があることによって、もし夫が病気になったり失業したりした場合の安全度は上がりますが、その代わりに別のリスクが上がるということなんですね。
リスクの質量は同じですが、それに対応するための傾向と対策が変化してるのです。
それを把握したうえで、世帯年収での住宅ローンを考えなければなりません。
まとめ~持ち家も賃貸もリスクの質量は同じ!トレンドの違いである
なので、イタズラに将来への不安を煽って「住宅ローンを組むなんてバカだ」なんて言う人に振り回される必要は無いんです。
「持ち家か賃貸か」という議論はネット上にいくらでも転がっています。
商売上、賃貸を勧めたい人は「家を買うなんてバカ」と言いますし、家を売りたい人は「賃貸なんて家を買えない貧乏人だ」なんて言うんですよ。
結局のところ、どちらもリスクの質量は同じでその傾向と対策が違うというだけのことです。
賃貸は生涯賃金とリスクを定年退職後に配分する戦略
定年退職すると、毎月のサラリーの代わりに年金と貯蓄が生命線となります。収入面はどうなるかわからない、でも支出はある程度固定されている。 このリスクを和らげるのは、老後の貯蓄ですね。
つまり、賃貸というのは、定年退職後にリスクを取り、生涯賃金を定年後のためにより多く配分していくという戦略をとることになります。
住宅ローンは生涯賃金とリスクを定年前の現役時代に配分する戦略
住宅ローンは最長35年、420回のミッションです。これに失敗すると家を取り上げられ、その時点からゼロスタートを強いられます。
その代わり、定年後は維持費(管理費、修繕積立金、固定資産税)だけで住居を維持し続けることが出来ます。
つまり、持ち家というのは、現役時代にリスクを取り、生涯賃金を現役時代により多く配分していく戦略です。
ただ、これからの人口減少社会で年金がどこまで減るか全く見えません。現役時代に多く配分しすぎて、定年後の最低限の貯蓄すら無くなってしまうというリスクに対してもケアしなければなりません。
ポジショントークに踊らされないように!
要するにどちらがトクとか、どちらがバカというようなことは無いんですよ。ネット上には「そういうことにしておいた方が自分がトクする」というポジショントークで誠しやかな持論を展開する人が多いです。
彼が本当にそう信じているのではなく、そう発信することで利益を得ようとする立場です。
そのようなポジショントークに踊らされて、自分とは違う選択を「バカだ」と決めつけ、今まさに変わろうとしているリスクの変化に目をつぶってしまう方がバカなことだと私は思いますよ。
以上、千日のブログでした。
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《あとがき》
今日はいつになく挑発的なタイトルでした…
ある論客がそういうタイトルのコラムをネットに上げていたので、住宅ローン畑を守っている専門家として「そうでもないよ」という話もしておかないとナと思った次第です。
ただ、だからと言って「余裕よゆー」みたいな話でもないですが、大きな決断をするときは人間どうしてもナーバスになるものです。
住宅ローンを組むということになると、その金額と年数という具体的な数字でタスクの重さ、リスクの大きさを実感しますよね。
しかし、その責任というのはそもそも家族を持った時点から背負っていたものなんですよ。賃貸にしたからといって、家族の住まいについての責任や自分の将来のリスクが軽くなるわけではないです。
もちろんその逆もしかり、と私は思います。
2018年10月18日
千日太郎おすすめ住宅ローン
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