魏軍は蜀軍に連戦連敗して、曹操は于禁を援軍として差し向けようとします。所が、ここで曹操が于禁の先鋒になろうとします。なぜ魏王にまでなった曹操が、先鋒になろうとしたのか、詳しく紹介しましょう。
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『第70話 楊修の死』のキャスト
魏軍が蜀軍に苦戦してしまう『第70話 楊修の死』 に登場した人物や声優さんたちは、以下の通りです。
- 曹操(魏)/部下の先鋒になろうとする魏王(声:樋浦勉)
- 司馬懿(魏)/浅はかな将軍をあざ笑う軍師(声:佐々木勝彦)
- 許褚(魏)/劉備の書状を渡す将軍(声:宝亀克寿)
- 夏侯淵(魏)/定軍山で死闘を繰り広げる猛将(声:岡哲也)
- 程昱(魏)/曹操に従う軍師(声:小野健一)
- 楊修(魏)/問題のある性格が仇となった文官(声:鈴木正和)
- 劉備(蜀)/漢中進行を決断する皇叔(声:家中宏)
- 諸葛亮(蜀)/漢中の進行に不安を感じる軍師(声:堀内賢雄)
- 関羽(蜀)/弟の活躍に刺激されてしまう将軍(声:田中正彦)
- 張飛(蜀)/黄忠の功績をたたえる将軍(声:天田益男)
- 黄忠(蜀)/漢中の砦を攻撃する将軍(声:麦人)
- 馬良(蜀)/関羽に自重するよう進言する軍師(声:福田賢二)
- 馬謖(蜀)/勝利に浮かれる味方を危惧する文官(声:横島亘)
『第70話 楊修の死』のストーリー
漢中の定軍山では、魏の猛将 夏侯淵が、蜀軍の猛攻をしのいでいました。しかし、このままでは定軍山は陥落するのも時間の問題。そこで、夏侯淵は自分の指を噛み切って血によって書状をしたためて、使者に援軍を頼むように許都へ向かわせるのです。
曹操が定軍山を見捨ててしまう(起)
曹操は、定軍山から派遣された使者の書状を受け取り「さすがは夏侯淵だ、勇猛なる我が弟。そち(使者)は休養を取るが良いだろう。夏侯淵に伝えよ、準備が整い次第、3万の援軍をさし向ける」と約束。
そして、司馬懿の他の家臣たちは全て去った後に、曹操は「今まで長く戦っていたが、4戦連敗とは初めてだ」と嘆きます。それに司馬懿は「本当に援軍を差し向けるのですか?」と指摘します。
曹操は「お前には叶わん。今の戦況では援軍を差し向けても定軍山を守るのは難しい、それに劉備が定軍山を取ればワシをますますバカにするので、今後は有利だ」と答えました。しかし司馬懿は「さりとて、夏侯淵は魏の猛将にして数多くの手柄を立てて、魏王の弟君。それが討たれたとあっては、全軍への指揮に関わります」と憂慮。
楊修の越権行為(承)
曹操が援軍を差し向けない間に、黄忠が夏侯淵の首を切り捨てていました。それに劉備は「朝廷に上奏して官位を与えよう」と功績を褒め称えます。劉備はさらに進撃を命じます。それに諸葛亮は憂慮してしまいますが、何も進言しようとしません。その頃、魏では定軍山が落ちた事が報告されていました。
さらに曹操は、徐晃が背水の陣を敷いた事を知って「徐晃は兵書を読みあさるが、理解が浅い!」と叱責。それから曹操は食事をしようとしたら、将軍が「本日の合言葉をお願いします」と言ってきます。そこで曹操は思わず「鶏肋(けいろく)」を答えます。
将軍が合言葉を知らせていったら、なぜか楊修は軍を撤退させようとします。それを不審に思った将軍が楊修に問いただしたら「鶏肋である鶏のあばらは旨味はないが捨てがたい」と曹操は撤退したいのだろうと推測してしまうのです。
曹操が楊修を処刑(転)
その後に曹操たちが現れて「なぜ撤退しようとしうている?」と聞いてきたので、将軍は「楊修殿が鶏肋という合言葉で、魏王が撤退したいのだろうと申されまして」と答えます。それに司馬懿は口角を少し上げて静かに笑い、曹操は「楊修の奴め!妄言で士気を乱す気か。誰かある、楊修を打ち首にせよ」と命令。
そして、曹操は大軍を出撃させて、劉備と対峙。曹操は劉備に「数多くの恩をかけたのに、仇で返すとは」と罵って、それに劉備も反論して、両軍がいよいよ激突します。西暦219年、世に言う『漢中の戦い』です。蜀軍は数多くの猛将たちが魏軍に突撃してきますが、司馬懿は「趙雲だけがまだ現れていません」と危惧。
曹操は「どうせ劉備のそばにいるのだろう」と答えますが、その時、趙雲が曹操の本陣に突撃してきたのです。曹操は急いで撤退を開始して魏軍は総崩れとなります。司馬懿は再び孫権を動かして、蜀を挟み撃ちするように進言。曹操は「兵糧を渡したのに、言葉だけで動こうとしなかった」と難色を示します。
曹操が于禁の先鋒となったワケとは?(結)
司馬懿は「あの時は漢中の戦況の行方を見守っていましたが、今は違います。今では孫権にとって、最大の脅威は劉備なのですから」と答えます。そして劉備はついに漢中を取りますが、関羽は弟ばかりが功を立てているので、自分も樊城を取るために、糜芳や傅士仁たちを荊州を守らせようとします。
それに馬良は呉の動向を心配しますが、関羽は「呉のネズミどもなど、恐る事はない」と言い放ちます。その頃、魏では関羽が攻め込んできたので、于禁を援軍として差し向けようとしますが、誰も先鋒になろうとしません。
曹操は「連戦連敗で、もう戦うのが嫌になったか?仕方のない連中だ。ならば私が于禁の先鋒となろう。お前たちは、主君が先鋒となって戦っているのを見ておけ」と怒りを募らせます。はたして、このまま曹操は、魏王とうい身分で部下の先鋒となってしまうのでしょうか?
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『第70話 楊修の死』のまとめ
動画配信U-NEXTで配信されている『第70話 楊修の死』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい(本ページの情報は2018年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください)。
三国志の名言①『鶏肋』
以前から、楊修は自分の知識をひけらかす所がありましたが、独断で軍を撤退したとあっては、さすがの曹操も楊修の処刑を決断します。鶏肋は旨味はなくても捨て難い、つまり漢中で戦う事に旨味はなくても、捨てるのは惜しい場所という事なのでしょう。
それからは、鶏肋という言葉は、あまり役に立たないが、捨てるには惜しいという意味として使われています。
三国志の名言②『背水の陣を敷く』
曹操が、徐晃を浅はかな将軍と激怒しますが、その理由は背水の陣を敷いた韓信の時代にまで話をさかのぼる必要があります。かつて漢の大将軍であった韓信は、楚軍に味方している趙軍に策がないと見るや、背水に陣を敷きます(自軍の背後に水(川)がある状況)。
このような陣を敷いたら、逃げ道がないので、それまでの兵法ではありえない戦い方でした。しかし、逃げ道がない絶体絶命の危機に陥らせて、兵士たちを死に物狂いで戦わせようとしたのです。実際に、趙軍が死に物狂いの漢軍を打ち破れないので、陣に戻ろうとしたら、漢軍の別働隊がすでに占拠していました。
しかし、徐晃が相手をするのは、諸葛亮のいる蜀軍。曹操は「諸葛亮に策がないと思っているのか」と激怒したワケです。ちなみに、それからは『背水の陣を敷く』という言葉は、絶体絶命の状況なので全力を尽くして打開するという意味として使われるようになりました。
『第70話 楊修の死』の残念な所
楊修の言葉を信じた将軍が、曹操が楊修を打ち首に命じた時に唖然とします。それに司馬懿は「良かったな」と声をかけるので「なぜですか?」と尋ねます。司馬懿は「まだ体に頭が乗っている。将軍たるもの王ではなく楊修の言葉を信じるとは、頭があっても無駄だ」と嫌味を言います。
これには「司馬懿よ!言い方がきつすぎるぞぉ」と突っ込みたくなりました。まぁ、この辺りは、楊修の残念すぎる性格が招いた事なので、仕方のない所ではありますけどね。
『第70話 楊修の死』の見所
関羽は、諸葛亮から荊州を守るようにと言われていたのに、義兄が漢中を取り漢中王にまでなって、もはや蜀が天下を取るのは時間の問題だと有頂天になりました。そのため、馬良が諫めようとしても、関羽は「呉のねずみなど恐るものではない」と言い切ってしまうのです。
今まで呉軍は臆病になって劉備を攻めなかった訳ではなく、劉備と戦っていたら、曹操を利するだけと思って大局を見ていただけでした。しかし、そんな呉に対して、関羽は「ねずみ」扱いして、張飛は「あんな奴ら」と見下すようになりました。
そのような呉の深謀遠慮を見抜けるのは、蜀では諸葛亮や馬良などごくわずかの者だったので、これが後に大きな悲劇を呼ぶ事になります。呉のファンにとっては「関羽よ、あとで後悔するなよ」と今からワクワクする所ではあるでしょう。