私は老年精神医学のかたわら、自分の老化予防をかねてアンチエイジングのクリニックを開いている。
この分野で著名なフランスのクロード・ショーシャ医師と2004年に知り合ったことが発端だ。彼は英国の故ダイアナ妃の主治医や、クリントン米元大統領のアンチエイジングのコンサルタントを務め、今でも人気俳優ジャッキー・チェンやコン・リーのアンチエイジングの主治医をしている。私は彼の著書の日本語版に解説を寄せ、その優れた理論を知ったことをきっかけに、ショーシャ方式の施術を手掛ける自費診療のクリニック「和田秀樹こころと体のクリニック」を開いた。開業以来、香港にあるショーシャ方式のクリニックで指導を受けている。
世界に20カ所あるショーシャ方式の提携クリニックの中で、私のところだけが流行っていないという現状だ。日本で自費診療というと、美容外科や痩身治療のような即効性のあるものがウケるようだ。ただ私個人についていえば、ショーシャ方式のアンチエイジング治療を開始して10年になり、効果を実感している。あまり年を取ったようには見えず、肌も若いと言われるし、しわもほとんどない。あと、2年で還暦と考えるとありがたかったと思っている。
そこで今回はサバイバルのために老いと闘うことと、若さをいつ諦めるのかについて考えてみたい。
コレステロールの気にしすぎは危険
私の周りの文化人や有名人の方を見ていると、年を取るほどダイエットに気を使う方が多い。あるいは、中高年以降は血糖値や血中のコレステロール値を気にする人も多い。
もっとも東京都小金井市の70歳を対象とした10年間の追跡調査ではコレステロールがやや高めの人が最も死亡率が低かった。標準とされている体重よりやや太めの人の方が長生きしていることを示す、いくつもの調査結果もある。
血糖値にしても、厳格にコントロールをし過ぎるとかえって死亡率が高まるという大規模調査のデータがいくつか出ているし、高齢者の臨床をしていると、血糖値を正常にしようとすると低血糖の時間帯ができて、ぼんやりしたり、失禁したりする患者を時々見かける。
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