商標法26条1項6号

改正で新しく入った商標法26条1項6号。
当該規定の使い方が難しく、「どのように使おうか?」と悩む人が多いようです。
レジュメでも中々登場しないというのも理由の一つでしょう。
26条1項6号については、基本的には「出所表示機能」は発揮されているか否かを記載し、「発揮されていない」→「商標的使用ではない」→26条の記載に持っていくのが妥当だと思います。

判例の記載を参考にしています。
例えば、知財高裁平成27年10月21日(平成27年(ネ)第10074号)では、

以上によれば,被告商品の需要者である医師,薬剤師等の医療従事者及び患者のいずれにおいても,被告商品に付された「ピタバ」の表示(被告標章)から商品の出所を識別したり,想起することはないものと認められるから,被告商品における被告標章の使用は,商標的使用に当たらないというべきである。
したがって,被告標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(商標法26条1項6号)に該当するものと認められる。

と、「出所を識別したり、想起することはない」と記載し、26条1項6号の条文に繋げています。

判例によっては、26条1項6号に該当する/該当しないの両方が登場するものがあります。
例えば、東京地裁平成28年1月29日(平成26年(ワ)第4627号)です。

イ 被告による商標的使用の有無について
(ア) 本件チラシ(甲7)における使用について
前記前提事実,証拠(甲7)及び弁論の全趣旨によると,平成25年初め頃に被告が作成した本件チラシには,「JAPANPOKERTOUR/2013 SEASON 1」(「/」は改行を示す。以下同じ。)の表題に続いて,「JapanPokerTourは,全国のポーカース ポ ッ ト で 誰 で も 参 加 で き る 日 本 規 模 の ポ ー カ ー ト ー ナ メ ン ト で す 。 」 ,「JapanPokerTourは4つのイベントで構成されていて,各イベントの上位3名は日本代表プレイヤーとして海外のポーカートーナメントへ参加することができます。」などと,本件ポーカー大会の紹介ないし説明がされていることが認められ,ここでは,被告標章1が,本件ポーカー大会を指す固有名詞として,ポーカー大会の開催という役務に関する広告に付されて頒布されているものと認められる。これは,出所識別機能を果たす態様で使用されたものというべきである
そうすると,被告は,本件チラシにおいて,被告標章1を商標的に使用したということができ,同チラシにおける同標章は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標(商標法26条1項6号)には該当しない

(ウ) 本件ウェブページ8における使用について
前記前提事実,証拠(甲24)及び弁論の全趣旨によると,「ジャパンオープンポーカー」の「mixiコミュニティ」のウェブサイトである本件ウェブページ8の「最新情報」欄には,5月10日の「トピック」として「JapanPokerTour 決勝5月11日1」との表示が,1月11日の「イベント」として「JapanPokerTour 大阪(APPT」との表示が,それぞれされていることが認められるが,このような表示のみでは,被告標章1が本件ポーカー大会の広告等として出所識別機能を果たす態様により使用されているとはいえない。
調査嘱託の結果に照らし,被告が上記ウェブサイトの管理人であり本件ウェブページ8において被告標章1を使用したと認められるかという問題があるが,この点を措くとしても,上記によると,同ウェブページにおける同標章は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標(商標法26条1項6号)に該当する

使用態様によって26条1項6号に該当する/しないが色々出てくる判例ですが、やはり「出所」が問われています。
したがって、出所表示機能を有しているか否かという点から記載するとよろしいかと思います。

なお、裁判所は「出所識別機能」という言葉をよく使いますが、受験生は原則通りの言葉の方が個人的には良いと思います。