「反原発」を歌詞に込めて~浜田省吾 アリーナツアー『ON THE ROAD 2011 The Last Weekend』が10月29日、30日埼玉・さいたまスーパーアリーナでフィナーレ2011年10月27日 02:00
Father's Son ~被爆者の息子として被爆者の父を持つ“被爆二世”であるロックシンガー浜田省吾の6年ぶりのアリーナツアー『ON THE ROAD 2011 The Last Weekend』が10月29日、30日の埼玉・さいたまスーパーアリーナでフィナーレを迎える。
被爆二世として
1945年8月15日、当時、警察官だった浜田の父親は、原爆投下直後の広島に入り、そこで二次被爆した。それから7年後の1952年、浜田は被爆二世として、この世に生を受けた。そして、1987年4月30日に浜田の父親はガンのため、この世を去った。
浜田は、こうした自身の生い立ちなどもあり、常々、反核、反戦、世界平和の思いを歌詞に込めて歌い続けている。そして、それらのメッセージのなかでは、比喩的な表現ながら、「反原発」の意思を表明している。 独自の方法論で浜田は、あからさまに「原発、反対!」と声高に叫ぶのではなく、独自の方法論で、その意思を伝えている。
たとえば、今回のツアータイトルのテーマとなっている曲『僕と彼女と週末に』(’82年 アルバム『PROMISED LAND』収録)のなかには、次のような一節がある。 恐れを知らぬ 自惚れた人は
宇宙の力を 悪魔に変えた ≪すべてを意のままにできると思い上がった人は、自然エネルギーであるウランの力を、いつしか人類を破滅に導く悪魔(原発・原爆)へと変えてしまった──≫ 「宇宙の力」を「悪魔」に変えたのは、誰か?原子力発電の燃料に使われるウラン235は、天然に産出する唯一の核分裂核種であり、原子力利用において非常に重要な存在となっている。その名は、同時期に発見された天王星(Uranus)に由来し、「Uranus」は、ギリシア神話における天の神「ウーラノス」からきている。
では、この「宇宙の力」を「悪魔」に変えたのは、果たして誰なのか? 科学者・研究者たちか? 電力会社か? 政府か? それとも…? 「真犯人」のほか、「容疑者」や「共犯者」、「傍観者」はいくらでもいるはずである。そう、われわれも含めて。 自分で考え、自分で判断し、そして行動する浜田は、自身の歌詞の意味について解説することを極力控えるようにしている。なぜなら、歌詞の解釈は、聴衆に委ねるべきであり、作り手が押しつけるものではないと考えているからだ。
しかしながら、浜田の長年のファンのあいだでは、前述の『僕と彼女と週末に』の歌詞の解釈は、いわば「定説」となっている。 いずれにせよ、浜田はファンのみならず、すべての人々に対し、何事も自分で考え、自分で判断し、そして自らが行動することを促しているといえるだろう。 ちなみに浜田は、『PROMISED LAND』を発表した’82年に、太陽光発電所での屋外ライブを提案したが、当時の所属事務所(ホリプロ)が政治色の強い企画に難色を示し、結果、浜田は同事務所から独立した経緯がある。つまり、彼は自分の信念に従って「行動」したのである。 「3.11」でツアーの意味が変わった今回のアリーナツアーが始まる前のリハーサル中に東日本大震災に遭遇した浜田は、コンサートスタッフを前に、次のようなことを語ったという。
「3.11をもって、今回のツアーが持つ意味は大きく変わりました」 浜田のこの言葉の解釈もまた、われわれに委ねられている。 そのツアーが10.30、フィナーレを迎える。 防災グッズマガジン
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