たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

新興国通貨への投資と考え方

新興国通貨への資金は投資ではなくて投機になります。

 FXなどで脚光を浴びることの多い新興国通貨です。見た目には驚異的な利回りを示すスワップポイントなどが魅力で、投資初心者の人が新興国通貨に投資する例は昔から後を絶ちません。

 

 日本国内における金利の低さから非常に魅力に思えるのでしょう。しかし、改めて書いておきたいのは、新興国通貨というのは投資にはなりにくいということです。

 

 基本的に新興国通貨というのはスワップポイントに見合ったインフレが進行しており、スワップポイントというのはこのインフレに対する担保にしかすぎません。

 

 また、為替レートをみても明らかなように、基本的に新興国通貨は右肩下がりで価値が下がっていくものです。そもそも通貨というのは時代を経るごとに減価する宿命にあるとも言えるのですが、日本円が長くデフレにあったために理解を難しくしていますね。

 

 特に減価が著しいのは、トルコリラを筆頭にブラジルレアル、南アフリカランド、ロシアルーブル、メキシコペソ、インドネシアルピアなどがあります。これらの国の通貨は持っているだけで毎年のようにみるみる価値が低減していきます。

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 楽天証券から引用した、トルコリラのチャートです。このようなチャートでは一括購入、ドルコスト平均法、いずれも問わず価値が下がることになります。つまり、短期の投機目的以外では手出し無用ということです。

 

 また、新興国通貨建てMMFも投資としては非常にリスキーであるということを申し添えておきたいところです。高金利通貨というのは、高金利になるべくしてなっているのです。

 

 さて少々乱暴ですがまとめますと、新興国通貨建て商品は投資目的としてはすべて手出し無用ということです。ほかにもっと良い商品があります。もちろん例外はありますが、「例外の無い定義なし」ということで言い切っておきたいと思います。

 

 ただし、投機は別です。適切な時機をとらえ、「うねり取りの売買」と割り切る分には良いでしょう。概して値動きも激しく、レバレッジを利かせれば大きく取れるかもしれません。センス次第ですね。さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。

50歳までに6000万を貯めてリタイアしたい。

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 はじめまして。レオンと申します。いつも大変たぱぞう様のブログで勉強させて頂いております。当方、都内在住であと3か月で44歳の独身の男です。(今後も未婚の想定です。)

 

 投資歴は33才くらいから少しずつ開始し、今年の2月から株式購入を開始した株式投資ド素人です。

 

 昔FXで短期間に大きな痛手を負ったので投資スタイルは徹底してドルコスト平均法で毎月の余剰金を決まった商品に追加購入をしています。当方、諸事情があり、遅くても2024年の年末には仕事を完全にリタイアをし、そのあとは利息や配当金で生活、足りない部分は元本を切り崩して生活を出来なかと模索中です。


 以下私の資産状況です。(すべて円換算です。)

  1. 日本円 9,231,000
  2. 南アフリカ・ランドMMF 5,132,000
  3. NZドルMMF 2,739,000
  4. 豪ドルMMF 2,684,000
  5. NTTドコモ 1,164,000
  6. ひふみプラス 1,109,000
  7. メキシコぺソ 812,000
  8. ベライゾン 657,000
  9. AT&T 658,000
  10. サザン 459,000
  11. みずほFG 347,000
  12. ナショナルグリッド 413,000
  13. すかいらーく 337,000
  14. ウエストパック 353,000
  15. エンブリッジ 305,000
  16. フィリップモリス 333,000
  17. ブリティッシュアメリカンタバコ 277,000
  18. モーニングスター 39,000
  19. フィデアホール 16,000 

 当面の投資計画は⑧~⑩、⑫、⑭~⑰に対して毎月8万づつ投資します。なので毎月64万円を外国株に投資します。月の収入から36万円を捻出し、それでも64万には足りないのでプールしている日本円から補填します。

 

 ⑧~⑩、⑫、⑭~⑰が200万を超えたらあまり特定の銘柄に頼るのも怖いので、その時はまたどうするか計画を練る想定です。⑤、⑪は不定期ですが、下がったら買い増す想定です。こちらも200万を超えたら一旦考えます。


 ⑬は完全に株主優待狙いで、現在200株保有していますが、あと100株しか買い増さない予定です。②~④、⑱、⑲に関しては買い増す予定はありません。


 2024年の年末までには6000万円の金融資産をどうにか貯蓄できないかと想定しております。もしたぱぞう様が私と同じ境遇であればどのような資産計画を構築されるかご多忙中恐れ入りますが、以下の点をアドバイス/ご指導いただければ幸いです。

 

 ちなみに当方あまり物欲がなく、年220万円程度で生活可能です。

新興国通貨をまず切りたいところです。

 まず、新興国通貨で資産形成というのは無理ですからそこにメスを入れたいですね。以下、ご質問にお答えしてきます。

南アランドMMFの処遇

 以上を踏まえた個別のご質問です。

 

「南アフリカ・ランドMMFの年の利息が税引き前で30万くらいありますが、  平均取得価格が9円台前半なので今は100万くらいの含み損を抱えています。ドルコスト平均法の考えに倣えば、安い時にこそ買いだと思いますが、  これ以上ポートフォリオの割合が南アフリカランドの存在を大きくしてもよいか悩んでいます。


 新興国の外貨をこれほど抱えていいものか?売って現金化し、別の投資資金とすべきか  たぱぞう様であればどうさせますか?  ちなみに豪ドルMMFは25万くらい、NZドルMMFは30万くらいの含み損を抱えており  MMF全体的に芳しくはありません。売るとしたら、1回のタイミングで全部売るか月1回少しずつ売るなどアドバイス頂ければ幸いです。」

 

 私ならば新興国MMFはすべて決済します。値動きも激しいですし、先に述べたようにメリットが薄いです。少なくとも投資のコアにはなりません。通貨は基本的に、時々相場が動いた時にゲーミング感覚で弄るぐらいが良いと思います。 

 

 先進国の安定した通貨MMFは避難先としては活用できますが、長期で継続利用するようなものではないですね。

ポートフォリオの改善点は?

「当方のポートフォリオ、投資計画を見て、改善点、評価できる所をアドバイス頂ければ幸いです。」

 

 僭越ながら直截に申し上げると、通貨関連が多すぎるように思います。やはり、ペーパーアセットの基本は株式と債券、時々リートです。今後はこの通貨関連の処理、つまり損切りが肝要になります。

個別株売買について

「今からアマゾン、アップルの株式をドルコスト平均法で毎月買い増すのはさすがに遅すぎでしょうか?」

 

 難しいところです。アマゾン、アップルともに大変優れた企業です。米国経済を、いや、時代をけん引しているともいえるでしょう。ただし、やはりブログのような不特定多数の方に読まれる媒体では、ETFや投資信託をおすすめするのが私なりの王道になります。

 

 そういうこともあって、弊ブログでは個別株の売買タイミングについては触れていないのですね。銘柄は個人的には好きです。

日本円は常にどのくらいの割合でプールしているのが健全か?

 日本円に関しては、私は給与と年金を日本円で得るので投資資金に関しては殆どドルでも良いと思っています。さすがに億単位になると日本円、実物資産への投資も視野に入れてよいと思いますが、数千万レベルであればドル資産でも問題ないと思っています。

 

 最後に、6000万円という資産目標ですが、相場の変動もあるのでなかなか資産というのは目標にしにくいかと思います。差し当たって、6000万円から逆算して、おおよそ月々いくら投資に振り分けていく、という目標のほうが現実的かと思います。

 

 月々の入金額は計算可能なものです。これに対して資産は景気変動や為替の影響も受けますので、変動幅が大きいです。無理なポジションを取らずにコツコツと積み上げていくことが大事ですね。ご質問ありがとうございました。

 

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