JR東日本新潟支社は、2019年10月から、新潟~酒田間に新たな観光列車「海里」(KAIRI)の運行を開始すると発表しました。同区間を走る「きらきらうえつ」の後継と思われますが、ディーゼルハイブリッド車両になることから、運転区間の拡大も期待できそうです。
新潟・庄内地方の観光列車「海里」、2019年10月にデビュー!
(出典)新潟・庄内の食と景観を楽しむ列車「海里」(KAIRI)デビュー(JR東日本新潟支社プレスリリース 2018年10月16日 [PDF])
JR東日本新潟支社は、2019年10月から開催する新潟・庄内エリアデスティネーションキャンペーンに合わせて、新たな観光列車「海里」(KAIRI)の運転を開始すると発表しました。
主な特徴は以下のとおりです。
- 列車のコンセプトは「新潟・庄内の食」「日本海の景観」
- 4両編成のディーゼルハイブリッド車両(HB-E300系)を新造
- 運行区間は新潟~酒田間
- 売店・イベントスペース(3号車)、ダイニング(4号車)あり
詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
「きらきらうえつ」の後継?
今回発表された「海里」が運転される区間(新潟~酒田)は、現在、快速「きらきらうえつ」が走っている区間です。つまり、「海里」が「きらきらうえつ」の後継ということになるのではないかと思われます。
「きらきらうえつ」は2001年11月のデビューで、すでに17年が経過しています。国鉄時代に製造された485系という特急電車を改造したものですので、さすがに老朽化が目立ってきたということでしょう。
「きらきらうえつ」は、全車指定席の快速列車として運転されています。運転日も多く、同区間を走る特急「いなほ」と遜色のない速度で走るため、青春18きっぷユーザーにとっては、観光列車というだけでなく、とても実用的な列車です。
「きらきらうえつ」の様子は、以下の乗車レポートをお読み下さい。
その後継列車ということになると、気になるのは列車種別です。
JR東日本の観光列車は、ほとんどが全車指定席の快速列車として運転されていますので、「海里」も快速列車として運転されるのではないかと思います。
定員大幅減も「ダイニング」車両は期待大!
JR東日本のプレスリリースによると、「海里」の編成は、以下のようになっています。
- 1号車: 2+2のクロスシート(リクライニングシート) 30席
- 2号車: コンパートメントシート 32席(4席のボックス×8)
- 3号車: 売店・イベントスペース
- 4号車: ダイニングカー 24席
きらきらうえつは、クロスシートが3両あり、合計で116席でしたが、「海里」は86席。定員は大幅に減ることになります。
「新潟の食」「庄内の食」が堪能できるダイニングカー(4号車)
注目は、きらきらうえつにはなかった「ダイニングカー」でしょう。
(出典)新潟・庄内の食と景観を楽しむ列車「海里」(KAIRI)デビュー(JR東日本新潟支社プレスリリース 2018年10月16日 [PDF])
このように、二人がけと四人がけの座席が並ぶ車両になっています。昔の食堂車のような配置ですが、座席の背もたれが高く、個室のようなプライベート空間が確保できそうです。
最近は、高級な食事を提供するレストラン列車が流行っていますが、「海里」のダイニングカーはどのような食事を出すのでしょうか? 今回のリリースでは発表されませんでしたが、厨房はなさそうなので、懐石弁当のような食事を駅で積み込むような形になるのでしょうか。
1両まるごと売店+イベントスペース(3号車)
売店はきらきらうえつにもありましたが、「海里」にもあるようです。
きらきらうえつでは、売店の横は「きらきらラウンジ」というボックス席になっていて、売店で購入したものを食べられるようになっていました。
「海里」ではラウンジはないようですが、これは前述のダイニングカーがあるためでしょう。その代わりに、イベントスペースが広く取られています。
同じ新潟支社が運行する観光列車「越乃Shu*Kura」にも、同様の車両があります。
「越乃Shu*Kura」は日本酒をコンセプトとした列車なので、イベントスペースでは沿線の酒蔵が地酒を振る舞ったり、ジャズの生演奏を聴きながらお酒を飲めるといったイベントが開催されています。
「海里」でも、似たようなイベントが行われるのでしょうか。このようなイベントは、乗車のアクセントにもなるので、期待したいですね。
電車からディーゼルハイブリッドへ、運行区間の拡大もあるかも?
個人的に一番気になったのは、「海里」がディーゼルハイブリッド車両として製造されることです。
新潟~酒田は全区間が電化区間で、きらきらうえつは「電車」(架線の電気で走る車両)でした。
「海里」も同じ区間を走るのであれば電車でよいはずなのですが、ディゼールハイブリッド車両(HB-E300系)になります。ディーゼルハイブリッド車両は、燃料(軽油)で発電機をまわして発電し、その電気でモーターを動かすタイプの車両です。つまり、架線がないところでも運転することができます。
新潟~酒田間は、途中の村上駅で電化方式が切り替わります。南側が直流電化、北側が交流電化です。この区間を直通するためには、交直流電車が必要になります。高コストな交直流電車を造るくらいなら、線路さえあればどこでも走れるディーゼルハイブリッド車両にしたほうが、運行できる路線が増えるという考えがあったのかもしれません。
そうなると、期待されるのは運行範囲の拡大です。新潟・庄内エリアの非電化路線、例えば、陸羽西線(余目~新庄)、男鹿線(秋田・追分~男鹿)、磐越西線(新津~会津若松)あたりが候補でしょうか。
普段は新潟~酒田で運転され、たまに別の路線でも運行する、ということになるのかもしれません。
以上、新潟・庄内地方の観光列車「海里」が2019年10月にデビュー!という話題でした。クロスシート、コンパートメントシート、ダイニングカーと、いろいろな楽しみ方ができそうな観光列車になりそうで、今から運転開始が楽しみですね。